地域アジア・太平洋|中国|独身者のお見合いパーティーは益々必要となるだろう

|中国|独身者のお見合いパーティーは益々必要となるだろう

【北京IPS=クラリッサ・セバグ・モンテフィオーレ】

1億8千万人の未婚人口を抱え、男女間格差が拡大し続けている中国では、11月11日の「独身デ

―」に合わせて、数万人の独身男女が多彩なお見合いイベントに参加した。しかしこうした活発な婚活イベントの存在自体が、かえって独身者を取り巻く環境が益々複雑で困難になっている中国社会の現状を浮き彫りにしているのかもしれない。

Singles looking for spouses at a match-making party in Shanghai. Credit: Nicola Davison/IPS
Singles looking for spouses at a match-making party in Shanghai. Credit: Nicola Davison/IPS

 中国では日付にある4つの「1」は、独身者を指す一般的な表現で、北京語では「光棍節(bare sticks day)」として知られおり、さらに今年が100年に1度の下二桁に「1」が2つ並ぶことから、特に縁起がよい「スーパー独身デー(11/11/11)」とされた。

上海中心部から西へ30キロの郊外にあるテムズタウン(富裕層向け英国風ニュータウン)では、1万人以上の独身者がお見合いパーティーに参加した。その3分の2は女性が占め、子どもの結婚を熱望する4000人の両親も会場に駆けつけていた。

このイベントを主催した上海結婚仲介協会の代表は、上海日報の取材に対して、「私たちは混乱を避けるため、登録を締め切らなければなりませんでした。」と語った。
 
また上海日報は、「参加者の大半は高学歴・高所得層で、相手にも自身に近い条件を求めたためにこれまで結婚相手を見つけられなかった女性たちである。」と報じた。

人口統計によると、中国は一人っ子政策とそれに伴う歪な出生率のために、2020年までには男性人口が2400万人も女性人口を上回るとみられている。

しかし中国の独身男性の大半は、貧しい農村に暮らしている。これは農村では、農地の労働力として、また両親の老後を世話する存在として、男児が女児よりも重視されているからである。2010年に実施された第6回国勢調査によると、出生時の男女比は女性を100とすると男性が118.6であった。

にもかかわらず、経済的に豊かな都市部においては、独身女性の数が増加している。これは、彼女たちの間で、夫探しよりも自身の職業やライフスタイルを優先する意識が強いからである。

金融の中心地上海では、独身女性の数は、成人女性人口の実に20%に及んでいる。

2010年の人口調査によると、上海における未婚女性の増加率(2.2%)はこの十年間で、未婚男性の増加率(1%)を上回っている。

モダンなライフスタイルにもかかわらず、こうした「剰女(=売れ残り)」(中国で一般に27歳以上の未婚女性を指して使われている侮蔑的な表現)達は、結婚を迫る家族からのプレッシャーに晒されている。また35歳を超える独身女性は、しばしば手に届かない存在という意味で「天高(high as heaven)」と言及されている。

富が成功の基準とされるこの国では、婚活に臨むこうした女性にのしかかるプレッシャーは益々大きなものとなっている。例えば、女性にアパートや車が提供できないような男性は、結婚相手としての候補にすらならないのである。

主催者の話によると、先述のテムズタウンのお見合いパーティーに参加していた女性で、最も多い年齢層は30歳から35歳であった。

「私は運命を信じているの。できるだけ早く私に合った運命の人と巡り合いたいわ。このイベントはそういった意味で私にとってはチャンスなの。」と劉さん(24歳の)は語った。彼女は「剰女」にならないように向こう数年で夫を探し当てたいと考えている。

「結婚へのプレッシャーは、両親からのものなの。今は、ブラインドデートが最も手っ取り早く効率的に男性に会う方法だわ。」と劉さんは語った。

一方北京では、2000人を上回る独身者が、ジェネリックシティセンター内の大きな部屋で、中国最大のオンラインデート運営会社「Jiayuan.com」(登録会員数4700万人)が主催したお見合いイベントに参加した。会場では、参加者をリラックスした雰囲気に和ませるプログラムとして『3分間スピードデート』や『ギネス世界記録、最も長いキスリレー』等が行われた。

主催者のQu Wei副社長は会場でIPSの取材に応じ、「今日では、多くの剰男・剰女が、家族や友人、社会からのプレッシャーにストレスを感じて暮らしています。参加者の多くは忙しすぎて、普段の生活の中で異性と出会う機会がないのです。そこで我々がカジュアルな雰囲気の中でこうした独身者同士が出会える機会を提供しているのです。」と語った。

粋なスタイルで参加していたキャリアウーマンの劉さん(33歳)は、来て見たもののあまり期待はしていないと語った。

「もしこれからデートするとしたら結婚を前提にしたものとなるでしょ。とりあえず参加してみたけれど、あまり過剰な期待はしていないわ。だって、悪い風評もたくさん聞いていますから。」

「私は30代の人間的に円熟した、生活が安定した男性を探しているの。最低でも専門学校を卒業していて、まともな経済基盤を備えている人。外見は気にしないわ。」

中国人民大学人口研究所長の段成荣教授は、既に2億人近くに達している中国の独身者人口は、さらに増加し続ける勢いだと指摘した上で、「将来、中国に独身者がずっと増えるというのは事実です。その最大要因は主に経済的なものといえるでしょう。今日、女性は、結婚の条件として、男性が既に家を持っていることを期待します。しかし一方で、そうしたプレッシャーには限界もあります。なぜなら、女性も、持ち家付の男性が見つからないといって永遠に独身を通すわけにもいかないわけですから。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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