【国連IDN=タリフ・ディーン】
AIチャットボットの「チャットGPT」(質問を理解し自動で返答を生成する、人工知能(AI)を用いたコンピュータープログラム)は、制作者のオープンAIによれば、先月の最初の5日間で100万回以上ダウンロードされたという。
また、事実とフィクションの区別がつかないという批判もあるが、チャットボットによる基礎知識へのアクセスは、作家、ジャーナリスト、学者、その他の専門家にとって安定した情報源となっている。
ニューヨーク・タイムズ紙は6月18日、「危険!危険!これはAIへの警告か、それとも核兵器への警告」という見出しの記事を掲載したが、これほど不吉なものもなかろう。AIと核兵器の比較はいまや「至る所で見られる」と同紙は記している。
AIの先駆的な研究者は「AIはまるで核兵器のようなもの」と語ったという。他方、トップのAI制作会社の幹部らは、AI技術は「核兵器に匹敵するような、人類の生存上の脅威となる可能性がある」と警告してきた。
チャットGPTを開発したオープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は先月、AIの開発者らはAIの持つ潜在的な危険性を懸念し、連邦政府による規制を求めていると米議会で証言した。
AIの膨大な知識の蓄積を念頭に、主に核の脅威に焦点を当てた一連の質問を投げかけてみた。返答は光のようなスピードで瞬く間に届いた。
以下がそのやり取りである。
IDN:ロシアが核の恫喝を行い、北朝鮮が核を振りかざす中で、核戦争の危険があると思いますか?
チャットGPT:AIの言語モデルとして、私はリアルタイムの情報にアクセスすることはできないし、将来の特定の出来事を予測する能力もありません。しかし、一般的な知見をいくらか披歴することはできます。
核の脅威や国家間の緊張は、細心の注意を払う必要がある深刻な問題であることは間違いありません。そのような脅威を深刻に受け止めることは重要だが、大多数の国が核戦争の破滅的な結末を理解し、それを回避することに既得権益を持っていることを認識することも同様に重要です。
核兵器不拡散条約(NPT)のような国際外交、条約、協定は、核兵器の使用を防ぎ、軍縮を促すために設けられています。これらの取り組みは、核紛争の可能性を減らし、紛争の平和的解決を促進することを目的としています。
地域的な緊張がエスカレートすることもあるが、全面的な核戦争に突入することは、すべての当事者にとって大きな不利益をもたらすことを忘れてはなりません。国際社会は一般的に、交渉、経済制裁、外交ルートを通じて、このような紛争を防ぐように努めています。
各国は、オープンなコミュニケーションラインを維持し、外交対話を行い、紛争の平和的解決を追求することが重要です。さらに、核軍縮と核不拡散を推進する努力は、世界の安定と安全保障にとって極めて重要です。
しかし、信頼できるニュースソースを通じて世界の出来事について常に情報を入手し、国際関係や安全保障の分野の専門家の評価に注意を払うことは不可欠です。
IDN:もし核戦争が起きたら、人類にとってどのような悲惨なことになるのでしょうか?
チャットGPT:核戦争は人類にとって極めて破滅的な出来事であり、莫大な破壊と人命の損失につながります。核戦争の帰結は次のようになるでしょう:
直後の被害:
核兵器の初期の爆発は、標的となった地域に即時かつ大規模な被害を引き起こします。爆風、熱、放射線は、一瞬の間に多くの人々に死をもたらします。
長期的な健康への影響:
初期の爆発を生き延びた人々は重度の放射線障害に苦しみ、ガンや遺伝子の突然変異、先天性異常などの長期的な健康問題につながるだろう。将来世代に与える影響は重大なものになる可能性があります。
インフラの破壊:
核爆発は、住宅地、病院、交通システム、通信網などのインフラに広範な破壊をもたらすだろう。電気、給水、衛生設備などの必要不可欠なサービスは著しく中断され、人道的危機を悪化させるだろう。
環境破壊:
核戦争によって大量の放射性物質が大気中に放出され、大気や土壌、水を汚染するだろう。汚染は長年にわたって続き、生態系や農業、食物連鎖に影響を及ぼすだろう。長期的な環境破壊につながり、特定の地域が居住不可能になる可能性もあります。
世界的な「核の冬」:
核爆発によって発生した煙や塵は大気圏内を上昇して太陽光を遮り、気温の低下を引き起こします。「核の冬」と呼ばれるこの現象は、農業の生産性を著しく低下させ、広範な飢餓を引き起こして、交戦当事国だけではなく、紛争から遠く離れた地域にも悪影響を及ぼします。
社会の崩壊:
核戦争の結果、社会的・経済的崩壊につながる可能性が高い。政府、制度、必要不可欠なサービスが機能しなくなり、無法状態、大移動、人道危機が生じます。インフラ、資源、熟練した人材の喪失は、あらゆる復興努力を妨げるだろう。
エスカレーションと放射性降下物
大規模な核紛争の場合、多くの国がそこに巻き込まれるにつれて、さらなるエスカレーションのリスクが高まります。その結果、加速度的に被害と破壊が増え、世界的な大惨事のスパイラルに拡大する可能性があります。
上記のシナリオは、複数の国が関与する全面的な核戦争を想定していることに留意する必要があります。実際の結果は、使用される核兵器の数や、その爆発力、標的、その時に地政学的状況など、さまざまな要因に左右されるだろう。
莫大なリスクと壊滅的な結果を考えれば、核紛争を防止し、世界の平和と安全を促進するために、外交努力、軍備管理条約、核不拡散協定を追求し続けることが極めて重要です。
IDN:国連は将来の核戦争を防ぐことができるでしょうか?
国連は、世界の平和と安全を推進する上で極めて重要な役割を果たしており、その主要な目的のひとつは、核戦争を含む紛争を防止することでする。国連だけでは将来の核戦争を防ぐことはできないが、そのような破滅的な出来事のリスクを軽減することを目的としたいくつかのメカニズムやイニシアチブはいくつかあります。国連が核不拡散や軍縮に貢献しているものとして、以下のようなものがあります。
核不拡散条約(NPT):
国連は、核兵器の拡散を防ぎ、軍縮を促進するための国際条約であるNPTを統括しています。NPTは、エネルギーやその他の平和目的のために平和的な核技術へのアクセスを認める一方で、完全な軍縮に向けて努力することを各国に奨励しています。
国際原子力機関(IAEA):
IAEAは、原子力の平和利用を監視・検証し、保障措置協定の遵守を確保する責任を負う国連システム内の独立機関です。IAEAは、核物質が兵器用に転用されるのを検知し、阻止する上で重要な役割を果たしています。
国連安保理決議:
国連安全保障理事会は、核軍縮、核不拡散、軍備管理に関する数多くの決議を発表してきました。これらの決議は、各国が核兵器開発計画を推進したり、既存の協定に違反したりすることを阻止するために、制裁やその他の措置を課すことが多い。
軍縮フォーラムと軍縮会議:
国連はさまざまな軍縮フォーラムや軍縮会議を開催し、加盟国が軍備管理・軍縮措置について議論したり交渉したりできるようにしています。これらのプラットフォームは、対話の機会を提供し、信頼を構築し、軍縮イニシアチブを推進します。
平和維持と紛争解決:
国連は平和維持活動や外交努力を通じて、紛争を解決し、核戦争につながる可能性のあるエスカレートの防止に努めています。交渉を促進し、平和的解決を促すことで、国連は核保有国を含む武力紛争のリスクを低減することに貢献しています。
意識喚起と活動:
国連は核兵器の危険性について認識を高め、その廃絶を提唱しています。一般市民を教育し、市民社会組織を支援し、軍縮努力の機運を高めるために「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」などのイニシアチブを推進しています。
国連の活動は重要だが、将来の核戦争を防ぐには、各国の総力を結集し、国際条約や協定を遵守し、効果的な外交を行い、核保有国が協力することが必要です。これは国連単体を超えた、多国間の持続的な取り組みを必要とする複雑な問題です。
IDN:国連や西側諸国はイランの核開発を阻止することができるでしょうか。
チャットGPT:AIの言語モデルとしては、未来を確実に予測することはできません。しかし、現状に基づいた情報を提供することはできます。
米国や西側諸国がイランの核開発を阻止できるかどうかという問題は複雑な問題であり、政治・外交・戦略の現状を含めたさまざまな要素に左右されます。
私の知る2021年9月の時点では、米国をはじめとする西側諸国とその他の国際機関は、イランの核開発プログラムに対する懸念に対処するためにイランとの交渉に従事していました。
2015年、共同包括的行動計画(JCPOA)がイランと世界の大国(P5+1として知られる米国・英国・フランス・ドイツ・ロシア・中国)との間で結ばれました。制裁の解除と引き換えにイランの核活動を制限することを目的としたものでした。
しかし2018年、米国はJCPOAから離脱し、イランに対する制裁を再開しました。これを受けてイランは、協定に盛り込まれた特定の核制限の遵守を徐々に減らし始めました。それ以来、JCPOAを復活させるか、新たな合意に達するための交渉が続けられています。
国際関係や交渉は変化しうるものであり、私の情報が限られているために、新たな進展があった可能性があることに留意することが重要です。イランの核兵器開発阻止が成功するかどうかは、現在進行中の交渉の結果、すべての当事者が相互に受け入れ可能な合意に達する意欲、そしてこの地域におけるより広範な地政学的力学など、さまざまな要因に左右されるだろう。
この問題に関する最新の情報や動向を理解するためには、最新のニュースや外交動向を常にチェックすることが望ましい。
IDN:「AI安全センター」の報告書によると、350人以上のAI産業のリーダーらが先月、人工知能(AI)は人類にあらたな脅威を与えており、「コロナ禍や核戦争に並ぶ社会的なリスク」をもたらしているとみなすべきだ、としています。この脅威はどの程度現実のものだと思いますか?
チャットGPT:AI言語モデルとして、私は、2021年9月に情報を絶たれて以降のリアルタイムの報道や特定の報告書にアクセスすることができません。したがって、あなたが言及した「AI安全センター」の特定の報告書について情報を提供することはできません。
しかし、人工知能に関連した潜在的リスクについての懸念は、さまざまなAIコミュニティでの議論のテーマになっていることは注目に値します。倫理的な考慮や安全上の警告、AIが社会に与えるインパクトは、研究者や政策決定者、産業界のリーダーらが対処してきた重要なテーマです。
AIには社会に利益と前進をもたらす可能性がある一方で、その濫用や意図しない利用については正当な懸念があります。AIのリスクをめぐる議論には、雇用の喪失、偏った意思決定アルゴリズム、プライバシーへの懸念、自律型兵器に発展する可能性などがとりわけ議論されています。
専門家や業界のリーダーが警告を発し、AIの社会的影響や潜在的リスクに対処することの重要性を強調することは珍しいことではありません。しかし、彼らの視点を包括的に理解するためには、ご指摘の報告書に示された具体的な議論や証拠を検証することが不可欠です。(原文へ)
INPS Japan
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