【アブダビWAM】
昨年の4月以降マリ北部を実質的に支配下に置いていた武装イスラム過激派集団が、フランス軍の武力介入によってほぼ一掃された今、国際社会が今後マリ情勢にどのように対処するかが、同国のこれからの方向性のみならず、将来類似の危機が発生した際の対処のあり方を決めることになるだろう。
「マリ危機の背景には国内の多くの当事者が複雑に絡んでいることから、国際社会がこれ以上マリ情勢への関与を激化させていくことは、長期的観点に立てば、マリの再建にとって弊害となるだろう。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙「ガルフ・ニュース」が2月2日付の論説の中で報じた。
フランス軍は、武装イスラム過激派が完全支配していたキダルの空港を奪取後、マリ国軍と協力して、北部の主要都市のトンブクトゥ、ガオの奪還に成功、反政府軍はアルジェリア国境の山岳地帯に逃げ込んだと見られている。ローラン・ファビウス外相は、マリ政府の要請で先月11日以来展開してきた軍事作戦が成功した、と宣言するとともに、「今後はアフリカ諸国が派遣する多国籍軍に(解放した地域の治安維持を)委ねることになります。フランス政府は、マリ政府の要請に応じてこの軍事作戦を成功させるために必要な人員と装備を動員し、反政府軍に対して激しい攻撃を加えました。しかしフランス軍をマリに進駐させる意図は当初からなく、掃討作戦が終了次第、早期に撤退します。」と語った。
また同紙は、「このような危機の再発を防止するには、国家の統合と統一を維持できるような国の仕組みを作り上げるための長期計画がなければならない。全てのマリ人が国づくりに参加できるような適切な仕組みと財源が確立されない限り、常に内戦の可能性を含んだ反対勢力からの脅威に晒されることになるだろう。」と報じ、一部の過激派組織が国を乗っ取りかねない状況にまで発展した今回のマリ危機から教訓を学ぶべきだと訴えた。
また同紙は、国連安保理がマリへの平和維持部隊派遣について検討を開始する中、「長期的な観点に立った取り組みが検討されなければならない。外国軍の駐留はあくまでも暫定的な解決策に過ぎず、マリ自身が自国の将来を決めることが急務である。」と報じた。
「ガルフ・ニュース」紙は、今後も過激派組織が弱小国の混乱に乗じて国を乗っ取ろうとするリスクが十分に存在することから、そのような事態を断固阻止するためにも、アフリカ連合(AU)及び国際社会は、マリに支援の手を差し伸べるべきだ、と結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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