【ロンドンLodon Post=ローリー・チェン、ジェームズ・ポムフレット、アントニ・スロドコフスキー】
ちょうど1年前、中国はバッシャール・アル・アサド元大統領とその妻を同国への6日間の訪問で温かく迎え入れた。2011年に内戦が始まって以来、国際的に孤立していたアサドにとって、中国訪問は数少ない休息の機会となった。アサド夫妻がアジア大会に出席した際、習近平国家主席は「外部からの干渉に反対するシリア」を支持し、同国の再建を支援すると誓い、妻のアスマは中国メディアで称賛された。
しかし、わずか1年前に習主席が明確に支持した独裁者の突然の失脚は、中国の中東外交への打撃となり、この地域での戦略の限界を露呈したと専門家は指摘する。
反政府勢力の連合軍は日曜日、電撃的な攻勢でシリアの首都ダマスカスを掌握し、アサド政権を打倒、アサド家による50年にわたる支配を終結させた。
「中国がこの地域で政治的結果を形成する能力について、過大評価されている部分が多い」と、アトランティック・カウンシルのシニアフェローであるジョナサン・フルトン氏は語った。
アサド政権の崩壊は、アサドを支持していた主要な後援国であるイランやロシアのアラブ世界での影響力を低下させたと見られるが、それは中国の世界的野心にも打撃を与えたとフルトン氏は述べた。「中国が国際的に行ってきた多くの活動は、これらの国々との連携に依存している。中東における最大のパートナーを支えられなかったことは、同地域以外で何かを成し遂げる能力に関して多くを物語っている。」と指摘した。
焦点となる地域問題への対応
2023年、中国が長年のライバルであるサウジアラビアとイランの間で合意を仲介した際、中国メディアは長らくアメリカが支配していた中東での影響力の高まりを称賛した。
中国のトップ外交官である王毅氏は、同国が国際的な「ホットスポット問題」において建設的な役割を果たすと述べた。
中国は今年初めにもファタハ、ハマス、その他のパレスチナ派閥の間で停戦を仲介し、ガザでの停戦を繰り返し呼びかけている。しかし、中東の指導者たちを北京に招き、中東特使である翟隽(チャイ・ジュン)氏が数回にわたる「シャトル外交」を行ったものの、パレスチナ人による統一政府は形成されず、ガザでの紛争も続いている。
「アサドの突然の失脚は、中国政府が望むシナリオではない」と、上海外国語大学の中東問題学者である范紅達(ファン・ホンダ)氏は語った。「中国は、安定し独立した中東を望んでおり、混乱や親米的な傾向は中国の利益に合致しない」と述べた。
中国外務省はアサド政権の崩壊に対し控えめな反応を示し、中国人の安全に焦点を当て、シリアの安定回復に向けた「政治的解決」を早急に求めた。外務省報道官の毛寧(マオ・ニン)氏は月曜日、新政府との関与の可能性を示唆しながら「中国とシリアの友好関係はすべてのシリア国民に向けたものだ」と述べた。
中国の専門家や外交官は、シリアの新政府を承認する前に慎重に様子を見るだろうと述べている。中国はその専門知識や財政力を活用して再建を支援する可能性があるが、近年、国外での財務リスクを最小限に抑えようとしているため、その取り組みは限定的なものになるとみられている。
2022年にシリアは中国の主要な一帯一路構想に加わったが、制裁の影響もあり、中国企業による大規模な投資はこれまで行われていない。
「中国はこの地域で西側を経済的パートナーや外交、軍事力として根本的に置き換えることはできない」と、中東と中国の関係に詳しいフローニンゲン大学の助教授、ビル・フィゲロア氏は語った。
「2024年の中国は、2013年から14年の一帯一路構想が始まった頃の中国ほどの財力を持っていない」とフィゲロア氏は述べ、「中国が全体としてリスクを減らし、安全な投資に方向転換する再評価が明らかに進んでいる」と付け加えた。(原文へ)
INPS Japan/London Post
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