海外のネパール人は国の社会経済的未来に貢献したいと望んでいるが、ネパールは彼らに多くの面倒な手続きを課している。
【カトマンズ Nepali Times=編集部】
過去1年間に約75万人のネパール人が就業のために海外へ渡った。また、11万2,000人が学生ビザで出国しており、その多くが働いたり移住したりする目的も含まれている。この数字にはインドへ行った人や非公式な手段で出国した人は含まれていない。概算すると、昨年だけで少なくとも100万人のネパール人が国外に出たことになる。
さらに、北米、欧州、オーストラリア、東アジアなどに定住しているネパール人もいる。米国にはネパール系住民が29万人おり、世帯収入の平均は年間10万ドルを超える。
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ネパール人は世界中のほぼあらゆる場所で同胞に出会うことができる。また、彼らが本国に送金する金額は公式ルートだけでも年間110億ドルに上り、実際の額はさらに高いとされている。
1990年代にパスポート発行が地方に分散化されたことで、ネパール人の国際移動が初めて容易になった。2003年には非居住ネパール人協会(NRNA)が設立され、現在では97,000人の会員を持ち、87か国に支部がある。
2008年、ネパール政府は「非居住ネパール人法」を導入し、外国市民権を取得したネパール系個人または2年以上国外に居住しているネパール市民を「非居住ネパール人」(NRN)と分類した。ただし、南アジア地域協力連合(SAARC)加盟国に居住・就業しているネパール人は対象外とされた。
2015年憲法では、海外のネパール人が「連邦法に基づき経済的、社会的、文化的権利を享受できる」と規定された。しかし、議会がネパール市民権(第一次改正)法案を可決し、南アジアを除く海外のネパール人が選挙権や公職就任の権利を除き、ネパール市民と同等の権利を有するようになるまで、さらに8年を要した。
これらの規定は二重国籍ではなく、第二市民権を与えるものとされている。しかし、NRN市民権を取得した人々はその手続きが不要に複雑であると述べている。米国拠点のNRNは、社会保障番号(SSN)がなければネパールの地方行政事務所が第二市民権を発行しないとされているが、米国法ではSSNを国外に開示することを禁じている。NRN市民権を取得した人々は、政府の指示で免除されるはずのビザ料金を支払わされるケースもある。
この制度の目的は、多くの人々がネパールに投資したり、母国で引退生活を送ったりするのを容易にし、それが経済を活性化させることだった。世界中の第1世代、第2世代のネパール移民の多くは、自分たちの子孫が故郷の文化や伝統を知ることを望んでいる。
非居住ネパール人は購入、相続、または投資を通じてネパールで不動産を取得できる。外国市民権を持つ人は10年間有効なビザを取得可能であり、産業や事業を運営したり、銀行口座を開設したり、外国直接投資(FDI)やネパール市民と同様に投資を行ったりできる。また、投資に関しては税金が免除され、投資額や利益を母国に送金することも可能だ。
それにもかかわらず、ネパールの投資環境はネパール系の人々にとっても魅力的とは言えない。官僚的な煩雑さ、制約、賄賂やリベートが随所で発生し、障害となっている。
相続権は紙の上の存在にすぎず、NRN市民が不動産を購入する際には多くの手続きが求められ、多くの人が断念している。2022年の法案にもかかわらず、ネパールは「心の弱い者には向かない(=忍耐力や決意のある人でなければ難しい)国」とNRNコミュニティで評されるようになった。(原文へ)
INPS Japan
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