【アスタナThe Astana Times=アッセル・サトゥバルディナ】
日本の岩屋毅外務大臣は8月24~26日の日程でカザフスタンを公式訪問し、カシム=ジョマルト・トカエフ大統領およびヌルテリュ外相と会談した。訪問の主な目的は、地域との関係を強化し、日・中央アジア高官級会合の準備を進めることにある。

岩屋外相は、23日にカザフスタンスカヤ・プラウダ紙に寄稿した記事で「今日、中央アジアは着実な経済発展を遂げており、欧州とアジアを結ぶ交易ルートとしての重要性も高まっている。同時に、国際情勢の変化が地域諸国に大きな影響を及ぼしている。まさに今、急速に変化する中央アジアにおいて、地域協力は必要不可欠となっている」と強調した。今回の訪問の主要な目的を「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持と、中央アジアとの関係深化」と位置づけた。
首脳・外相会談
トカエフ大統領は、岩屋外相との会談で「日本はアジアにおける信頼できるパートナーだ。」と述べ、二国間関係の前向きな進展を高く評価した。
ヌルテリュ外相との会談では、両国間の高官級対話の継続を歓迎するとともに、二国間の経済協力強化、とりわけ二国間クレジット制度(JCM)、鉱物資源分野、日本企業の投資誘致などについて意見を交わした。
核軍縮・不拡散も協力の柱であり、両外相は経済社会開発計画に関する無償資金協力の交換公文に署名。これには核実験被害者支援や医療機器提供も含まれる。
「中央アジア+日本」枠組み

日本は2004年、地域との協力枠組み「中央アジア+日本」を最初に提案し、その後他のパートナーとの協力モデルにもなった。2024年8月にはアスタナで首脳会議が予定されていたが、当時の岸田文雄首相は国内の地震警報を受け、直前に訪問を中止した。日本の首相による中央アジア訪問は2015年以来途絶えている。

日本外務省の北村俊宏報道官は「これは日本と他国との競争ではなく、中央アジア諸国が世界の他地域と協力することを望んでいる。私たちの役割は相互連結性と地域間協力の触媒となることだった。」と述べた。その目的は概ね達成されたため、今後はより具体的な協力に重点を移すと説明した。
協力の重点分野
岩屋・ヌルテリュ両外相は、エネルギー、脱炭素、接続性を優先分野として協議した。日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指しており、これはカザフスタンの目標より10年早い。震災後に停止していた原子力発電所の再稼働や、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力)の導入拡大を進めている。日本は2040年までに電源構成の50%を再エネ、20%を原子力とする計画であり、風力・太陽光に大きな潜在力を持つカザフスタンとの協力拡大を模索している。
貿易と投資

2024年の二国間貿易額は18億ドル。うちカザフスタンから日本への輸出は5億600万ドル、日本からの輸入は13億ドルだった。カザフスタンの主な輸出品はフェロアロイを中心とする金属製品(全体の5割超)、石油、石炭、化学製品、農産物など。一方、日本からは自動車、トラック、建設機械、医療機器、ゴム製品などが輸入されている。
日本はカザフスタンへの外国投資国の上位10か国に入り、累計投資額は80億ドルを超える。2024年の直接投資額は4億6800万ドルで、現在60社以上の日本企業が石油・ガス、石油化学、冶金、金融、鉱業、通信、医療、農業など多様な分野で活動している。
文化・人道分野
両国は人的交流の深化にも意欲を示している。2026年3月にはアスタナ-東京間の直行便がエア・アスタナと日本航空の提携で就航予定であり、二国間関係を一段と高める動きとして注目される。
また、第二次世界大戦末期に中央アジアへ抑留された日本人の遺骨返還にも大きな努力が払われている。抑留者の一部はタシケントのナヴォイ劇場建設など地域の重要建築に従事した。カザフスタン大使館によれば、約5万8900人の日本兵が同国に抑留され、そのうち約5万人が帰国。これまでに188人の遺骨が日本に返還された。
岩屋外相の訪問は、28日までウズベキスタンへと続く。(原文へ)
INPS Japan/ The Astana Times
Original URL: https://astanatimes.com/2025/08/tokyo-steps-up-central-asia-engagement-with-high-level-foreign-minister-visit/
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