SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)アンゴラは大量の石油とダイヤモンドを産出するが、大多数の人々は恩恵を受けていない

アンゴラは大量の石油とダイヤモンドを産出するが、大多数の人々は恩恵を受けていない

CIVICUSによるフロリンド・チヴクテ氏(米国拠点の市民社会組織「フレンズ・オブ・アンゴラ」創設者兼事務局長)へのインタビュー

【IPS/CIVICUS=フロリンド・チヴクテ】

アンゴラ政府が7月1日にディーゼル補助金を撤廃し、公共交通費が急騰したことをきっかけに、一連の抗議行動が発生しました。アンゴラはアフリカ有数の産油国であるにもかかわらず、その富の恩恵を受けられない人々が貧困の中で暮らし続けています。市民は前例のない規模で街頭に立ち、汚職と失政の終結を訴えました。独立以来50年間政権を握る与党にとって最大の試練となっています。治安部隊は一部の略奪や破壊行為に対して致死的な武力を行使し、少なくとも30人が死亡、277人が負傷、1,500人以上が拘束された。

Q:抗議の引き金は何ですか?

チヴクテ氏:燃料補助金の撤廃が危機を招きました。抗議は7月28日、首都ルアンダで運転手らのストライキとして始まり、全国各地に広がって大規模な抗議行動へと発展しました。

The National Assembly building in Luanda, Angola, was built by a Portuguese company in 2013 at a cost of US$185 million./ By David Stanley from Nanaimo, Canada – National Assembly Building, CC BY 2.0
The National Assembly building in Luanda, Angola, was built by a Portuguese company in 2013 at a cost of US$185 million./ By David Stanley from Nanaimo, Canada – National Assembly Building, CC BY 2.0

燃料価格の高騰は多くの家庭に壊滅的な打撃を与えました。長引く不況と通貨下落で賃金は目減りしており、交通費が上がれば食料や学費も上昇し、生活に苦しむ人々はさらに追い詰められました。

しかし、燃料はあくまで引き金にすぎません。抗議は、若年層を中心とする高失業率、拡大する貧困、汚職や失政への怒りといった深刻な不満を背景にしています。公共資源は少数の権力者に結びついた豪華な支出やインフラ取引に流れ、基本的なサービスや雇用は放置されています。こうした不満に燃料価格の急騰が重なり、怒りが爆発しました。

Q:資源大国なのになぜ人々は困窮しているのですか?

チヴクテ氏:危機の核心にあるのは、この皮肉です。アンゴラは石油やダイヤモンドを大量に産出していますが、その恩恵は国民に行き渡っていません。失政と根深い汚職が問題の中心にあります。資源収入は政治権力に近いネットワークに吸い上げられ、国外に流出するか雇用を生まない形で投資されてきました。

さらに、アンゴラは燃料輸入に依存しています。国内の精製能力が不足しているため、石油収入が製油所建設や産業振興に使われず、むしろ政治的に結びついた者たちが精製品の輸入で利益を得る仕組みが続いてきました。この結果、地元産業や農業への投資意欲が削がれ、巨富を手にする小さなエリート層と、低賃金と劣悪なサービスに苦しむ大多数という構造が生じています。

Q:抗議は政府の支配をどう映し出しているのですか?

チヴクテ氏:今回の抗議は転換点を示しています。独立以来MPLA(アンゴラ解放人民運動)が政治を支配してきましたが、大規模な抗議は珍しいことです。首都を中心に多くの市民が街頭に立ったことは、政権と与党への不満の高まりを示しています。

当局は強硬な対応を取りました。治安部隊は催涙ガスや実弾を使用し、労組指導者やジャーナリストを含む多数を拘束しました。地域によっては略奪が発生し、治安部隊との衝突で死傷者が出ました。市民社会は殺害の真相解明と責任追及を求めています。

しかし、力による弾圧は逆効果を招きかねません。強権対応は不信感と怒りを強め、2027年選挙に向けた政治参加の在り方に影響を及ぼす可能性があります。

Q:市民社会はどう組織し、どんな困難に直面しているのですか?
Map of Angola
Map of Angola

チヴクテ氏:市民社会――教会、労組、地域団体など――は迅速に動き、責任追及と透明性を訴えています。例えばアンゴラ・サントメ・プリンシペ司教協議会の正義と平和委員会、フレンズ・オブ・アンゴラ、正義・平和・民主主義協会、プロ・ボノ・アンゴラなどが宗教団体と協力し、殺害の調査を求めるとともに、犠牲者家族への支援に取り組んでいます。

しかし環境は敵対的です。資金不足で人権・民主主義活動を持続するのが難しい状況です。国家による監視も障害となり、市民団体はサイバー攻撃や厳しい監視の対象となっています。共産主義的権威主義の遺産は根深い不信感を残し、組織化を妨げています。

さらに、言語の壁も国際支援を制限しています。活動の多くはポルトガル語で行われており、英語やフランス語、スペイン語を用いる国際社会との接点が限られています。

加えて、法制度による制約も強まっています。2024年の国家安全保障法や公共財・サービス破壊罪法案、2023年の大統領令で承認されたNGO法案などは、市民空間をさらに狭める恐れがあります。

Q:根本的な問題を解決するには何が必要ですか?

汚職を断ち、公的財政を透明に管理する強い政治的意思が必要です。入札や財政データを公開し、過去の不正を追及し、資源収入を病院、教育、地元産業に投入すべきです。教育・医療・小規模農業への投資は雇用を創出し、生活を安定させ、輸入依存を減らすことにつながります。

制度改革も不可欠です。財産権を保護し、投資が雇用につながるビジネス環境を整え、独立した司法と選挙制度を強化することが求められます。

国際社会も役割を担うべきです。選挙の透明性を支援し、アンゴラで活動する企業や政府に説明責任を求める必要があります。

2027年の選挙は重要な試金石となります。国際社会は注意深く見守り、透明性と選挙の公正を高める改革を後押しすべきです。選挙制度改革と地方レベルでの結果公開は、民主的プロセスへの信頼を回復する大きな一歩となるでしょう。(原文へ

INPS Japan

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