【アスタナThe Astana Time=アイマン・ナキスペコワ】
第8回世界伝統宗教指導者会議が9月17日、カザフスタンの首都アスタナで開幕し、世界の主要宗教の代表、宗教団体や市民組織、政府高官など100の代表団が参加した。地政学的緊張や危機が高まる中で、カザフスタンが改めて宗教間対話の世界的拠点として位置づけられる場となった。

開会初日には、人類の精神的・社会的発展における宗教指導者の役割をテーマにパネル討議が行われた。
イスラム世界連盟事務総長のモハンマド・アブドルカリム・アル=イッサ博士は、世界的な暴力と不信感の拡大に言及し、平和こそが第一の目標であると強調した。カザフスタンが精神的リーダーシップを推進していることを称賛しつつ、次のように語った。
「宗教指導者はその精神的権威によって信徒の心に大きな影響を及ぼします。価値観や伝統が異なっても、我々を結びつけるのは人間に普遍的な道徳です。責任は単なる象徴ではなく、対話と誠実さを通じて具体的な行動へと移されなければなりません。」
シナジー(相乗効果)への期待
ローマ教皇レオ14世は特別メッセージを寄せ、「分断された世界に癒やしをもたらすために集った。」と述べた。

「暴力的な紛争が続く時代において、宗教間対話の重要性はこれまでになく高まっています。シナジーとは、互いに、そして神と共に働くことである。」とし、連帯を「隣人愛を世界規模で実践する行為」と位置づけた。
差異を消すのではなく、多様性を相互の豊かさの源泉とするよう呼びかけた。

モスクワ総主教キリルは2012年のカザフスタン訪問と第4回会議を振り返り、「この会議は権威ある国際的プロセスに成長した」と評価した。「伝統宗教の違いがあっても、神への信仰とそれに基づく道徳で一致できる。真に信仰深い社会では、歴史が示すように平和と繁栄が可能だ。」と語った。
エルサレム総主教テオフィロス3世も、自らのアスタナ会議への参加経験を踏まえて次のように語った。「真の理解と相互尊重、共存は真摯で継続的な対話によってしか実現できません。対話とシナジーは相互に涵養し合い、未来の行動原理とならねばなりません。」
分断より対話を
世界道教連合会会長の李光富師は、政治的攻撃や環境危機など、世界が直面する課題に触れ、対話と協力こそが前進への道であると強調した。
「差異は対立の理由ではなく、むしろ相互支援と理解の基盤です。真の努力とは差異を消すことではなく、共通の願望に基づく合意形成を追求することなのです。」と語った。

国連からのメッセージ

国連のアントニオ・グテーレス事務総長はビデオメッセージで、カザフスタンの開催と宗教間対話推進への貢献に謝意を表した。
「国連は対話が平和を導くという信念の下に設立されました。分断と危機が深まる今こそ橋を架ける努力が必要です。宗教・精神的指導者は共通基盤を築くうえで不可欠であり、不寛容に抗い、希望を鼓舞する力を持っています。」と述べた。
多彩な発言者たち


このほか、イスラエルの最高ラビ、カルマン・メイール・バー師、国連文明の同盟上級代表のミゲル・アンヘル・モラティノス氏、英国国教会の初代主教ジョー・ベイリー・ウェルズ氏、イランのイスラム文化交流機構代表モハンマド・マフディ・イマニプール博士、OSCE(欧州安全保障協力機構)少数民族高等弁務官クリストフ・カンプ氏などが発言し、世界的危機への対応において、対話、寛容、連帯を指導原則とする決意を改めて示した。
会議に先立ち、「アスタナ・タイムズ」はカザフスタン国内のユダヤ教、バハイ教、ロシア正教会、ペンテコステ派、イスラム教、カトリック、仏教(長岡良幸創価学会国際局長)などの宗教指導者へのインタビューを掲載し、多様な信仰共同体の声を紹介している。(原文へ)
INPS Japan/The Astana Times
Original URL: https://astanatimes.com/2025/09/religious-leaders-call-for-dialogue-solidarity-at-congress-in-astana/
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