SDGsGoal10(人や国の不平等をなくそう)残酷さの外注化:トランプの大量送還マシン

残酷さの外注化:トランプの大量送還マシン

【ウルグアイ・モンテビデオIPS=イネス・M・ポウサデラ】

2021年8月、タリバンの支配から逃れるため米国に避難した数千人のアフガン人が、今や一度も行ったことのない国への送還に直面している。米軍を支援したがゆえに迫害の危険を冒して逃れてきた人々が、トランプ政権の反移民政策の下で不要な貨物のように扱われている。

トランプが拡大した送還プログラムは、米国内に暮らす推定1000万人の無資格移民を標的としている。これには、不法入国者、ビザ期限切れ、亡命申請却下者、一時保護資格の失効者、あるいは合法的地位を取り消された人々が含まれる。トランプ就任から100日以内に移民税関執行局(ICE)は6万6000人以上を逮捕し、6万5000人以上を国外追放した。8月までに約20万人が送還された。

しかし政権は単に出身国に送り返すだけではない。特に残酷な手法を取り入れているのだ。つながりのない遠方の国に人々を「投棄」しているのである。米政府が政治的目的のために基本的人道原則を無視する姿を、この送還戦略は示している。

米政府はあまり知られていない移民法を根拠に、他国に送還先を求め、資金的誘因や外交圧力で受け入れを迫っている。最近では、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、パラグアイ、さらにアフリカのエスワティニ、ルワンダ、南スーダン、ウガンダなど十数か国が合意した。この地理的広がりは「経由国への送還」という名目を覆し、金銭と引き換えに不要な人間を受け入れる相手を探しているだけであることを示している。

このプログラムは露骨に取引的であり、報酬は直接的な支払い、貿易上の譲歩、制裁緩和や外交上の便益の形をとる。ウガンダは米政府高官に対する制裁の最中に合意に署名し、移民受け入れを外交改善や制裁解除と引き換えにしたとみられる。ルワンダの合意は、米国が仲介するコンゴ民主共和国紛争の協議と同時期に行われ、送還合意が外交交渉の道具にされていることを示唆する。エルサルバドル、エスワティニ、ルワンダのような抑圧的国家の人権状況を、米国が今後批判する可能性は極めて低い。

米国には庇護申請処理を外注してきた長い歴史があるが、トランプ政権はこれを新たな段階に押し上げた。戦争地帯や権威主義国家、さらには刑務所にまで人を送還する用意があるのだ。これらの取り決めは、庇護を求める権利や迫害が予想される場所への送還禁止といった国際法の根本原則に違反している。

特に衝撃的なのは、エルサルバドルの「テロ収容センター」へのベネズエラ人送還である。ここは人権侵害で悪名高い過密刑務所だ。米政府は今年3月、タトゥーや服装といったわずかな根拠をもとに238人のベネズエラ人男性をギャングと決めつけ、迅速送還を正当化した。米国は600万ドルをエルサルバドルに支払い、庇護を求めただけの人々の収監スペースを事実上「購入」したのである。その後、彼らはベネズエラへの囚人交換の一部として送還され、移民が外交の駒にされていることを浮き彫りにした。

トランプの方針は最近の到着者に限られない。従来の国境警備中心の政策と異なり、長年米国で家族や職業、地域社会とのつながりを築いてきた人々も標的にされている。

ない抵抗を呼び起こした。教師が生徒の家族を守り、雇用主が強制捜査への協力を拒否し、宗教指導者が聖域を提供し、地域住民が相互扶助ネットワークや早期警告システムを組織している。

1日3000人の逮捕割当を果たそうとするICEの強化された急襲に対して、人々は全米各地で抗議している。ボストン、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコといった聖域都市では特に抵抗が激しく、ICE職員への直接対峙、送還車両の阻止、空港での抗議、送還ビジネスに関与する企業へのボイコットが展開されている。

その規模は連邦軍による前例のない介入を招き、政府は違法に4000人以上の州兵と700人の海兵隊をロサンゼルスに投入した。

トランプの政策は排外主義と人種差別を正当化し、政治言論を毒し、社会を分断している。世界最強の民主国家が難民を取引可能な商品として扱うならば、世界中の権威主義的指導者たちに「人権は交渉可能だ」との明確なメッセージを送ることになる。

米国はいま、二つの未来の岐路に立っている。人間を輸出すべき問題として扱い、権威主義国家を利し、国際法を損なう「取引的残酷さ」の道を歩むのか。それとも、人道と人権の義務を果たし、安全で合法的な移住経路を提供し、人々が故郷を追われる根本原因の解決を助ける道を選ぶのか。

米国はすべての国外移住管理合意を停止し、庇護希望者を安全でない国や無縁の国へ送還することをやめ、「安全を求めることは罪ではなく基本的人権である」という原則を回復すべきである。

イネス・M・ポウサデラはCIVICUSのシニア・リサーチ・アドバイザーであり、CIVICUS Lensの共同ディレクター兼ライター、『世界市民社会報告書』の共著者である。
インタビューや詳細情報については research@civicus.org まで。

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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