SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)NDCに子どもの声を―ユニセフ気候擁護者ズナイラ(15歳)の訴え

NDCに子どもの声を―ユニセフ気候擁護者ズナイラ(15歳)の訴え

ユニセフの気候擁護者である15歳のズナイラは、子どもたちの声や懸念が各国のNDCに反映されるべきだと考えている。彼女は「子どもは統計上の数字ではなく、“現実に生きる人間”であり、気候計画の中心に据えられる必要がある」と訴えている。

【国連発IPS=ナウリーン・ホサイン】

国連総会ハイレベルウィーク(9月22~30日)は、多国間主義、国際金融、ジェンダー平等、非感染性疾患、AIガバナンスなど、今日最も緊急の課題について世界が集う機会となった。

今年は気候変動も大きな焦点となり、各国が11月のCOP30を前に「国別削減目標(NDC)」を提示した。9月24日に開かれた気候サミットでは、114か国以上が国連事務総長とCOP30議長国ブラジルの指導者らの前で自国のNDCを発表した。

こうした計画は各国の姿勢を示すものだが、実際の行動で示すことこそが求められている。

「空虚な約束」に失望する若者たち

15歳のズナイラにとって、指導者の言葉と現実の行動の間には隔たりがある。COP29の場でさえ「政策や宣言ばかりで、実際の行動はなかった。」と彼女は語った。

「どの国でも同じ。子どもや若者に対して、空虚な言葉、空虚な約束しかなされていない。」とIPSの取材に対して語った。

UNICEF

ユニセフの「子ども気候リスク指数(CCRI)」は、子どもが直面する気候・環境リスクと脆弱性を測定し、163か国で56の指標を評価している。世界で約10億人の子どもが気候影響の最も大きい国々に暮らすと推計される。

ズナイラは、各国政府と指導者が効果的な気候政策を策定する際には、子どもの声や視点を取り入れる必要があると訴える。彼女の観察では、COP29で子どもの声を実際に反映させた国は参加国のわずか3%程度にとどまった。

この要望は新しいものではない。以前から多くの若者の気候活動家が呼びかけてきたが、交渉の場にはほとんど反映されてこなかった。

国連総会での参加と活動

ズナイラは、ユニセフの「ユース・アドボケーツ・モビライゼーション・ラボ」の一員として国連総会に参加するためニューヨークを訪れている。この取り組みは、ユニセフのユース擁護者の活動を評価し、子どもたちに交流や意見交換の場を提供するものだ。

パキスタン・バロチスタン州出身の彼女は、自身の経験を基に、2022年の洪水が女子教育に与えた影響に関する調査結果を共有した。

2022年のパキスタン洪水は3300万人以上に被害を与え、子ども647人が死亡した。気候変動がもたらした極端な気象の影響は、地域社会を破壊し、適応できない現実を突きつけた。

当時12歳だったズナイラは、ユニセフ・パキスタンの政策研究プログラムに参加し、バロチスタン州ハブ地区のサクランを訪れて聞き取り調査を行った。15人の女子生徒にインタビューしたところ、洪水で校舎が流され、学校そのものが失われたことが分かった。

ユニセフによると、彼女の調査は「洪水が教育格差を悪化させ、少女たちを避難所に追いやり、学びを中断させた。」と指摘している。

また、学校の防災対策や洪水に強いインフラ整備が急務であることも浮き彫りになった。「気候変動への強靱性とジェンダー平等を組み合わせた戦略。」が必要だと強調された。

学びを失った子どもたち

ズナイラは「洪水後、多くの子どもにとって戻るべき学校そのものが存在しなかった。」と振り返る。最寄りの学校が40キロ近く離れている場合もあり、通学は現実的ではなかった。

そのため、極端な気象に耐えられる学校インフラや地域社会への投資が不可欠だと訴えた。国際社会も「損失と被害への対応基金(FRLD)」を通じた支援を含め、適応策を後押しする必要がある。

「子どもは統計ではなく、現実の命」

ズナイラのメッセージは明確だ。指導者たちは子どもや若者を気候議論に参加させるべきだ。そして、彼らの経験を単なる数字に矮小化してはならない。

「考えてみてください。これは単なる統計ではありません。命が失われ、数千の家が破壊され、数千人が避難を余儀なくされたのです。子どもや人々は数字ではなく、現実の命です。世界の指導者はそのことを理解しなければなりません。」(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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