INPS Japan/ IPS UN Bureau Report|コラム|50周年を迎えたG77とIPS(ムーラッド・アフミア77ヵ国グループ事務局長)

|コラム|50周年を迎えたG77とIPS(ムーラッド・アフミア77ヵ国グループ事務局長)

【国連IPS=モーラッド・アフミア】

77ヵ国グループ(G77)と国際通信社インタープレスサービス(IPS)は、先般相次いで創立50周年を迎えた。

1964年に世界の開発途上国(グローバルサウス)のための通信社として創立されたIPSは、過去50年間にわたって開発途上国とG77双方の声を伝えてきた。

G77とIPSは、開発途上国の利益を擁護し代弁するという共通のコミットメントを通じて、相互につながってきた。

従ってG77とIPSの50周年は、改めて今日の国際社会における「開発途上国」の関心を前景化し推進するための両者の連携関係をさらに進化発展させる機会となるだろう。

G77 plus China
G77 plus China

IPSは半世紀にわたって、開発途上国の代表者らが共通の開発課題について国際社会に主張を訴えていくうえで、メディア独自の方法で支援を提供してきた。

G77が、経済外交と開発途上国共通の利益を促進するうえでこれまでに果たしてきた重要な役割を見れば、現在進行中の世界の開発対話において、この連合体が依然として重要な存在意義を有していることは明らかだろう。

IPSはこうしたG77の取組みを積極的に取り上げ、その声をIPSが擁するメディア・コミュニケーションインフラを通じて国連諸機関や先進国の政策責任者に伝えることで、グローバル・ガバナンスの新たな地平を切り開くという、極めて重要な貢献をしてきた。

IPSは、G77初のニュースレターである「G77ジャーナル」の発行を長年にわたって支援し、とりわけ、G77の記念日や「途上国サミット」等のさまざまな機会において、IPSの日刊紙「テラヴィヴァ(TERRAVIVA)」の特別版を発行してきた。

2006年に南アフリカ共和国が主導してG77とIPSが始めた、「南」の通信社のグローバル・ネットワークを作る試みは、現在も作業を続けているところだ。

他方で、G77にも半世紀にわたって様々な業績を成し遂げてきた歴史がある。

1964年6月15日に設立されたG77の参加国は有名な「77か国共同声明」に署名し、参加国全体の経済面での利益を明確に示しかつ促進するとともに、国連システムにおける世界経済の主要事項全般を巡る合同交渉能力の強化を図る目的で、開発途上国による最大の政府間組織を形成した。

初のG77閣僚会議が1967年10月にアルジェリアで開催され「アルジェ憲章(Charter of Algiers)」が採択されて以来、G77は、この50年間、国際的な開発問題に関する議論を方向付け、世界の開発途上国が置かれている現状を変革していくことに貢献する組織的メカニズムと構造を構築してきた。

長年にわたってG77は、主要な南北問題や開発問題をめぐる世界的な交渉を通じて、国際関係の形成と行動においてますます大きな役割を果たすようになっている。

G77は、ニューヨークやジュネーブ(UNCTAD)、ナイロビ(UNEP)、パリ(UNESCO)、ローマ(FAO/IFAD)、ウィーン(UNIDO)、ワシントンDC(G24 at IMF, World Bank)の国連機関に創設した支部や組織を拠点に世界的な存在感をみせ、気候変動や貧困削減、移住、貿易、海洋法などの幅広い世界的課題に関する交渉に積極的に関与している。

今日G77は、国連システム内部における多国間経済外交において唯一、現在も発展し機能しているメカニズムである。G77が依然として影響力を保持している証拠に、その加盟国は増え続けている。

加盟国は1964年の創設時の77か国に始まり、2014年には134か国になっている。開発問題を取り扱っている開発途上国の政府間組織としては、世界最大のものである。

G77は、政治的独立を意味のあるものにするためには南北間の経済関係を変革する必要性が明らかになった時期に、世界の舞台において開発途上国の役割と影響力を集合的に強化するという目的をもって創設された。

つまり当時独立間もない開発途上国にとって、真の政治的独立を実現するには、国際経済秩序の変革という究極的な目標を掲げた経済外交を推進していく必要があったのである。

今日、G77は国連の枠内において、多国間経済外交を進め、開発のための国際協力を通じた国際平和と正義の実現を図るための不可欠な交渉枠組みとなっている。

これが、創設以来の開発途上国間の連帯(=南南連帯)を一貫して標榜してきたG77の推進力であり、その集合的な声は、人類の大多数の希望と念願を代表するあらゆる機関や国際組織に広がってきた。

G77は、小規模の事務局が持つ限定的な資源で、開発パートナーと協力して問題を分析し開発課題に対する異なった解決策を提案することに成功してきた。

50年にわたって、G77は数多くの国連決議や企画、行動計画の策定や形成に貢献してきた。そのほとんどが、開発の中心的な問題に対処したものである。開発問題に関するグローバルなコンセンサス形成におけるG77の役割は、世界の指導者や外交官、国会議員、学者、研究者、メディア、市民社会によって広く認知されてきた。

それは、時代の試練に耐えてきたG77の存立基盤や目的、その活動が歴史的に意義のあるものであったことの証明である。

G77の本質的な存在意義は、グローバルな経済的意思決定において開発途上国のより広範な参加を実現し、国連システムの枠組みの中で国際機関や政策に開発の側面を持ち込むことであったし、現在でもそうである。

G77には現在134の加盟国があり、世界の人口の約8割、国連加盟国のおよそ3分の2を占めている。

G77は、加盟国193の国連に次いで世界で2番目に大きい国際組織であり、新興国から最貧国や島嶼途上国に至るまでの数多くの国々が、その議長国を務めてきた(アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、およびカリブ海地域ベースで交代制となっており、任期は1年)。

2014年は、創設50周年を祝うG77にとって一里塚となる年である。この50年間にG77は加盟国を倍増させて南南協力の成果を挙げる一方、開発のための南北対話を促進するうえで開発途上国の連合として機能しつづけてきた。

このような多様な加盟国を抱えた緩やかな連合体であるにもかかわらず、G77がこの半世紀に亘る世界の政治的・経済的激動を乗り越え、なおかつ、国連の開発目標を促進するという当初の使命に今も忠実であり続けているのは注目に値する。

50th Anniversary Summit of the Group of 77 and China/ G77
50th Anniversary Summit of the Group of 77 and China/ G77

G77はこの50年間、世界の発展の達成のために専念し、大国であれ小国であれ世界の問題には同じ発言権があるという原則を堅持してきた。

今日、G77加盟国は共通の地理によって互いに結びつき、解放と自由、南南連帯に向けた闘争という共通の歴史を有している。

G77はその50年間において、世界の開発途上国を国家連合として結束させ、平和と開発に向けたグローバル・パートナーシップになろうとしてきた。

今日、G77は、豊かで平和な世界に向けた国際開発協力を促進するその取り組みによって、認知されている。

世界の問題に献身的に取り組むG77の努力と貢献は、世界中の数十億人の生活に利益をもたらし、50周年を迎えたG77の重要な貢献に対する認知は、きわめて適切なものだと言えよう。

G77とIPS、創立50周年おめでとう!(原文へ

翻訳=IPS Japan

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