ニュースデジタル時代に抗議を再定義するZ世代(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長)

デジタル時代に抗議を再定義するZ世代(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長)

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】

私は長年、抗議行動を間近で見てきた。タハリール広場からタイムズスクエアまで。そして、時間が経つにつれ「定型」が見えてくる。労働者がストを起こし、学生が集会を開き、政党が動き出す。指導者が現れ、逮捕されるか、妥協する。やがて疲労と沈黙が訪れ、しばらくしてまた新たな抗議が始まる。

Ahmed Fathi.
Ahmed Fathi.

しかし、何かが変わった。リズムが違う。新世代―Z世代―は抗議の作法そのものを書き換えたのだ。彼らの運動は、かつてない速さで発火し、広がり、国家が息をつく暇もなく消える。

彼らが築いているのは革命ではない。デバッグ(不具合修正)だ。

無視できないパターン

かつては孤立していた動きが、いまや世界的な反響となっている。ネパールでは、若者たちが政府によるSNS禁止令に逆らい、首相を退陣に追い込んだ。モロッコでは「GenZ212」が不平等と崩壊した医療制度に対してオンラインで抗議を組織。マダガスカルの若者は、停電への怒りをアニメのイメージに託して表現した。ケニアでは、TikTok発の「税反乱」が政府に撤回を迫った。

国は違えど、怒りもテンポも同じ。
私はこうした蜂起を研究してきたが、そこに見える繰り返しの精度はあまりに高い。どの国も同じプロセスをたどる——デジタルの火花、ウイルスのような拡散、分散型の動員、世論の圧力、そして政府の狼狽。

自然発生的に見える。だが同時に、どこか設計されているようにも感じる。

シグナルの中の疑念

記者として、研究者として、私は「きれいすぎる拡散」には疑いを持つようになった。そして気づいたのは、純粋な声とともに、同調するように動く無数のオンラインページ、インフルエンサー、「活動家」系サイトが存在することだ。

確かに一部は草の根だ。しかし他は? もっと曖昧だ。匿名アカウントや連動するハッシュタグ、数時間で仕上げられたプロ品質の動画がそれを増幅している。
政府はこれを「操作」と呼び、活動家は「デジタル戦略」と呼ぶ。真実は、その中間の緊張関係にある。

このことは、街頭の怒りを否定するものではない。むしろ、情報戦と市民運動が融合している証拠だ。Z世代の抗議は政治的であると同時にアルゴリズム的でもある。
本物の怒りと仕組まれたノイズの境界はますます曖昧になり、権力者たちはその不確実性に不安を感じている。

「異議申し立て」というOS

この世代の運動を定義づけるのは、次の三つの特徴である。

  1. 分散化 —— 指導者も階層もない。逮捕の的がない。ピラミッドではなくネットワークとして設計されている。
  2. ミーム化 —— 従来の活動家がマニフェストを掲げたのに対し、Z世代はユーモアと皮肉を武器にする。政治演説よりもTikTokのリミックス動画の方が人を動かす。
  3. 速度 —— 深夜のDiscordチャットが翌朝には全国規模の抗議になる。官僚的な政府は、このスピードに対処できない。

しかし、ミームやハッシュタグの背後には現実の絶望がある。経済の停滞、腐敗したエリート、そして「自分と同じ年齢でも、生まれた国が違うだけで人生がまるで違う」という苦い自覚だ。

強みと脆さ

Z世代の強みは機動力だが、弱点は持続力である。構造を持たない運動は、一瞬の光で世界を照らすことはできても、すぐに消えてしまう。組織がなければ、勝利もまた霧散し、混乱の中に消える。

そしてAIによる監視やデジタル潜入が進む中、国家も進化している。
それでも彼らはやめない。何度でも、どの大陸でも、同じパターンが繰り返される。にもかかわらず、政府は毎回驚いたように振る舞う——まるでこの「タイムライン」がすでに書かれていることを知らないかのように。

広い視野で見れば

Z世代を「未熟な理想主義者」と見くびるのは誤りだ。彼らはスローガンを叫ぶ夢想家ではない。「なぜ何も機能しないのか」と問う現実主義者だ。彼らは壊れた制度を受け継ぐつもりはない。その場で修正(デバッグ)しようとしている。

ただし、私たちも注意を怠ってはならない。すべてのトレンド化した抗議が本物とは限らない。あるものは真の怒りから生まれ、あるものは誰かが「燃やしたかった」から燃え上がる。

活動家サイトや匿名の「主催者」、インフルエンサー型アクティビストが乱立し、何が本物で何が仕組まれたものかを見分けるのは難しくなっている。インターネットは誰にでも拡声器を与えるが、その音は歪むのだ。

だが、もし一部の火種が仕組まれたものであっても、炎そのものは本物であり、そして広がり続けている。

権力への警告

政府はアプリを禁止し、プラットフォームを検閲し、ユーザーを投獄することはできる。だが、つながることを前提に育った世代の「接続」を止めることはできない。

Z世代は、許可を待ってはいない。すでに動いている。安定という幻想を揺さぶりながら。

彼らは「未来の指導者」ではない。今日の危機の株主であり、すでに「非常取締役会」を街頭で開いている。

これは混乱ではない。リアルタイムで自己検証を行う未来のベータ版だ。

もしあなたが今の抗議を「ただのノイズ」と思うなら——次のアップデートを待つといい。(原文へ

Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/gen-z-and-the-new-operating-system-of-protest

INPS Japan/ATN

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