【ウルグアイIPS=イネス・M・ポウサデラ】
2023年、ジョージア(グルジア)の首都トビリシの街頭を数千人の市民が埋め尽くした。政府が提案した「外国エージェント法」に抗議するためだった。市民たちは、その法案の本質を理解していた。これは透明性や説明責任のための措置ではなく、異論を封じるためのものだったのだ。政府は一度は撤回を余儀なくされたものの、2024年に名称を変えて再提出し、より大規模な抗議にもかかわらず可決にこぎつけた。この法律によって、ジョージアの欧州連合(EU)加盟への希望は事実上凍結されている。
ジョージアの抑圧的な法律は、CIVICUSの新たな報告書『市民社会の生命線を断つ:外国エージェント法の世界的拡散』が明らかにした、憂慮すべき世界的潮流の一例にすぎない。中米から中央アジア、アフリカからバルカン半島に至るまで、各国政府が市民社会団体や独立メディアを「外国勢力の手先」として扱う立法を相次いで採択している。外国エージェント法は驚異的な速度で拡散しており、市民社会への脅威が高まっている。2020年以降、エルサルバドル、ジョージア、キルギス、ニカラグア、ジンバブエがこの種の法律を制定し、他にも多くの国で同様の法案が検討されている。
ロシアが築いた弾圧モデル

この抑圧の設計図を初めて確立したのはロシアである。2012年、ウラジーミル・プーチン政権は、外国から資金援助を受け、広義の「政治活動」に関与する市民団体に対し、「外国エージェント」として登録することを義務づける法律を導入した。これは「外国スパイ」という烙印を受け入れるか、活動を停止するかという二者択一を突きつけるものだった。ロシア政府はその後も弾圧を拡大し、2016年までに少なくとも30団体が登録を拒否して解散を選んだ。欧州人権裁判所はこの法律を市民的自由の重大な侵害として断罪したが、それでも他国はこれを模倣することをやめなかった。
「透明性」という偽りの名目
これらの法律が「透明性」を促進するという主張は、根本的に欺瞞的である。国際的支援を受ける市民団体は、すでに厳格な説明責任を課されている。一方で、政府自体が外国資金を多額に受け取っても、同等の開示義務を負うことはない。この二重基準こそ、これらの法律の真の目的が透明性ではなく「統制」にあることを示している。実際には、人権擁護、選挙監視、民主主義の強化など、あらゆる公益活動が「政治的」とみなされ得るよう恣意的に定義されている。政府は意図的に定義を曖昧かつ広範にしておくことで、気に入らない組織を狙い撃ちできるようにしているのだ。
市民社会壊滅の現実―ニカラグアの例
その影響は壊滅的である。ニカラグアは、外国エージェント法を市民社会解体の道具として用いた最も極端な事例である。ダニエル・オルテガ大統領は、この法律を含む包括的な弾圧政策によって、約5,600の団体―かつて国内で活動していた組織の約8割―を閉鎖した。治安部隊は停止処分を受けた団体を急襲し、事務所や資産を押収。学者、活動家、ジャーナリストら数千人が国外に追放された。結果、国家が統制する団体だけが残り、独立した声は消え、市民空間は完全に閉ざされた。
キルギスでは、2024年3月に成立した外国エージェント法が即座に萎縮効果をもたらした。多くの団体が活動を縮小し、一部は商業団体として再登録し、また一部は罰則を避けるため自発的に解散した。オープン・ソサエティ財団は長年続けてきた助成業務を停止した。エルサルバドルでは、ナジブ・ブケレ政権が外国助成金に30%の課税を課し、レッテル貼りと登録義務を課すことで、市民団体を閉鎖に追い込んだ。
恐怖と沈黙の制度化
これらの法律は、煩雑な登録制度や過剰な報告義務、頻繁な監査を課すことで、特に小規模団体を閉鎖に追い込む。非遵守には重い罰金、免許剥奪、刑事罰が科されるため、恐怖と自己検閲の空気が蔓延し、多くの団体が自ら解散を選ぶ。さらに、外国資金を制限しながら国内資金源の拡大策を取らないため、団体は国家承認に依存せざるを得なくなり、自立性を失う。加えて「外国の手先」という烙印が押されることで市民の信頼を失い、さらなる弾圧への抵抗力を奪われる。
抵抗と希望の光
それでも希望はある。市民社会は驚異的な回復力を示してきた。街頭行動や司法闘争が法案を阻止したり、撤回に追い込んだりする例もある。2014年にウクライナが同法を撤回したのは、まさに大規模な抗議行動が政治の流れを変えた結果だった。エチオピアは2009年の制限法を2019年に改正し、ハンガリーは2017年の法律を欧州司法裁判所の2020年判決を受け撤廃した。さらに、2025年5月にはボスニア・ヘルツェゴビナ憲法裁判所が、外国エージェント法を結社の自由の侵害として停止した。
国際法上の圧力も重要な役割を果たしている。欧州人権裁判所によるロシア法への断罪は、他国の法的闘争に先例を与えた。しかし、権威主義政権は戦略を変え、新たな制限法を次々と導入している。ハンガリーの2023年「主権保護法」はその典型である。

危機の加速と求められる連帯
2020年以降、この傾向の加速は、世界的な民主主義の後退と軌を一にしている。権威主義的指導者たちは、「外国干渉への懸念」という正当な問題意識を利用し、自らの抑圧を正当化する法的道具へと転化させている。危険は現在の導入国にとどまらない。ブルガリア議会は外国エージェント法案を5度否決したが、極右政党が再提出を続けている。トルコの専制的政府も、2024年に反発を受けて法案を棚上げしたものの、数か月後に修正版を再提出した。
外国エージェント法が「常態化」する前に、国際的な連帯と協調的抵抗が不可欠である。国際裁判所は、緊急性の高い市民社会への脅威に迅速に対応できる仕組みを整える必要がある。民主主義国家は、同様のスティグマ的立法の採用を避け、外国エージェント法を制定した当局者に標的制裁を科し、亡命を余儀なくされた活動家に安全な避難先を提供しなければならない。資金提供者は緊急支援の迅速な仕組みを整え、市民社会は国際的な連帯ネットワークを強化し、抵抗戦略と法の真意を共有する必要がある。
さもなければ、私たちは独立した声が体系的に消されていくのを、ただ傍観することになるだろう。市民社会が自由に存在し、活動する権利は、守られなければならない。(原文へ)
イネス・M・ポウサデラ
CIVICUSリサーチ・分析部長、同団体「CIVICUSレンズ」共同ディレクター兼ライター、『市民社会の現状報告書』共同執筆者。
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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