ニュース世界の「右利き」と「左利き」の拷問者たち

世界の「右利き」と「左利き」の拷問者たち

【国連IPS=タリフ・ディーン】

ジーン・カークパトリック元国連米大使はかつて、米国や西側の同盟国である「友好的な」右派の「権威主義」体制と、米国が敵視した「非友好的な」左派の「全体主義」独裁を区別するという、議論を呼ぶ見方を示した。

Collage: Thalif Deen
Collage: Thalif Deen

同じ頃、米国の歴代政権は、中東を中心に多くの権威主義体制と親密な関係を深めていた。非常事態法の導入、反体制派の拘束、報道への弾圧、政治犯への拷問、死刑の厳格な適用などが広く指摘されていた政権である。

こうした「友好的な右派」と「非友好的な左派」という区別に対し、当時(カーター政権で)、国家安全保障担当補佐官ズビグニュー・ブレジンスキーと路線対立を続けていたサイラス・バンス元米国務長官は、皮肉を込めてこう言い返した。

「拷問台の上では、拷問者が右派でも左派でも同じことだ。」

先月、国連の拷問に関する特別報告者アリス・ジル・エドワーズは、禁止対象の、または本質的に虐待的な法執行機器が市場に出回るのを防ぐため、治安・警察関連の見本市に対する厳格な監視が必要だと警鐘を鳴らした。11月18日から21日にパリで開かれた武器・治安関連見本市「Milipol 2025」で、そうした機器の展示が確認されたためである。

エドワーズは、「直接接触型の電気ショック装置、複数弾を同時に放つ運動エネルギー弾、マルチバレル(多連装)発射装置は、不必要な苦痛をもたらし、禁止されるべきだ。」と語った。さらに、「これらの取引や宣伝は、欧州連合(EU)加盟27カ国すべて、そして世界規模で禁じられるべきだ。」と訴えた。

EUの「反拷問規則(Anti-Torture Regulation)」は2006年に導入され、2019年に強化された。同規則の下では、拷問や残虐・非人道的・品位を傷つける取扱いに用いられ得る特定の機器について、企業による宣伝、展示、取引が禁じられている。国連のプレスリリースによれば、EUは2025年、禁止・規制対象となる法執行関連品目のリストをさらに拡大した。

拷問被害者センター(CVT)の社長兼CEOサイモン・アダムズ博士はIPSの取材に対して、CVTは拷問の被害者の回復を支援し、拷問根絶を訴える世界最大規模の団体の一つだと説明した。そのうえで、特別報告者の取り組みと、もっぱら人間の苦痛を与える目的で設計された製品を企業が売り込み、宣伝し、販売・取引することを止めるキャンペーンを支持すると語った。

「拷問は国際法上の犯罪であり、いかなる場所でも、いかなる時でも違法である。治安当局が人権侵害のために常習的に悪用している装備や、拷問以外の用途を持たない装備を、企業が市場に出し続けることは許されない。」と、アダムズ博士は強調した。

「CVTでは、拷問のトラウマを抱えた被害者と日々向き合っている。多くは難民で、出身国では、見本市で売り込まれていた類いの装置が治安部隊によって使われている。EUは、拷問に利用される装備の取引を断つ『拷問のない取引(torture-free trade)』を確立する運動の主要なパートナーだった。」

The United Nations has always condemned torture as one of the most heinous acts perpetrated by man against man.Photo:UN/Staton winter

さらにアダムズ博士は、「EU域内で企業がこうした製品を宣伝できるなど、良心に反する。そもそも、そんな製品が存在すること自体が異様だ。人間の残酷さを商う取引は、全面的に禁止されるべきである。」と断じた。

国連によれば、同見本市では、特別報告者が以前「本質的に虐待的(inherently abusive)」と位置づけた装備が幅広く展示されていた。展示・宣伝されていた問題装備には、直接接触型の電気ショック武器(警棒、グローブ、スタンガン)、突起付きの暴動鎮圧用盾、複数弾を放つ運動エネルギー弾の弾薬、多連装発射装置などが含まれる。

これらの製品は、ブラジル、中国、チェコ、フランス、インド、イスラエル、イタリア、カザフスタン、北マケドニア、韓国、トルコ、米国の企業が売り込んでいた。

EU法で新たに禁止対象とされた品目には、「人体に害を及ぼし得る量の暴動鎮圧剤を散布する航空システム」も含まれる。にもかかわらず、多連装発射装置を搭載し、大量の化学刺激物を散布し得るドローンが宣伝されていたと国連は指摘する。

Milipolの主催者に問題装備の存在が通知されると、主催者は迅速に対応し、企業に対してカタログ掲載ページや展示物の撤去を求めた。エドワーズによれば、ある国有企業が撤去に応じず、その出展ブースは閉鎖された。

Dr. Alice Jill Edwards (Australia) is the seventh – and first woman – UN Special Rapporteur on Torture and Other Cruel, Inhuman or Degrading Treatment or Punishment
Dr. Alice Jill Edwards (Australia) is the seventh – and first woman – UN Special Rapporteur on Torture and Other Cruel, Inhuman or Degrading Treatment or Punishment 

エドワーズは「本質的に虐待的な兵器の宣伝が続く現実は、各国が私の2023年報告書の勧告を採用すべき緊急性を、改めて浮き彫りにしている。」と述べた。

EUが規制強化に踏み出した点を評価しつつも、エドワーズは「地域的な取り組みだけでは不十分だ」と強調する。さらに示唆的なのは、次の指摘である。「Milipolでの発見は、世界的に法的拘束力を持つ『拷問のない貿易条約(Torture-Free Trade Treaty)』が不可欠であることを示している。国際的な規制が連携しなければ、虐待的な装備は新たな市場、新たな流通経路、新たな犠牲者を見いだすだけだ。」

エドワーズは、世界各地の治安・防衛・警察関連展示会の主催者に対し、強固な監視体制の構築、禁止措置の一貫した執行、そして独立した調査機関との全面的な協力を求めた。

さらに「Milipolの対応は迅速で責任あるものだった。しかし、禁止品がそもそも展示されていた事実は、不断の警戒が不可欠であることを示している」とも述べた。

エドワーズは過去にも同様の問題提起を行っており、今後も関連動向を監視し続けるとしている。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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