【ワシントンIPS=アリ・ガリブ】
米国主導のアフガン戦争の新戦略が来週にも発表される予定で、戦争で荒廃した中央アジアと不安定な隣国パキスタンにおけるその詳細が徐々に明らかになってきた。オバマ大統領はアフガニスタンに17,000人の増派を決定し、特殊部隊からの要望があればさらに13,000人増派の予定である。
ニューヨークタイムズと米政府高官のインタビューによると、タリバンによる反乱増加を静めるためにタリバンの強硬派のイデオロギー信奉者たちを寝返らせる計画を取ると言う。
オバマ米大統領はアフガニスタン兵士の少なくとも70パーセントはタリバンやアルカイダの原理主義の目的に忠実ではないという見方をしている。
アフガン新戦略は、マイク・マレン総合参謀本部議長、デイビッド・ペトレアス米中東軍司令官、ダグラス・ルート米陸軍中将、ボスニア戦争和平合意の立役者リチャード・ホルブルック特別代表ら、軍指導者の個々の評価に基づいて作られる。元中央情報局(CIA)中東専門家でアフガン新政策提案の責任者として起用されたブルース・リーデル氏がこれらの評価をまとめる。
オバマ政権のアフガン新戦略の概要は国際危機グループ(ICG)が13日に発表した報告書「Afghanistan: New U.S. Administration, New Directions」に重複する部分が多くあるが、ICGの戦略の方が戦闘を起こすことにより慎重で、アフガン政府が目指す目的を達成させることにもっと焦点を当てている。
タリバン構成員の中には必ずしもタリバン指導者の原理主義の熱意を持ち合わせていない人も多く存在し、米軍は彼らに報酬金を与えて米軍側に寝返らせればアフガン政府に対抗する反乱を抑えることができる。実際敵の戦闘人員を徐々に減らしていくこの方法はイラクで成功した。しかしICGはその戦略をアフガニスタンで採用することに賛成してはおらず、アフガニスタンはすでに武器と武装グループであふれており、責任所在のない傭兵を増やすことは結局民族緊張と暴力を悪化させるだけだと報告書で述べている。
ICGはまた報告で、並列構造に焦点をあてるよりも、アフガニスタンという国家づくり、法の原則強化、蔓延した政治汚職、民主主義の実現を図ることに力を注ぐべきだと言う。
楽観できないオバマ政権のアフガニスタン新戦略について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩
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