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中央アジア、環境悪化を乗り越えるため「水と土地の新たな協定」に期待

【サマルカンド(ウズベキスタン)IPS=キジト・マコエ】 ウズベキスタンのサマルカンド・コングレスセンターで、閣僚、外交官、開発関係者らが記念撮影のために集まった時、その場には通常とは異なる象徴的な意味合いが漂っていた。笑顔と儀礼的な雰囲気の背後には、より厳しい現実に直面する地域の姿があった。川の水量は減り、土壌は疲弊し、気温は上昇している。土地と水を管理してきた従来の方法は、もはや通用しなくなりつつある。|英語版| 中央アジア諸国は数十年にわたり、それぞれ別々に環境問題に取り組んできた。水資源を担当する省庁は灌漑に目を向け、農業省は生産目標の達成を追い、自然保護機関は分断された生態系の保全に努めてきた。しかし気候変動は、そうした行政上の縦割りの境界を溶かしつつある。 2026年5月30日から6月6日までウズベキスタンで開催された地球環境ファシリティ(GEF)第8回総会で、中央アジア5カ国は「中央アジア水・土地ネクサス・プログラム(CAWLN)」の実施開始を正式に発表した。これはGEFが3000万ドルを拠出し、国連食糧農業機関(FAO)が実施する取り組みで、水、土地、生物多様性、食料システムを相互に結びついた一つの体系として管理することを目指している。 支持者らは、この取り組みが国境を越えた気候適応の実験として、世界で最も注目される事例の一つになる可能性があるとみている。 カザフスタンのエコロジー・天然資源相イェルラン・ニサンバエフ氏は、ハイレベル円卓会合で、「中央アジアが土地の劣化、水不足、生物多様性の喪失、気候変動に伴う環境負荷の増大に直面していることは、広く認識されている。」と述べた。「しかし、こうした課題に対応するため、各国は環境問題に共同で取り組む姿勢で一致した。」 カザフスタンの草原からタジキスタンの山岳地帯、ウズベキスタンの灌漑平野に至るまで、中央アジアは共有河川システムと脆弱な生態系に依存している。それらは6000万人以上の人々の暮らしを支えている。しかし同地域は世界平均を上回る速度で温暖化が進み、氷河は後退し、干ばつの周期は激化し、水をめぐる競争は強まっている。 水需要は、この地域を特徴づける最大の脆弱性の一つとなっている。 中央アジアではすでにほぼ半分の地域で土地劣化が進み、年間60億ドルに上る経済損失を生んでいる。同時に、人口増加と消費パターンの変化が、限られた自然資源にさらなる圧力をかけ続けている。 このプロジェクトは、関係者が繰り返し「ネクサス・アプローチ」と呼んだ方法を通じて、こうした圧力に立ち向かおうとしている。 同プログラムの強力な支持国の一つであるスイスにとって、この取り組みは長年にわたる地域的関与が、より大きな構想として結実したものだ。 スイス連邦環境庁長官兼国務長官のカトリーナ・シュネーベルガー氏は、閣僚や代表団を前に、このプログラムを、温暖化する世界でますます必要とされる環境協力のモデルだと位置づけた。 「このプログラムは支援を必要とする国々に焦点を当て、環境分野を横断する統合を促し、国境を越えた協力を支援するものだ」と同氏は述べた。 シュネーベルガー氏は、環境政策があまりにも長い間、生態系を切り離された要素として扱ってきたと指摘した。 「砂漠化や水といった環境課題は、長きにわたり別々に取り組まれてきた。しかし結局のところ、水と土地の問題は結びついている」とシュネーベルガー氏は語った。 その説明は簡潔でありながら、説得力を持っていた。 「適切に管理された土地は、より少ない水で済む。そして適切に管理された淡水資源は、持続可能で生産的な農業を可能にする。」 スイスは、中央アジアにおける統合的環境プログラムを数十年にわたり支援してきた。その中には、「ブルー・ピース中央アジア」の枠組みに基づく国境を越えた取り組みや、過去の地域的土地管理プログラムも含まれる。 しかし関係者らは、新プログラムが規模と野心の面で新たな段階を示すものだと述べている。 CAWLNの中核にあるのは、個別部門の管理から、景観全体と河川システム全体の管理へと移行することである。 FAOのゴドフリー・マグウェンジ事務局次長は、この課題を地球規模の問題として位置づけた。 「気候変動、生物多様性の喪失、水ストレス、土地劣化、食料安全保障は、中央アジアの景観、河川流域、経済を横断して相互に結びついている」と同氏は代表団に語った。 「国境を越えたリスクに対処し、各国が脆弱性の要因に共同で取り組み、持続可能な開発のための2030アジェンダに向けた進展を加速するには、統合と協力が重要である。」 マグウェンジ氏によると、FAOは2009年以来、中央アジア諸国がGEFから約7700万ドルの資金を動員するのを支援してきた。 過去の地域的イニシアチブの一つでは、干ばつに弱く塩害を受けた280万ヘクタールの景観において統合的管理を回復し、約900万トンの排出を回避するとともに、数百万人の農民の強靱性を高めた。 新たな取り組みは、三つの主要な柱で構成されている。 第一に、政策調整と知識共有の仕組みをつくることで、国境を越えたガバナンスを強化すること。第二に、農地、森林、河川流域に至るまで、景観の現場で統合的な行動を支援すること。第三に、衛星監視、地理情報システム、統合データ・プラットフォームを活用し、証拠に基づく意思決定を向上させることである。 関係者らは、技術が実施の中核になると述べている。 地球観測システムは、水利用、土地劣化、生態系の健全性を追跡する。意思決定支援ツールは、各国政府が環境データを実践的な行動へと転換する助けとなる。 こうしたツールは極めて重要になる可能性がある。 この地域の将来は、アムダリヤ川とシルダリヤ川という二つの河川と密接に結びついている。 中央アジアの山岳地帯からアラル海流域へと流れるこれらの河川は、国々、経済、そして何百万もの人々の暮らしを結びつけている。 同プログラムは、四つの国家プロジェクトと、流域全体に及ぶ介入、地域調整メカニズムを組み合わせている。 国家プロジェクトでは、カザフスタンにおける生物多様性保全と牧草地管理、キルギスにおける農林地の再生、トルクメニスタンにおける気候強靱型農業、ウズベキスタンにおける生態系回復など、各国の優先課題に取り組む。 地域的構成要素では、アムダリヤ川、ザラフシャン川、パンジ川、シルダリヤ川、ナリン川の各流域における統合的水管理に焦点を当てる。 支持者らは、これらの投資によって100万ヘクタール以上の土地が回復し、数百万トンの炭素排出が回避され、約50万人の生計が改善されることを期待している。 UNECE水条約の下で国境を越えた協力を担当するフランチェスカ・カラビーニ氏は、中央アジアにおけるネクサス・ガバナンスの実験が、すでに世界的な実践の形成に影響を与えていると参加者に指摘した。 水・エネルギー・生態系ネクサスの枠組みで評価された最初期の河川流域の一つが、シルダリヤ川だった。 別の記者会見で、FAOの気候・環境部門責任者カヴェ・ザヘディ氏は、環境劣化の原因として非難されることの多い農業こそ、解決策の一部にならなければならないと主張した。 「私たちが食料を生産し、農民を支える方法は、気候の健全性と直接結びついている」と同氏は述べた。 「それは土壌や土地の健全性と直接結びついている。そして水や生態系とも直接結びついている。」 ザヘディ氏は、世界的に憂慮すべき傾向を挙げた。 2024年だけで、9600万人以上が、気候変動によって激化した気象災害などに関連する急性食料不安に直面した。一方で、7億人以上が今も飢餓に苦しんでいる。 しかし農業には機会もある。 「適切に行えば、食料と農業は、必要とされる排出削減量の最大3分の1を実現し得る。同時に自然を守ることもできる。」 生物多様性と経済的必要性のバランスについてIPSの質問に答えたザヘディ氏は、環境保護と生計が競合しなければならないという考えを否定した。 「持続可能な農業を含め、生物多様性の持続可能な利用こそが中核にある」と同氏は述べた。 「重要なのは、生物多様性の保護だけではない。保全、再生、そして生物多様性の持続可能な利用である。」 同氏はさらに、「健全な土壌がどれほど重要かを、農民に改めて説明する必要はない」と語った。 アグロフォレストリーや景観回復のようなプロジェクトは、所得を守りながら強靱性を高めると同氏は強調した。 総会の閉会式で、GEF暫定CEOのクロード・ガスコン氏は、この会合で最も明確な政治的メッセージを示した。 「本日は、中央アジアにとっても地球環境にとっても重要な節目である。私たちは2030年に向けた最終局面に入っている」と同氏は述べた。 「この地域の5カ国は、再び環境分野で力を合わせた。」 ガスコン氏は、このプログラムについて、各国が「水と土地の問題は相互に結びついており、別々にではなく一体として取り組むことが最善である」と認識しつつある証拠だと述べた。 同氏は、環境行動の次の段階には「政府全体、社会全体によるアプローチ」への移行が不可欠だと強調した。 会場の外では、サマルカンドの夏の暑さが、何が問われているのかを静かに物語っていた。 ザラフシャン川沿いに位置するこの都市は、中央アジアの歴史的な生命線の一つであり、水、農業、生存をめぐる問いが何世紀にもわたって文明を形づくってきた場所である。 今日、気候変動はそれらの問いを再び中心課題へと押し戻している。 中央アジア水・土地ネクサス・プログラムが成功するかどうかは、資金や政策だけにかかっているのではない。会議の横断幕が撤去された後も、各国が国境を越えた協力を持続できるかどうかにかかっている。 注:本特集記事はGEFの支援を受けて掲載された。編集内容についてはIPSが単独で責任を負うものであり、必ずしもGEFの見解を反映するものではない。 INPS Japan/ IPS UN Bureau Report 関連記事: 中央アジアの水資源問題と解決策 アラル海は不死鳥の如く「灰」のなかから蘇りつつある 中央アジア、新たな環境協力の段階へ

アフガニスタンの女性たち、医学課程を修了しても医師になれず

筆者はアフガニスタン在住の女性ジャーナリスト。タリバン政権復帰前にフィンランドの支援を受けて研修を受けた。安全上の理由から氏名は公表していない。 【カブールIPS=匿名】 アフガニスタンでは深刻な女性医師不足が続いているが、イスラム主義政権であるタリバンは女性医学生の卒業資格取得に制限を課し、その状況をさらに悪化させている。女性の医学部卒業生は、医師として正式に診療を行うために必要な最終試験の受験を認められていない。|英語版| アフガニスタンのパルワン州にあるアル・ビルーニ大学医学部を3年前に卒業したニラブ(仮名)は、タリバンによって最終試験の受験を禁じられたため、医師として働くことができない。 最終試験は、医学部卒業生の能力を評価するための試験であり、7年間の課程修了後に実施される。この試験に合格すると医師免許が付与され、卒業生は正式に医療行為を行うことができる。また、免許取得者は教育病院での専門研修にも応募できる。 「医師が最終試験に合格しなければ、高校を卒業したばかりの学生と同じ扱いになります。医療機関に就職を申し込むと、最初に『最終試験を受けましたか』と尋ねられます。受験していなければ、どの病院でも働くことはできず、看護師としてさえ採用されません。」とニラブは語った。 「私は19年間学び続けました。そのうち7年間は家族と離れ、別の州の学生寮で暮らしました。本当に大変な日々でした。ところが最後の段階で、たった一つの試験――最終試験――によって、これまでの努力のすべてが止められてしまいました。今では私の未来そのものが奪われています。」 女性向けの最終試験が最後に実施されたのは2021年である。それ以降、受験を許可されているのは男性だけだ。この状況は、もともと深刻だったアフガニスタンの女性医師不足をさらに悪化させている。 ニラブはカブールで母親と暮らしている。家族は7人きょうだいで、姉妹4人、兄弟3人だ。 姉妹2人と兄弟2人は大学を卒業しているが、その将来は不透明である。 妹の一人は全国大学入学試験で上位の成績を収め、医学部への進学を果たした。しかし学業を続けることはできなかった。また兄の一人はロシア文学を専攻して卒業したものの、職を得られていない。 一家の収入源は母親と姉妹の一人であるハリダ(仮名)だけである。2人は公立小学校で女子児童を教える教師として働いており、そのわずかな給与で家族全体を支えている。 ニラブ自身も別の方法で生計を立てようとしてきた。最近まで、女性は大学以外の医療教育機関で学ぶことが認められていた。 「困難の中でも、私は2年制の医療学校で教員として働いていました。しかし2025年1月、タリバンが医療学校を閉鎖したことで、その仕事も失いました。」とニラブは語った。 長年にわたる学びが無駄になったことで、彼女は深刻な精神的負担やストレス、不安を抱えるようになった。 「近年、多くの若い女性が自ら命を絶ったのを私たちは見てきました。若い女性たちの政府や司法、人権に対する信頼は完全に失われています。女性の声が封じられ、その思いが心の中に閉じ込められたままになると、耐え難い苦しみになります。その苦しみは私たちを蝕み、癒えることのない傷となるのです。」 タリバンの決定は、2022年以降に学業を修了したすべての女性医学生に影響を及ぼしている。その結果、内科、歯科、外科、循環器科、さらには産婦人科においても女性医師が不足している。 ハリダは2022年にカブールの私立医科大学を卒業した。 「最終試験を受けられないことで、私たちの人生は完全に壊されてしまいました。かつて思い描いていた未来は失われました。その未来のために、12年間の学校教育、大学入試の準備に1年、そして大学での7年間を費やして努力してきました。しかし、そのすべてが今では無駄になってしまったのです。」 卒業後、ハリダは経験を積むために複数の私立病院で無給で働いた。同時に超音波検査の専門研修も受けていた。しかし、最終試験も専門資格取得に必要な試験も実施されず、最終的には自宅に留まらざるを得なくなった。 女性医師の中には、専門性とは無関係で、しかも極めて低賃金の仕事に就かざるを得ない人もいる。 「私も一時期、病院で栄養失調患者向けの栄養補助食品を配布する仕事をしていました。しかし、これは高校卒業者でもできる仕事です。私たちは7年間医学を学んだ医師です。本来なら専門知識を生かして女性患者に医療を提供すべきなのです。」 現在ハリダは大学外で英語を学びながら、国の英語能力試験に合格し、奨学金を得て海外で学び続けることを目指している。 彼女は、アフガニスタンでの19年間の学びにもかかわらず、他者の苦しみも自らの苦しみも和らげることができていないと語る。いまなお家族の経済的支援に頼らざるを得ず、その支えがなければ、自宅の四方の壁の中に閉じこもるしかなくなることを恐れている。 タリバンによる数々の女性規制の結果、多くの女性が人生への希望を失っている。結婚への期待を失った女性もいれば、望まない結婚を強いられた女性もいる。 「私は未婚ですが、現在のアフガニスタンで結婚したいとは思いません。私たち以上に不幸な世代を新たにこの社会に生み出したくないからです。」とハリダは語った。 国連の専門家らは、アフガニスタンにおける女性の教育や就労への制限が、同国の医療危機を一層深刻化させていると警告している。特に、女性患者を診療できる女性医師や女性医療従事者の減少が大きな問題となっている。 「私たち女性医師は、長年学んできたにもかかわらず、社会の女性たちに医療を提供することができません。その代わりに家族の負担になってしまっています。教育を受けた女性にとって、これほどつらいことはありません。私たちはただ女性であり、タリバン統治下に生きているという理由だけで苦しんでいるのです。」とハリダは語った。 INPS Japan/IPS UN Bureau Report 関連記事: |オーストラリア|医療格差縮小に取り組む先住民族の医師たち イランにおける女性の生活と自由: 1年後の成果、損失、教訓 被抑圧者から社会意識の高い億万長者に上り詰めたインド女性

ロシア・アフリカ関係発展の基盤としてのメディア

【モスクワIPS=ケスター・ケン・クロメガー】 ロモノーソフ・モスクワ国立大学ジャーナリズム学部の後援のもと、ロシア・アフリカ・クラブは4月下旬、ロシアとアフリカのジャーナリストによる第4回国際フォーラムを開催した。同フォーラムは、両地域のメディア協力における新たな歴史的節目となった。|ENGLISH| 毎年の恒例に従い、討議ではメディアのあり方、構造、現在の活動状況、情報発信の内容、課題、そして将来展望に焦点が当てられた。 また、アフリカとロシア連邦の双方におけるメディアが、二国間関係の強化にどのような役割を果たしてきたのか、さらに第1回および第2回ロシア・アフリカ首脳会議で掲げられた重要目標の推進に寄与してきたのかを、批判的に検証することも共通の目的であった。 なぜメディアなのか 予想された通り、会合では踏み込んだ議論が行われた。同時に、「ロシアとアフリカのマスメディア:世界の諸民族の友好と連帯を強化する役割」というフォーラムのテーマをめぐり、著名な専門家らがメディア活動の現状に関する見解や批判を提示し、議論は白熱した。 モスクワ国立大学ジャーナリズム学部長のエレナ・ヴァルタノワ氏は、メディアはロシアとアフリカの多様なパートナーシップ構築に貢献すべきだと指摘した。また、現代世界が複雑な変容を遂げるなか、統一的な情報空間を創出するうえで、異文化間対話が重要であると強調した。 MGIMO国際ジャーナリズム学部長のヤロスラフ・スクヴォルツォフ氏は、最近行った南アフリカへの特別な訪問について語り、南アフリカ、そしてアフリカ大陸全体は、ロシアのメディアにとって依然として「報道の空白地帯」であると述べた。同時に、アフリカの読者や視聴者に向けたロシア報道も極めて限られていると指摘した。 同氏は、この分野において、真摯で思慮深く、掘り下げた報道活動が必要だと強調した。また、強固な関係を築き、地政学的展開への理解を深め、アフリカ大陸の市民社会との対話を促進するため、より多くの機会を探る必要があると訴えた。 背景にある理由 ロシアとアフリカの間に存在するメディア活動の格差は、欧米メディアの圧倒的な影響力、ロシアにおけるアフリカ発の直接報道の少なさ、すなわち認定を受けたアフリカ人ジャーナリストの不足、そして制度的投資の限界に起因している。 こうした要因は、アフリカ研究を専門とするジャーナリストでITAR-TASS分析センターのコラムニストであるオレグ・オシポフ氏、ロシア・ジャーナリスト連盟書記で同連盟国際部長を務めるティムール・シャフィール氏、モスクワ国立大学ロシア・アフリカ・クラブのアフリカ系ディアスポラ・メディア関係委員会委員長で、アフリカ・ビジネス・クラブ会長でもあるルイス・ゴウェンド氏らによって、討議の中で指摘された。 オレグ・オシポフ氏は、ロシアとアフリカのジャーナリズムにおける情報不足に率直な懸念を示した。そのうえで、アフリカ大陸全域にロシアの特派員拠点網を拡大するとともに、経験豊かなアフリカ人メディア関係者をロシアに招くことが急務だと強調した。世界的に地政学的緊張が高まる今日、この課題はとりわけ重要である。 同氏は、現在の世界的潮流を踏まえれば、ロシアはあらゆる分野で存在感を拡大する必要があり、メディア空間はその過程における重要な構成要素であると述べた。 一方、ティムール・シャフィール氏は、メディアを通じてロシアとアフリカの人々や文化が相互にどのように認識されているのかを見つめ、共通の基盤を見いだすことが、今こそ特に重要であると述べた。 さらに同氏は、現在のメディア環境が大きな変革期にあり、技術、受け手、コミュニケーション手段が変化していると指摘した。そのため、ジャーナリズムは特別な責任と職業的誠実さを求められる分野であり、ロシアとアフリカのジャーナリストによる直接対話は、これまで以上に重要になっていると強調した。 新たなアプローチの模索 第4回ロシア・アフリカ・ジャーナリスト国際フォーラムは、新たな夜明けであり、両地域のメディア活動を改善するための新たな章を開くものと受け止められた。参加者はこの見解に大きな拍手を送った。登壇者らは、同フォーラムが多くの新たな共同イニシアチブの出発点になるとの確信を表明した。 ルイス・ゴウェンド氏によれば、たとえば、モスクワ国立大学ロシア・アフリカ・クラブが2022年に創設した情報資源であるメディア・プラットフォーム「RusAfroMedia」は、協力強化を通じて抜本的に刷新され、ロシア・アフリカ協力のイメージ向上に貢献する必要がある。 このプラットフォームは、自由で率直な意見交換、有益で関連性の高い情報の共有、そしてロシアとアフリカのあらゆる協力分野におけるイニシアチブの推進に必要な条件を備えている。同氏は、RusAfroMedia上でロシア人ジャーナリストの活動がアフリカ側に比べて著しく低調であることに懸念を示し、出席者にこの資源をさらに積極的に活用するよう呼びかけた。 ロシア・アフリカ・クラブの事務局長アレクサンドル・ベルドニコフ氏は、世界で新たな発展傾向が広がるなか、ジャーナリズムとメディア分野全体は、情報戦や特殊作戦の「戦場」となりつつあると明確に述べた。 同氏は、2026年10月に予定されている第3回ロシア・アフリカ首脳会議を前に今回のフォーラムが開催されたことは、参加者がロシアとアフリカのジャーナリズム協力に関する解決策やイニシアチブを形成するうえで極めて重要であると指摘した。そうした提案は、今後のアフリカ諸国首脳会議に向けた実践的勧告の基盤となるという。 伝統的取り組みの継続 TASS国際関係局の儀典・アフリカ部長リュボフ・サフノ氏は、ロシア最古の通信社を代表し、ITAR-TASSがアフリカのメディアに対して外国語ニュース配信を継続的に提供してきた取り組みについて説明した。ただし、ロシア・メディアの海外展開は限られた予算という制約に直面している。 同氏によると、アフリカでは400を超えるメディア機関がこれらの情報資源を利用している。また、同氏はロシア・アフリカ首脳会議に合わせて伝統的に開催される同社のメディア・フォーラムについても説明した。 国際通信社「ロシア・セゴドニャ」のメディア研究・分析局副局長セルゲイ・グラチェフ氏は、今日、ロシアが欧米メディアから前例のない圧力を受けているという点で、同僚らと見解を同じくした。アフリカのメディアは多くの場合、欧米の情報源に依存しており、ロシア当局者は、それが偏向的あるいは敵対的な情報で満たされる「空白」を生み出していると主張している。 それにもかかわらず、アフリカにおけるロシアのメディア・プロジェクトは発展を続けている。同氏は、33の外国語で発信するスプートニクのソーシャルメディア上での展開について、分析モデルを紹介した。 通信社「アフリカ・イニシアチブ」の編集長ブインタ・ベンベエワ氏は、近年、ロシアのニュースにおいてアフリカの存在感が明らかに高まっていると述べた。同氏は、アフリカにおける同社の経験について説明した。同社は、多くのアフリカ諸国で現地メディアとの協力協定を通じて存在感を示している。 また、同社はブロガーとも協力し、若いアフリカ人ジャーナリストを対象としたジャーナリズム学校も運営している。アフリカのメディア機関と現地で直接、緊密に協力することこそ、本格的なジャーナリズム活動を実現する鍵である。 ナイジェリアの研究者からの提言 カドゥナ州立大学のババトゥンデ・ジョセフ教授は、戦略的コミュニケーションを強化することで、パートナーシップを深め、アフリカ諸国の文化を結びつける必要性について語った。同教授は、アフリカにおけるロシア通信社の存在感と、ロシアにおけるアフリカ・メディアの存在感を拡大する必要があるという点で、ロシア側の同僚らに同意した。 同教授は、ナイジェリアだけでもハウサ語、ヨルバ語、イボ語、ピジン英語、そして平易な英語の5言語で放送を行う有名な英国のラジオ局を例に挙げた。「これは成功した戦略である」と、同教授は認めざるを得なかった。 ナイジェリア代表団を率いたカドゥナ州立大学のモハマド・バシル・アリ教授は、ロシアとアフリカの経済・起業協力を促進するうえでメディアが果たしてきた伝統的役割について、詳しく論じた。アフリカとロシアの双方が複雑な国際環境による多くの課題に直面しているにもかかわらず、この分野には巨大な可能性がある。同教授は、メディア分野における一層の連携強化が不可欠であると結論づけた。 同じくカドゥナ州立大学のユシャウ・イブラヒム・アンゴ教授とアヨデレ・ババトゥンデ教授は、「デジタル化の文脈におけるアフリカの創造産業とメディア・システム」と題する研究報告を行い、デジタルメディアがナイジェリア経済における起業活動に与える影響を分析した。 同報告は、デジタル・プラットフォームへの依存が、アルゴリズムの予測不能性を含む新たな脆弱性を経済にもたらしていると結論づけた。また、デジタル・プラットフォームを起業活動のインフラとして理論化することで、起業研究とメディア研究に貢献するものであり、政策、プラットフォーム・ガバナンス、そしてアフリカの文脈においてメディアが経済生活をどのように形づくるのかを理解するうえで示唆を与えるものとなった。 結び ロシア・アフリカ・クラブ青年プロジェクト委員会委員長のハフィズ・バシ氏は、閉会挨拶で、ソ連時代の政治的決まり文句によってロシアとアフリカを描く古い固定観念を改める時期に来ていると強く訴えた。 「私たちに必要なのは、人々をさらに隔てるジャーナリズムではなく、人々を結びつけるジャーナリズムである」とバシ氏は強調した。また、ロシアで認定を受けたアフリカ人ジャーナリストが不足していることは、依然として差し迫った課題であると指摘した。 一方、アフリカのメディアはロシアについて主に政治的な観点から報じており、ロシア文化の真の深みやロシアの人々の精神を十分に伝えられていない。バシ氏によれば、ロシア・アフリカ・ジャーナリスト・フォーラムは、ロシアとアフリカのメディア協力を強化するための最も差し迫った課題、展望、戦略を議論する場として、その重要性を改めて示した。 急速な地政学的変化の時代にあって、また欧米諸国とその同盟国による攻撃的な言説に対応するうえで、パブリック・ディプロマシー、ソフトパワー、平和構築に資するジャーナリズムは、ますます重要性を増している。ロシア・アフリカ対話の強固な基盤を築くためには、慎重な分析と有効な措置が求められる。 ケスター・ケン・クロメガは、アフリカにおける現在の地政学的変化、対外関係、そして外部諸国との経済開発に関する問題を専門としている。同氏の記事の多くは、信頼性の高い複数の海外メディアに転載されている。 INPS Japan 関連記事: ロシアが集めるアフリカの「捨て駒」 |ブルキナファソ|3年の破られた約束 アフリカのクーデターと資源の権利

アフリカの水は未来そのものだ――誰がそれを統治するのか

【国連IPS=クリスティーナ・ドゥアルテ】 アフリカには、世界の再生可能淡水資源の9%、未開発の水力発電潜在力600ギガワット超、そして世界の未耕作の耕作可能地の60~65%が存在する。|ENGLISH| その労働力は地球上で最も若い。消費市場は2050年までに25億人規模に達する。これらを合わせれば、今後数十年、世界の水・エネルギー・食料システムが必要とするあらゆる生産要素がそろっていることになる。 これは欠乏の大陸ではない。戦略的豊かさを備えた大陸である。アフリカ連合(AU)が2026年のテーマを水と衛生に据えたことは、アフリカの指導者たちが、この豊かさをそれにふさわしく統治する用意があることを示している。 豊かさが適切に統治されるとはどういうことか、考えてみたい。グランド・インガ・ダムだけでも、中国の三峡ダムの2倍の発電量を生み出し、中部、南部、西部アフリカの産業に電力を供給できる可能性がある。レソト高地水プロジェクトは、アフリカ自身が手がける国境を越えた水インフラが大規模に機能し、主要な都市経済に供給できることをすでに証明している。 サブサハラ・アフリカの耕作可能地に占める管理灌漑の割合は3.7%にすぎず、開発途上地域で最も低い。この割合を今後10年で10%に引き上げるだけでも、食料安全保障は大きく変わり、農業バリューチェーン全体で数百万人規模の雇用が生まれ、降雨変動に対する大陸の脆弱性も低下するだろう。 こうした投資はいずれも、アフリカの技術的能力の射程内にある。工学的知見はすでにある。水はある。土地はある。労働力もある。 問われているのはガバナンスである。この点について、アフリカは自らに率直でなければならない。現在主流となっているアプローチは、この機会の規模に見合っていない。各国政府やドナーは、水を道路、港湾、送電網と同等の生産的インフラとして扱うのではなく、掘削井戸や簡易トイレを案件ごとに管理する社会サービス提供の課題として扱ってきた。 維持管理予算を伴わずに設置された手押しポンプは、開発ではない。衛生システムにつながらない穴式トイレの建設も、開発ではない。こうした介入は、成果管理の枠組み上は進捗として記録されるかもしれない。しかし、経済を変革するものではない。それらは資産ではなく、消耗品である。 この不均衡を示す証拠は明白である。安全に管理された飲料水を利用できるアフリカの人々は、人口の半数にも満たず、41%にとどまる。小学校就学年齢の子ども2300万人が、空腹のまま授業を受けている。約4億2900万人のアフリカ人が極度の貧困の中で暮らしており、この数は2030年にも4億人を上回ると予測されている。 これらの数字が示しているのは、資源に乏しい大陸の姿ではない。水を戦略ではなく慈善として扱うガバナンスモデルであり、限られた資本を消費しながら持続的なシステムを生み出さない「建設し、放置し、再建する」という循環である。 アフリカはこの循環を断ち切ることができる。私は、その軌道を変えるために3つの転換を提案したい。 第一に、「戦略的資産管理」を大陸規模の基本方針として採用することである。 ダム、灌漑網、都市部の処理施設、国境を越える水システムは、50年から100年の寿命を持つ資産である。これらに必要なのは、5年単位のプロジェクト期間ではなく、持続的な制度的管理である。計画から維持管理、更新に至る全ライフサイクルを通じて、あらゆる段階に気候適応を組み込みながら統治しなければならない。 アフリカ各国政府が水システムを国家インフラとして、すなわち引き渡して終わる一時的な事業ではなく、維持すべき恒久的な資産として扱うとき、「建設し、放置し、再建する」というパターンは終わる。 第二に、大陸規模の灌漑拡大に着手することである。 南アジアでは耕作可能地の41%が灌漑されている。サブサハラ・アフリカでは3.7%にすぎない。今後10年でこの差の一部を埋めるだけでも、雇用を生み出し、農業バリューチェーンを構築し、食料主権を強化し、輸入食料への依存を減らすことができる。水があっても灌漑がなければ何も育たない。土地があっても水がなければ誰も養えない。管理された灌漑こそ、賦存資源を経済価値へと転換する最短の道である。 第三に、共有流域に対して、実効性ある協調的ガバナンスを構築することである。 アフリカの地表水の90%は、少なくとも1つの国境を越えて流れている。ナイル川、ニジェール川、コンゴ川、ザンベジ川。これらは地域的なシステムであり、地域的なガバナンスを必要としている。アフリカには、すでに機能しているモデルがある。セネガル川流域開発機構は、4カ国にまたがる越境システムを半世紀にわたって管理してきた。課題は、協調的ガバナンスを例外ではなく標準にすることである。それは外交上の礼儀としてではなく、地域の安定と統合に向けた戦略的要件として位置づけられなければならない。 こうした転換に資金を投じるには、アフリカ自身が自らの資源をもって主導しなければならない。AUハイレベル・パネルおよびアフリカ開発銀行によれば、水安全保障の格差を埋めるには、年間500億~640億ドルが必要とされる。主たる資金基盤は国内になければならない。料金体系を段階的に改革し、維持管理予算を守り、漏出を止め、水への投資を道路や送電網と同じ真剣さで扱うべきである。 アフリカはまた、統合的な水投資に向けて、これまで慢性的に活用しきれてこなかった国際気候資金を動員しなければならない。さらに、アフリカ各国政府は、義務的な水影響評価なしに外国資本による土地取引の承認を検討すべきではない。アフリカ各国政府は、土地管理と土地ガバナンスを、水ガバナンスと一体的に扱う必要がある。外国にリースされたアフリカの農地で栽培され、輸出される作物はすべて、大陸外への「仮想水」の移転である。その水は価格付けされず、勘定に入れられず、統治されてこなかった。土地と水は切り離せない。一方を手放すことは、他方を手放すことに等しい。 今後数十年のうちに、世界はアフリカの水と土地を開発するだろう。その過程はすでに始まっている。自国の水と食料の制約に直面する豊かな国々は、アフリカの豊かさが意味する現実的な計算を理解し、それに応じた布石を打っている。唯一の問いは、この開発がアフリカ自身の条件で進むのか、それとも他者の条件で進むのかである。 最後に、厳しい現実を述べておきたい。持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までにアフリカで達成されることはないだろう。率直であるなら、そう言わなければならない。しかし、アフリカの指導者たちがいま、水を本来あるべきものとして統治することを選ぶなら、2030年以後の世代は異なる未来を受け継ぐことができる。すなわち、水を経済変革の原動力、平和の基盤、そして大陸が子どもたちのために託された最も重要な資産として扱う未来である。 アフリカの水は、アフリカの未来である。問われているのは、アフリカがそれを統治するのか、それとも他者によって統治されるのかということである。 クリスティーナ・ドゥアルテは、国連アフリカ担当特別顧問室の事務次長である。 INPS Japan/ IPS UN Bureau Report 関連記事: ESDが変える学び―サブサハラ・アフリカのSDG4への挑戦 |トーゴ|森林の再生を通して女性の所得機会向上に資する画期的なプロジェクトが始まる |タンザニア|味とインパクトで勝負し、茶貿易を変革する