【国連IPS=タリフ・ディーン】
トランプ政権は、上級顧問であるイーロン・マスク氏の主導で暴走を続けている。政府職員の大量解雇、連邦機関の解体、教育省とUSAID(米国国際開発庁)の廃止、連邦判事への挑戦、大学への助成金・契約の大幅削減の脅し—これらの決定は、新設された「政府効率化省(Department of Government Efficiency, DOGE)」によって主導されている。

そして、さらなる動きも予想されている。
この一連の削減は、「無駄な支出」にメスを入れるためにマスク氏が巨大なチェーンソーを振り回すイメージとして象徴されている。
しかし、解雇とその後の撤回、方針の二転三転により、首都ワシントンは混乱に陥っている。
さらに、政治的な怒りが日常化しつつある。
テック界の億万長者であり、事実上トランプ大統領の「首相」のように振る舞うマスク氏は、アメリカが北大西洋条約機構(NATO)と国連(UN)を脱退すべきだと訴えている。彼は右派政治評論家の投稿に対し「その通りだ。もうアメリカがNATOと国連に留まる時代は終わった」と同意するコメントを寄せた。
国連脱退の脅威は、共和党議員らが米国の国連脱退法案を提出したことでさらに強まっている。彼らは、国連がトランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策に合致していないと主張している。
1947年に締結されたこの協定は、ニューヨークのタートルベイ地区(かつての屠殺場跡地)に国連本部を設立するための国際条約である。国際法上、条約は通常、締約国に対して拘束力を持つ。しかし、米国には条約から脱退するための憲法上の手続きが存在する。
ウォール・ストリート・ジャーナルの2025年3月14日付記事「国連はニューヨークでアメリカを搾取している。」で、ヘリテージ財団の上級研究員でジョージ・メイソン大学法学部教授のユージーン・コントロビッチ氏は、次のように述べている。
「第二次世界大戦後、国連の戦争防止能力への楽観論の波の中で、米国は新設された国連本部のホスト国となることを申し出た。ジョン・D・ロックフェラー・ジュニア氏は土地を寄付し、ワシントンは今の価値で数十億ドルに相当する無利子融資を提供した。」
協定では、「国連本部地区がその目的に使用されなくなるまで移転はできない」と明記されているが、一部の国連関係者はこれを「国連が追放されることはない」と解釈している。
しかし、コントロビッチ氏はこう指摘する。
「この協定は条約であり、国際法の原則では条約は明示的な規定がない限り、締約国の意思次第で終了させることができる。仮に不可逆的な協定が意図されていたならば、議会が批准する際にその点を明示していたはずだ。」
彼はさらに、「トランプ大統領は1947年の協定を見直すべきだ。これはひどい不動産取引だった。」と主張している。
サンフランシスコ大学の政治・国際研究学教授であるスティーブン・ズネス博士はIPSの取材に対して、「国連本部を米国から移転するという考えは長年、極右勢力によって主張されてきたが、ほとんどの場合、真剣に受け止められていなかった。」と語った。しかし、ズネス博士は、「トランプ政権はこれまで、最も過激なイデオロギー主導の提案さえも政策として実行に移してきた。」と指摘する。
1988年、レーガン政権がPLO議長のヤーセル・アラファト氏の国連での演説を認めず、総会がジュネーブに移動して演説を聞いた出来事も、米国が条約義務を履行しなかった例だ。
「国連本部の移転は、第二次世界大戦後の米国の国際的リーダーシップの象徴の終焉を意味するだろう。」

ズネス博士は、USAID(米国国際開発庁)、フルブライト・プログラム、その他の国際協力の象徴を解体するというトランプ政権の決定と相まって、米国が国際協調の主導的地位を放棄することになると警告している。
「一方で、民主党政権下でも、バイデン政権のイスラエルのガザ戦争、パレスチナ国家承認、国際司法裁判所(ICJ)、国際刑事裁判所(ICC)、その他の国連機関に関する方針を見ると、米国は国際社会の主導者というよりも、むしろ逸脱者になりつつある。」
ズネス博士は、国連本部が「より中立的な場所」に移転されることは、結果的には良い方向に進む可能性があるとも述べている。
これまでに米国は、国連人権理事会(UNHRC)と世界保健機関(WHO)から脱退し、さらに国連教育科学文化機関(UNESCO)および国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)にも「再評価が必要だ」と警告している。これは、これらの機関からの米国撤退の脅しとも受け取れる。
さらに、国連人口基金(UNFPA)への3億7,700万ドルの資金提供も削減された。
国連機関がすでに一部の機能を米国外に移転する動きも始まっている。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は先月の記者会見で、「ナイロビにサービス拠点を設置するための投資を進めており、UNICEF(国連児童基金)とUNFPA(国連人口基金)は近く主要業務をナイロビに移転する予定だ」と述べた。
セットンホール大学外交・国際関係学部のアカデミック・学生担当副学部長であるマーティン・S・エドワーズ教授はIPSの取材に対し、「米国の国連脱退の意図が何であるかは不明だ」としながらも、こう述べた。
「明らかなのは、これは巨大な過ちになるということだ。トランプ政権は支持基盤の一部に媚びるためだけに、中国に巨大な外交的勝利を与えることになるだろう。中国は国連本部を引き受けるチャンスに飛びつくに違いない。」
彼は、「仮にホワイトハウスが国連を重要視していなければ、エリース・ステファニック氏を国連大使に指名することはなかったはずだ」と強調した。
ワシントン・エグザミナーの2025年1月の記事によると、下院共和党のナンバー4であり、次期国連大使であるエリース・ステファニック氏は、国連への資金提供を精査し、必要であれば予算削減を進めると誓っている。
「私は議員として、米国の納税者の資金を慎重に管理する必要性を深く理解している。米国は国連への最大の資金提供国である。私たちの税金が、米国の利益に反し、反ユダヤ主義、汚職、テロに関与する組織を支えることは許されない。」
現在、米国は国連の通常予算の22%、平和維持活動の27%を負担しているが、通常予算への拠出金の未払い額は15億ドルに上っている。さらに、通常予算、平和維持活動、国際法廷への拠出金を合わせると、米国の未払い額は28億ドルに達している。(原文へ)
INPS Japan/IPS UN BUREAU
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