【ニューヨークIPS=アザ・カラム】
ジェンダーに基づく暴力の根絶を目指して始まった「女性に対する暴力撤廃のための16日間の行動。」今年のテーマは、女性と少女に対する暴力がパンデミック規模に達している現実を強調している。その数字は驚愕に値する。
統計によれば、世界中で数百万の女性と少女が身体的または性的暴力を受けている。欧州では人身取引の95%が女性を性的搾取の対象としており、2023年には10分毎にパートナーや家族によって女性が故意に殺害された。また、3人に1人の女性が生涯で暴力を経験し、4人に1人の思春期の少女がパートナーから虐待を受けている。
この「16日間の行動」は、あらゆる意思決定者による責任と行動を求め、約束を新たにする機会である。2025年は「北京宣言」と「行動綱領」の30周年にあたる。これらは、UN Womenが「女性と少女の権利とジェンダー平等の達成に向けた先見的な青写真」と評するものである。
女性に対する暴力(VAW)というパズルの重要な要素

女性に対する暴力がパンデミック的規模に達しているにもかかわらず、政府当局による正式な宣言は行われていない。また、増加の一途をたどる恐ろしいデータがある中で、いくつかの重要な側面が浮かび上がっている。
国際的活動家であり、リード・インテグリティの創設パートナーであるフラタ・モヨ博士は、女性と男性の「正義ある共同体」のプログラムを推進した人物である。彼女は、権力の不平等が女性に対する暴力の中心にあると強調している。モヨ博士はまた、メンターとメンターに指導を受ける側が互いに学び合う相互性の重要性を訴えており、この意識を高めることが個人、家族、社会、国家における権力の不均衡を正す手段となると述べている。
一方、リード・インテグリティのもう一人の創設パートナーであり、テンプル・オブ・アンダースタンディングの国連代表を務めるエコフェミニストのグローブ・ハリス氏は、地球への搾取的暴力が女性に対する暴力を反映しており、その逆もまた然りであると主張している。つまり、女性と少女への暴力と地球への暴力を分けて考えるのではなく、統合的に取り組む必要があるというのだ。
リード・インテグリティのシニアアドバイザーでありジェンダー専門家のゲハン・アブゼイド氏も、VAWは生態系、経済、政治、社会を含むすべての生活領域に浸透する構造的暴力の問題であると指摘しています。不平等な権力関係が人々や機関を暴力的な関係に陥らせる基盤となっている。
終わりなき連帯の必要性
VAWの根本原因が不平等な権力関係である以上、その解決は女性だけに任せるべきではない。法的措置や政策だけでは不十分であり、あらゆる人々、機関、国家、イニシアチブがその責任を負うべきである。また、女性同士の暴力や男性同士の暴力もVAWの増加と関連しており、戦争などの暴力的な状況はその一例である。
多様なステークホルダーを巻き込む取り組みとして、2024年にアゼルバイジャン・バクーで開催されたCOP29で発足した「女性・信仰・気候変動ネットワーク」が挙げられる。このネットワークは、女性の信仰心を持つリーダー(先住民族の女性を含む)を中心に、政府やNGO、多国間機関と協力し、権力の不均衡を是正するための知識と影響力を高めることを目指している。
統合的アプローチへの移行
私たちがそれぞれの領域(世俗的、宗教的、フェミニスト、人権、平和構築、経済など)で懸命に働きながらも、相互に関連する暴力の形態を十分に対処できていないのではないか、という自問が必要である。このVAWというパンデミックの認識が、分断と恐怖の中でも連携を促進する契機となるのか、それとも過去の過ちを繰り返すのか。私たちの平和的共存、ひいてはこの地球で生き続ける能力そのものがかかっている。(原文へ)
アザ・カラム博士はリード・インテグリティの会長兼CEOであり、ノートルダム大学アンサリ宗教・グローバルエンゲージメントセンターのアフィリエイト教授。
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