【ブラジル・ベレンIPS=タンカ・ダカル】
灼熱の暑さと湿気のなか、カンル・パタショは生後1年の息子をしっかり抱きかかえながら行進していた。パタショは、土曜日にベレンで怒りを示し、世界の指導者たちに圧力をかけるために集まった何千人もの先住民族と活動家のひとりである。国連気候変動会議(COP30)の開催都市で行われた抗議行動に息子とともに参加したのは、まさに子どもの未来のために闘っているからだ。
「息子をここに連れてきたのは、未来を守る必要があることを示すためだ」とパタショは語り、照りつける日差しから息子の顔を覆いながら続けた。「彼は私の未来であり、先住民の人々の未来でもある。」
パタショは、世界最大の炭素吸収源であるアマゾン森林地帯の先住民族である。COP30の交渉会場で世界の指導者や交渉官が気候行動の行方を決める一方、気候変動の最前線に暮らす人びとと活動家たちは、今すぐ行動を起こすよう求めて行進した。
「やるべきことはもっとあると思う。会議だけでは息子の未来を保証するには十分ではない。」とパタショは言う。「息子の未来は、各国が環境のために何をするかにかかっている。」
気候交渉は最終週へと向かっている。先住民族や気候活動家たちは、企業ではなく“人びとのための”気候正義を求めている。グラスゴーで開催されたCOP26後、同市でも最大規模の市民デモが起きた。プラカードや燃えゆく地球を模した象徴物を掲げ、化石燃料産業、政府の無作為、企業ロビー活動を厳しく批判した。
「今回のCOPで素晴らしいと思うのは、市民的不服従が認められていることです」と南アフリカの気候活動家ティミ・モロトは語った。「先住民族が解放を勝ち取るための手段に制限を設けるべきではないのです。」
国連環境計画(UNEP)が最近発表した「排出ギャップ報告書」は、世界が今後10年以内に**1.5℃**の気温上昇を超える軌道に乗っていることを警告し、緊急行動を呼びかけている。

・COP30開催都市ベレンで行われた「ピープルズ・マーチ・フォー・クライメイト(気候のための市民行進)」で、伝統衣装を身にまとった先住民族。撮影:タンカ・ダカル/IPS

・COP30開催都市ベレンで行われた気候マーチで、何千人もの人びとが気候行動を求めて行進した。撮影:タンカ・ダカル/IPS

・化石燃料による汚染を象徴する衣装を着たデモ参加者たち(COP30開催都市ベレン)。
撮影:タンカ・ダカル/IPS

・COP30開催都市ベレンで行われた気候マーチで声を上げる若い活動家。撮影:タンカ・ダカル/IPS

・精巧な羽飾りをつけた先住民族の参加者(COP30開催都市ベレン)。撮影:タンカ・ダカル/IPS

・強烈な暑さにもかかわらず、数キロにわたり歩き続ける参加者たち(COP30開催都市ベレン)。
撮影:タンカ・ダカル/IPS

・気候マーチの主要な要求は化石燃料の段階的廃止。しかしCOPには1600人以上の化石燃料ロビイストが参加している。撮影:タンカ・ダカル/IPS

・COP30開催都市ベレンで行われた気候マーチに参加した先住民族のグループ。撮影:タンカ・ダカル/IPS

・COP30開催都市ベレンで行われた気候マーチで、マスクを着けて行進する参加者。撮影:タンカ・ダカル/IPS
このフォトエッセイは、オープン・ソサエティ財団の支援を受けて掲載された。
INPS Japan/Inter Press Service
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