SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)国連の未来サミットを前に、若者に焦点を当てた「未来アクションフェス」の教訓

国連の未来サミットを前に、若者に焦点を当てた「未来アクションフェス」の教訓

【ナイロビIPS=ジョイス・チンビ

世界は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた折り返し地点を通過したが、未曽有の破壊力を持つ複合的な脅威に見舞われている。なかでも、最も差し迫った世界的課題は気候危機と核武装の脅威である。また、深刻な懸念事項として、重要な世界的課題に対する若者の関与が著しく不足していることが挙げられる。

2024 UN Civil Society Conference

ナイロビで開催された2024年国連市民社会会議(5月9日~10日)においてIPSの取材に応じた永井忠氏は、SDGs達成に向けた進展を加速させるために、連携と運動の構築、そして若者の関与の重要性を強調した。この市民社会会議(ナイロビ会議)の成果は、国連が9月にニューヨークで数百人の世界の指導者、政策立案者、専門家、提唱者を招いて開催する「国連の未来サミット」のハイレベル会合に提出される。

「2024年3月、東京で開催された未来アクションフェスには、約6万6千人が参加し、ライブ配信を通じて延べ50万人以上が視聴しました。このイベントは、核軍縮と気候変動の解決という2つの世界的な関心事について、若者の理解を深め、積極的な姿勢を育むために、若者と市民団体が協力して開催したものです。」と、創価学会インタナショナル(SGI)ユースと未来アクションフェス実行委員会を代表してナイロビ会議に参加していた永井氏は語った。

未来アクションフェス実行委員会はGeNuineグリーンピース・ジャパン日本若者協議会カクワカ広島Youth for TPNW、SGIユースを含む6団体の代表で構成されている。永井氏は、「この実行委員会は、核兵器の脅威気候危機という、人類の存立を脅かす今日の2大脅威について、世界的、国家的、地域的な問題を解決するための具体的かつ影響力のある連携と運動の構築を目指して活動しています。」と語った。

Future Action Festival convened at Tokyo's National Stadium on March 24, drawing approximately 66,000 attedees. Photo: Yukie Asagiri, INPS Japan.
Future Action Festival convened at Tokyo’s National Stadium on March 24, drawing approximately 66,000 attedees. Photo: Yukie Asagiri, INPS Japan.

永井氏は、SDGsやその他の関連する世界的・国家的コミットメントを達成するために必要不可欠な、「若者の参画」と「平和な世界という約束の実現」との間の不可分のつながりについて語った。未来アクションフェスの開催に先立ち、実行委員会は2023年11月から24年2月にかけて、日本全国で10代から40代を対象に若者の意識調査を実施した。この調査では、社会、気候変動、核兵器、若者と社会システム、国連といったテーマに焦点を当てた。

調査結果は示唆に富んだもので、若者がこれらの問題をどのように受け止め、その解決にどのような役割を果たしうるかについての洞察を与えてくれた。例えば、核兵器のない世界の実現については、回答者の82%が核兵器は必要ないと答えている。調査対象のサンプル数が119,925人にのぼっていることから、核兵器廃絶は日本の若者の間で広く共有されているビジョンである。

Future Action Festival Filmed and edited by Katsuhiro Asagiri, Yukie Asagiri and Kevin Lin of INPS Japan Media.

「私たちは、ナイロビ会議に参加する市民社会組織が、今日人類が直面している最も深刻な存続の危機に対処するために、いかにインパクトがあり、有益で、人生を変えるような連合や運動を構築できるかについて、日本からの教訓を携えてきました。ナイロビ会議は国連の未来サミットを前にして開催されるユニークで歴史的イベントであり、非常に重要なものです。未来アクションフェスは、ナイロビ会議の成果が9月の国連の未来サミットに報告されるのと同じように、国際社会にとって極めて重要な問題について若者の声を結集する機会でした。」と永井氏は語った。

未来アクションフェス実行委員会は、このイベントを通じて国連のイニシアチブに貢献し、新設された国連ユース・オフィスを支持することを決定した。さらに、平和で持続可能な未来に向けた国際協力と連帯を強化する機運を醸成することを目指している。

こうしてこのことを念頭に、「未来アクションフェス」の共同宣言は、国連の未来サミットのハイレベル会合における協議に資するべく、国連に提出された。同ハイレベル会議では、「未来のための協定」(ゼロ・ドラフト)、「グローバル・デジタル・コンパクト」、「未来世代宣言」の3つの国際的な枠組みを作成される予定である。永井氏は、「未来のための協定」は野心的で、包括的で、革新的でなければならないと語った。

UN Summit of the Future
UN Summit of the Future

国連の未来サミットは、「より良い明日のための多国間の解決策」というテーマの下、集合的な未来がどのようなものであるべきか、そしてそれを確保するために今日何ができるのかについて、新たな世界的コンセンサスを形成することを目的としている。また、SDGsを含む既存のコミットメントを再確認し、人々の生活にプラスの影響を与えられるような、より活性化された多国間システムに向けて、重要な課題に対する協力を強化し、グローバル・ガバナンスのギャップに対処する。国連の未来サミットは、持続可能な開発のための2030アジェンダの迅速な実施を支援する条件を創出する。

2030アジェンダにおける世界の指導者たちの立場は、持続可能な開発における若者の重要な役割を認め、SDGsが人々の、人々による、人々のためのものでなければ達成できないというものである。2030アジェンダは、市民の参加、特に若者の参加を呼びかけており、「その無限の行動力を、より良い世界の創造に向けさせようとしているのです。」と永井氏は語った。

それゆえ、国連の未来サミットへと続くナイロビ会議や未来アクションフェスのようなイベントは、いずれも気候変動、戦争、不平等の悪化といった世界的な関心事への効果的な対処に向けたものである。グテーレス国連事務総長が国連の未来サミットで検討するために示すあらゆる提案は、SDGsの達成に明確な影響を及ぼすだろう。

ナイロビ会議は、結局のところ、あらゆるレベル、すなわち人々、国々、そして世代間の信頼と連帯を再構築するプロセスであった。すべての人々に対してより公平かつ効果的に機能するように、政治、経済、社会システムを根本的に再考することを求めている。

2024 UN Civil Society Conference. Photo: UN News
2024 UN Civil Society Conference. Photo: UN News

ナイロビ会議の閉会にあたり、汎アフリカ気候正義同盟のミティカ・ムウェンダ氏は、すべての人に持続可能な開発を保証し、貧困緩和を実現し、最終的には行動志向の「未来のための協定」(国連の未来サミットで期待される成果の一つ)を達成するために、「大胆さと率直な対話」が必要だと強調した。

ナイロビ会議に参加した市民社会諸団体はまた、来たる「国連の未来サミット」を、平等、公平、そして分かち合われた繁栄によって定義される未来を実現するために必要な、最も重要な改善について合意する決定的な機会と位置づけ、多国間システムを刷新するよう提言した。

グテーレス事務総長とケニアのウィリアム・ルト大統領は、市民社会の努力を賞賛し、その「不可欠な貢献」を強調した。

Antonio Gutierrez, Director General of UN/ Public Domain
Antonio Gutierrez, Director General of UN/ Public Domain

グテーレス事務総長は演説の中で、市民社会は、多くの人々が個人的リスクを冒しながら、他者の苦しみを和らげ、平和と正義を推し進め、真実を訴え、ジェンダーの平等と持続可能な開発を推し進めるなど、世界のあらゆる場所で多大な影響を及ぼしていると語った。

ガザ地区、スーダン、サヘル地域、大湖地域、アフリカの角等で進行中の危機を含む現在の紛争について、グテーレス事務総長は、「国連は平和、正義、人権を推進するためにこの状況を変える闘いをあきらめません。」と断言した。事務総長また、市民社会が世界の多くの問題に対処するために重要であり、デジタル格差の解消や平和と安全保障への集団的アプローチの再活性化を含む課題に取り組む上で不可欠であるとの認識を示した。

「私たちには、皆様が持つ、最前線のノウハウについての情報が必要です。私たちは、障害を克服し、革新的な解決策を見いだそうとする、皆様の積極的な姿勢を必要としています。そして、解決策を実行し、各国政府に行動を促すために、皆様がそのネットワーク、知識、人脈を活用してくださることが必要です。」とグテーレス事務総長は語った。(原文へ

This article is brought to you by IPS Noram, in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC.

INPS Japan/IPS UN Bureau

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