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【ダカールIPS=フランク・クウォヌ】
セネガル・ダカール郊外のメディナ・グナスの静かな一角で、一人の男性が多くの人に見捨てられた場所に新たな命を吹き込んでいる。
かつてプラスチックごみの山が広がっていたその場所に、今では緑豊かなオアシスが生まれた。それは彼のたゆまぬ情熱の賜物だ。
「プラスチック・マン」の愛称で知られるモドゥ・ファルさんは、単なるリサイクル活動を超えた闘いに身を捧げている。彼は活動家であり、教育者であり、そしてよりクリーンで持続可能な未来を目指すキャンペーンの担い手だ。
ごみの山から緑の聖域へ
世界がCOVID-19のパンデミックに揺れていた2020年、ファルさんは別の使命に取り組んでいた。かつては活気にあふれていた彼の地元メディナは、洪水の被害と住民の流出によって荒廃し、やがてごみ捨て場と化してしまった。
「最初は、がれきと壊れかけた壁しかありませんでした」と彼は振り返る。「でも、私は何かできると信じていました。」
多くの人が見捨てた空間に、ファルさんは大きな可能性を見出した。彼はボランティアの仲間たちとともに、木を植え、教育展示を設置し、捨てられたものを再利用して空間を生まれ変わらせていった。
「ここにある一つひとつのものが物語を持っています。私たちはそれらを救い、新しい命を与えたのです」と、ダカールでの『アフリカ・リニューアル』の取材に語った。
ごみの清掃は始まりにすぎない。ファルさんは意識改革こそが必要だと強調する。「問題は、私たちが捨てるごみだけではなく、プラスチックとの関係そのものなんです。」
子どもたちの未来を変える教育
ファルさんは、教育プログラムやワークショップを通じて、子どもたちにリサイクルや再利用を教えている。彼は、廃棄物を「ごみ」ではなく、「創造と持続可能性のための資源」として見る目を育てたいと考えている。
たとえば、古いタイヤは椅子に、プラスチックボトルは装飾品に生まれ変わる。
「子どもたちに、廃棄物が新たな命を持つことを示す必要があります。今日それを学べば、明日には行動が変わるのです。」
しかし、教育だけでは十分ではない。ファルさんは、廃棄物管理の制度改革と環境規制の強化が不可欠だと訴える。「今すぐ行動しなければ、プラスチック汚染は手がつけられなくなるでしょう。」
揺るがぬ決意
幸いにも、ファルさんの活動は当局からも認められ、環境保護への功績で表彰を受けた。しかし、道のりは平坦ではなく、彼は業界からの反発にも直面してきた。
それでもファルさんは立ち止まらない。有害物質を水路に排出する企業を告発し続けている。
「数年前までは、ここにもカエルがいたんです。でも今では、一匹も見かけなくなりました。」
セネガルでは使い捨てプラスチックの使用が禁止されているにもかかわらず、街にはいまだにビニール袋があふれている現状に警鐘を鳴らす。
未来を担う世代への投資
ファルさんの夢は、地域にとどまらず広がっている。彼の次なる目標は、若者が持続可能な社会の構築方法を学べるエコロジートレーニングセンターの設立だ。
「ごみを拾うだけではなく、なぜこの状況になったのかを理解し、根本的な解決策を探さなければなりません。」
彼はまた、学生が環境に関するドキュメンタリーを鑑賞できる場所を設けたいと話す。「地球を守るのは、将来の彼らです。今のうちに何が起きているのかを知ってもらわなければ。」
さらに、地域のアーティストと協力して、廃材からアート作品を創出する試みも進行中だ。
「廃棄物が芸術作品に変わるのを見ると、その価値が一目でわかります。」
彼は毎月の清掃活動を地域ぐるみで行う計画も立てている。「これを習慣にすれば、環境そのものを変えることができるはずです。」
行動が変革を生む
「プラスチック・マン」は、口先だけの活動家ではない。彼は言葉ではなく、行動で示している。
「よく、『私たちがしていることなんて、海の一滴にすぎない』と言われます。でも、海とは無数の一滴が集まったものじゃありませんか?」
彼の取り組みは、一人の決意が社会に変革をもたらすことを証明している。リサイクルされたボトル、植えられた一本の木、教育された子ども──その一つひとつが未来への希望だ。
インタビューの最後に、彼はこんなメッセージを残した。
「私たちはこの地球の守り手です。誰にでも役割があります。出身や財産は関係ありません。大事なのは、何をするかです。」
INPS Japan /IPS UN BUREAU REPORT
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