国連と加盟国は、このたびのアフガニスタン東部での一連の地震と余震を受け、「地域主体の復興」を最優先課題として掲げている。
【国連IPS=ジェニファー・シンツ・リン・レヴィーン】
アフガニスタン東部の山岳地帯、クナル州とナンガルハル州を中心に発生した一連の地震と強い余震により、未曾有の被害が広がっている。暫定報告によると、少なくとも1,400人が死亡、3,100人以上が負傷。住宅や重要インフラの広範な破壊で数千人が避難を余儀なくされ、落石や地滑りが救助隊の到達を妨げている。
これを受けて、国連人道問題調整事務所(OCHA)は地震発生から数時間以内に1,000万米ドルを拠出し、避難所、食料、水、子どもの保護、医療支援を開始した。英国や韓国なども国連を通じた資金提供を約束している(英国はタリバン政権を承認していない)。OCHAと連携する国連開発計画(UNDP)は、即時の人道支援と長期的な復興・強靭性強化を結び付ける取り組みを進めている。国連は緊急アピールの準備を進めており、中央緊急対応基金(CERF)からの500万米ドルがすでに拠出された。
資金難と持続性への懸念
迅速な対応にもかかわらず、支援が持続できるかどうかには疑問が残る。トム・フレッチャー国連人道問題担当事務次長(緊急援助調整官)は「今回の危機は、人道支援のための資源が縮小している代償を露わにした」と警告。「大幅な資金削減により、何百万人もの人々に不可欠な保健・栄養サービスが停止し、遠隔地の命綱である航空機が地上に留まり、援助団体は活動規模を縮小せざるを得なくなっている」と述べ、各国に改めて支援を呼びかけた。

「地域主体の復興」へ
こうした緊急性と資源不足の狭間で、UNDPは即時の生存支援を超えた復興ビジョンを提示している。UNDPアフガニスタン常駐代表スティーブン・ロドリゲス氏は、同国が「複合的な経済危機」に直面していると強調。国連の25の調査チームのデータによれば、これまでに8万4,000人が被災したという。

同氏は、がれきの撤去や住宅再建を行う家族への現金支援など「地域主体の復興」プログラムを説明。2023年のヘラート地震での成功例を引きつつ、加盟国に「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」への参加を呼びかけた。
女性と人道支援の課題
一方で、女性や少女への制限が国連活動に影響している現実も指摘された。女性人道支援員の採用は禁じられており、国連女性機関アフガニスタン特別代表スーザン・ファーガソン氏は「女性や少女が今後数日のうちに命を守る支援や情報から排除されかねない」と警鐘を鳴らした。
これに対しロドリゲス氏は、女性が緊急医療を受けられない事例は「あくまで孤立的なもので、体系的な制限ではない」と述べた。
タリバンとの協力と今後
一部の国々がアフガニスタン当局を通じた資金拠出を渋るなかでも、国連は人道原則―人道性、公平性、独立性――を堅持して関与を続ける姿勢を示している。
ロドリゲス氏は2023年の地震対応での困難がその後解消されたことを挙げ、タリバンのヘリコプターによる山岳地帯への支援輸送を含め、連携が改善していると説明。「人道第一」という理解が共有されたことを「模範的」と評した。
当面の焦点は、生存者の救出、食料や安全な水の供給、感染症の拡大防止に置かれる。しかし、国連当局者は、壊滅的な被害を受けた住宅や生計の再建には、緊急援助を超えた持続的な支援と長期的な関与が不可欠だと強調している。(原文へ)
INPS Japan/IPS UN Nureau Report
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