【カイロIPS=アダム・モロー、カレッド・ムーサ・アルオムラ】
最近エジプトでは、トラック運転手から弁護士に到るまで、さまざまな職業の人々によるデモが頻発している。
2月中旬には、トラック運転手が、連結トラックを禁止する政府の新方針に対する5日間のストを打った。その数日後には、薬局の店主ら4万人以上が、薬剤に遡及的に課税するという政府の決定に対して抗議行動を繰り広げた。
2月末から3月にかけては、法廷での手数料値上げに反対する弁護士のデモや、未払いボーナスの支給を求める教育省職員によるストも行われた。3月5日には、最近民営化されたばかりの織物工場において、利益分配をめぐる労働者ストが展開された。
政府側はかなりの譲歩を強いられている。トラック運転手は、新しい安全基準に適応するための準備期間をより長く与えられることになった。また、薬剤課税や法廷手数料については、政府が政策見直しを決めている。
このように労働者の抗議行動が頻発する背景には年率20%にのぼるインフレがある、と経済学者のハムディ・アブデラジム氏(サダト・アカデミー元代表)は話す。物価上昇に対して収入増が追いついていないことが問題なのだ。
また、世界的な不況にある現在においても、独占傾向にあるエジプト市場にあっては、物価がそれほど下がっていない。
エジプトでは、2007年初頭から2008年にかけても、労働者による多数の抗議行動が起こった。このときは、食料価格の暴騰と政治的停滞が原因であった。このときの行動の成功が、労働者たちを今また立ち上がらせているのである。
エジプトで活発化する労働運動について報告する。
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩
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