【国連IPS=ハイダー・リズヴィ】
ロンドンを本拠とする国際的な人権団体アムネスティ・インターナショナルは、2006年のイスラエルとレバノンとの戦争に関してイスラエルが行った調査結果について、レバノンの民間人に対する戦争犯罪を無視しているとして異議を唱えている。
イスラエル政府の軍事行動に関するウィノグラード調査委員会の報告書は1月30日に発表された。退官判事のエリヤフ・ウィノグラード氏が議長を務める委員会は、戦闘には明確な戦略がなく、政府の重大な失策だったと報告した。
だがヒズボラの兵士とレバノン市民を判別できなかった理由については言及されていなかった。
アムネスティはイスラエル軍の重大な国際人道法違反が取り上げられておらず、戦闘に関係のない市民の殺害や民間資産、社会基盤の理不尽な破壊が調査されていないと批判している。イスラエルは戦争犯罪を否定し、ヒズボラの武装勢力もイスラエル市民への無差別攻撃を行ったと主張している。
停戦直前にイスラエルから浴びせられた1800発のクラスター爆弾は不発弾を大量に残したため、戦争終結後も多くのレバノン市民が被害にあっている。報告書がクラスター爆弾の使用は合法的だが規律や管理に問題があったとするのに対し、アムネスティはイスラエルにクラスター爆弾の禁止と不発弾の除去作業への協力を求めている。
さらにアムネスティは権限を持つ調査委員会が証人喚問や処罰請求を行っていないことを非難した。テルアビブ大学の政治学のペレド教授は「調査委員会は、期待通りに、失策のごまかしと政治家の責任逃れを手助けするという役割を果たした」という。
国際人道法違反の嫌疑はイスラエルを中傷するプロパガンダだと調査委員会は主張しているが、アムネスティはイスラエルの攻撃で犠牲となったのは多くの子供を含むレバノン市民であると結論し、2006年11月の国連の調査委員会もイスラエルは民間人と戦闘員を区別しなかったという報告を行っている。
アムネスティが非難するイスラエルの戦争調査委員会の調査結果について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩