ニュース|パレスチナ|「アッバス議長、主権国家としての国際承認を目指す」

|パレスチナ|「アッバス議長、主権国家としての国際承認を目指す」

【アブダビWAM】

「パレスチナ国家の承認を求める決議案が来る9月の国連総会に提出されるだろう。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が5月18日付の論説で報じた。

「同決議案提出の背景には、イスラエルとの交渉を通じた2国間解決案が今日に至るまで全く進展していない状況がある。パレスチナ側は、既にラテンアメリカの数カ国がパレスチナ国家を承認した実績を受けて、今度は独立パレスチナ国家に対する幅広い支持を国際社会から獲得しようとしている。」と、カリージタイムズ紙は報じた。

 
数十年にわたる紛争、度重なる和平交渉の失敗、そして非合法なユダヤ人入植地の拡大に伴う構造的な領土の侵食に危機感を募らせたパレスチナ側は、一方的な独立宣言に踏み切る必要性を強く考えるようになった。こうした背景から、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領は、最近応じたニューヨークタイムズの取材の中で、「こうした動きを人目を引くための政治活動と見做すべきではない。」と強調した。
 
「国連が1967年の境界に基づいてパレスチナ国家を承認することが絶対必要である。そうすればパレスチナ人は、国土が他国に軍事占領された国連加盟国としての立場で交渉に臨むことができる。現状のままでは、いかに交渉に臨んでも、相手側のいかなる条件を強制的に受け入れるしかない征服された人々の交渉に過ぎないということになってしまう。イスラエル政府は明らかにパレスチナ側のこうした動きを警戒しており、ベンヤミン・ネタニヤフ首相も来る訪米の際には、パレスチナ国家の国際承認に向けた動きを阻止するべく一層強力なロビー活動を展開するものと見られている。米国もパレスチナ側のこうした動きに批判的で、『このような一方的な動きは、和平調停を危うくするだけだ。』と警告している。」と、ドバイに本拠を置く英字日刊紙は報じた。

散々もつれた末にイスラエル側の条件に沿って出来上がる和平調停はどのようなものになるだろうか?既に和平交渉はユダヤ人入植地問題を巡って暗礁に乗り上げており、米国の仲介で再開に漕ぎ着けたいくつかの協議でさえも、イスラエル側の入植地建設停止拒否に直面して頓挫している。

「イスラエルは時代が変わりつつあるということを理解しなければならない。パレスチナ問題は、中東全域及び湾岸地域の国々が等しく解決を望んでいる問題である。さらに、中東・北アフリカを席巻している民衆革命の成功を受けて、民衆の力で変革をもたらすことが可能だという確信をパレスチナの若者たちも共有するようになった。彼らはイスラエルの軍事力や権力をもはや恐れてはいない。数日前の『ナクバ』記念日にイスラエル/パレスチナ各地で勃発した衝突事件の背景にはこうした変化があることをイスラエルは理解すべきである。」と、カリージタイムズ紙は結論付けた。(原文へ

翻訳=IPS Japan戸田千鶴

関連記事:
|中東|帰還する権利を認めることが和平の鍵

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

「G7広島サミットにおける安全保障と持続可能性の推進」国際会議

パートナー

client-image
client-image
IDN Logo
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
Kazinform

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken