【ニューデリー|クンドゥーズIDN=デヴィンダ・クマール】
国連安保理が3月14日の審議で、アフガニスタンで民間人を意図的に狙った襲撃が急増している事態を「最も強い言葉で非難」するなか、同国東北部のクンドゥーズ市では、女性活動家らが市内各地の親戚や隣人、住民の軒先を訪問して、2つの質問をして回っていた。それらの質問は、「あなたにとって和平プロセスはどのような意味を持ちますか?」「その中にあなた自身の役割があるとしたらどのようなものでしょうか?」というものだった。
国連安保理は、2020年9月にアフガニスタン和平協議が開始されてから数カ月の間に民間人を狙った襲撃が増加していることに深い懸念を示すとともに、「持続可能な平和は、永続的かつ包括的な停戦を目的とした、アフガン人主導のアフガン人自身による、誰もが参画できる平和プロセスを通じてのみ実現が可能だ。」と認めた。
国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)によると、UNAMAの支援を得たアフガニスタン女性ネットワーク(AWN)がこの冬に3カ月に亘ってクンドューズ市で実施した個別訪問プログラムを通じて、約1500人のアフガン人女性が、平和に関する意見を表明した。彼女たちの多くが、メディアへのアクセスがなく、外の世界と隔絶された自宅に籠る生活を送っていた。
戸別訪問調査員が集めた女性たちの意見は、全国レベルに届けるとともに、アフガニスタン和平交渉チームの女性メンバーと共有すべく、まずは首都カブールのAWN本部とUNAMAに提出された。一方、AWNのクンドゥーズ支局は、女性達の意見を、同州の市民社会組織や人権擁護団体と共有した。
AWNクンドューズ支局長で活動家のマルザ・ルスタミさんは、「この調査の目的は、自宅に閉じこもる生活スタイルゆえに外の世界との繋がりが僅かか或いは皆無な環境に置かれている女性達を関与させていくことでした。」と説明した。そして、「私たちは、彼女たちが、現在行われているアフガニスタン和平交渉に対して抱いている期待や不安など様々な見解に耳を傾けました。この調査は、和平交渉の先にある最終合意は、全てのアフガン人の意見を反映したものであるべきという私たちの強い信念に突き動かされて実施しました。」と語った。
調査に応じた女性の多くが、国の重要な問題について自身の意見が求められるという経験は人生で初めてのことだった、と調査員に語っていた。
彼女たちには、回答用紙に名前を提供するか匿名にするかの選択肢が与えられていた。
クンドューズ市第二地区在住の専業主婦ナシマさんは、「私たちが望んでいるのは平和です。和平交渉の当事者は、私たちが平和に暮らせるように、戦闘を終わらせることに合意すべきです。」というシンプルなメッセージを伝えた。
シャリファさんは、「和平を語りながら殺し合う現状は何の解決にもなりません。暴力をやめ停戦が守られない限り、和平を語り合っても無益な試みだと思います。」と語った。
夫と子供たちをタリバンに殺害された未亡人のマリアムさんにとって、平和は復讐よりも重要だという。「もしタリバンが暴力を止め、平和を受入れるならば、私は彼らを赦し、夫と子供たちを奪った報いを求めない用意があります。」
他にも調査に応じた多くの女性たちが、永続的な平和とあらゆる人々を対象にした開発が実現するのであれば、マリアムさんのように進んで加害者を赦すつもりだという意見を述べている。
アフガニスタン全土を通じて、多くの人々が、和平交渉の妥結が最終的に数十年に亘った戦争の終結につながることを期待している。しかし一方で、和平交渉に多様で幅広い層からの参加が十分確保されていない現状を、引き続き懸念しているアフガン人も少なくない。とりわけ若者と女性は、和平交渉に十分関与できていないことが、最終的な合意がなされても、若者と女性の権利は顧みられず不利益を被るのではないかと懸念している。
UMANAは、和平交渉を含む政治、社会、経済などあらゆる生活面における、女性の参画とリーダーシップを支援している。
クンドゥーズ市にあるUNAMAの現場事務所は、和平交渉と和平プロセスに多様な意見を取り込もうとするアフガン政府の取組みの一環として、AWNとの連携のもとにこの調査キャンペーンを計画した。とりわけ、調査対象として、自宅が街の中心地から遠く離れているとか、教育を十分受けていない、あるいは地元の社会規範等の理由から、従来から脇に追いやられてきた女性たちに注目した。
この調査キャンペーンは、メディアパートナーであるウラノステレビやクンドューズラジオが、各々のソーシャルメディアも活用しながら、番組で取り上げたことから、調査に応じた女性達の声は、20万人以上の視聴者に届けられた。(原文へ)
INPS Japan
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