【カブールIPS=アナンド・ゴパル】
アフガニスタンの治安状況はますます悪化し、イラクより状況が悪いのではないかとみられつつある。軍閥勢力は首都カブール近くで活動し、アフガン政府への支持はきわめて低い。そうした中、米国政府は、対アフガン戦略の練り直しを迫られている。
米国政府の中には、部族勢力に武器を流して治安維持にあたらせようとの構想がある。アフガン政府の一部もこの戦略を支持している。
しかし、この戦略が機能するのは、パキスタン国境沿いのホースト、パクティヤー、パクティーカーの各州だけではないかとの意見もある。ここでは、部族の力がいまだ強く、中央政府の権威が及んでいないからだ。部族の一部はすでに、パシュトゥン族の伝統的な自衛組織であるアルバカイを作っている。NATO軍のマクニール司令官も、今年初め、アルバカイが機能しているのはこれらの州だけだとの見方を示している。
これに対して、アフガン科学アカデミーのハビブラー・ラフェ氏は、こうした打開策は武器の拡散を招くだけだと警告する。
他方、米軍の敵であるタリバンとの交渉を開始すべきだとの意見もある。10月には、アフガン政府が元タリバンの重鎮をサウジアラビアに招き、タリバンと交渉する余地があるかどうかを探っている。アフガン政府は、タリバンの指導者であるムラー・オマールを含め、あらゆる軍閥と協議するとの立場だ。
しかし、タリバンが中央政界に復帰してくることへの恐れもある。「アフガン女性ネットワーク」のシエラ・サミミ氏は「タリバンが戻ってくれば、封建制の時代に逆戻りだ」と不信感をあらわにした。
米国、アフガニスタン両政府による、和平戦略の模索について分析する。(原文へ)
翻訳/サマリ=IPS Japan浅霧勝浩
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