【カブールIPS=アナンド・ゴパル】
11才のザヤイヌラーは、もし家にたくさんのお金を持って返ることができなかったら、今日もまたお
ばさんから叩かれてしまう、と言った。
いつものように彼は、人通りの多いカブールの街角で物乞いをする。上半身は裸で片腕はない。膨脹した腹からは、彼が栄養失調であることがうかがい知れる。「いつも食べ物がなくって、でも状況はどんどん悪くなってる」と彼は話す。
ザヤイヌラーのように飢えた人々がアフガン全土にいる。干ばつや通常より厳しい冬といった気候条件に加えて、食料危機の高騰、さらに悪化する治安状況など、さまざまな原因が複合的に重なっている。
イギリスのNGO「オックスファム」によると、状況はこの20年間で最悪であり、推定500万人が食料難に苦しんでいるという。アフガニスタン中央統計局によると、国民の42%が絶対的貧困(月10ドル以下)の状況下で暮らしている。
北部バードギース州当局によれば、最大で州民の80%が食料難によって死亡する可能性があるという。州を逃れてイラクへと向かう者もいるが、途上で命を落とす者が後を絶たない。
食料難は隣国のパキスタンによって引き起こされている側面もある。アフガン商工会議所のフセイン・アリ・マフラミ氏によれば、アフガンは小麦の7割をパキスタンに依存している。パキスタン当局は、自国内での食料価格の値上がりを理由にアフガンへの輸出を制限し始めたが、マフラミ氏は、アフガン政府を弱体化させようとする「政治的な策略」ではないかと考えている。
食料難の状況を受けて、世界中の支援組織が奔走している。国連諸機関とアフガン政府は、7月、4.04億ドルの支援が必要であると国際社会に訴えた。世界食料計画(WFP)によれば、これまでにまだ目標の4分の1しか達成できていないという。
もともとアフガニスタンにおいては、国際支援が不十分であった。他の紛争国に比べても支援額が圧倒的に少ない。また、援助額の4割は、ドナーの利益やスタッフの駐在費などに消えてしまうという。
アフガニスタンの食糧難について考える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan