SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)第二次世界大戦時のアフリカ人従軍兵士等が英国政府に公式謝罪と補償を求める

第二次世界大戦時のアフリカ人従軍兵士等が英国政府に公式謝罪と補償を求める

【ニューヨーク|ロンドンIDN=リサ・ビベス】

英国政府は、第二次世界大戦(1939年~45年)を英国人兵士とともに戦ったアフリカ人兵士で今日存命している人々に対して、謝罪と補償を行うよう迫られている。

大戦期間を通じて50万人以上のアフリカ出身者が英軍に加わって戦ったが、新たに発見された資料から、当時アフリカ人兵士に支払われた給与が白人の兵士と比較して3分の1以下だったことが明らかとなり、政府に対して真相究明と生存者に対する補償を求める声が高まっている。

Propaganda poster promoting the joint war effort of the British Empire and Commonwealth, 1939./ Public Domain
Propaganda poster promoting the joint war effort of the British Empire and Commonwealth, 1939./ Public Domain

英国公文書館で発見されたその資料には、当時の英国政府が、アフリカ人兵士を組織的に差別していた実態が克明に記録されている。例えば、白人兵であれば、アフリカの植民地で黒人兵士と同じ部隊で勤務していた場合でも、黒人兵よりもはるかに多くの給与が支給されていた。

英国議会の3名の議員が、テレサ・メイ首相に対して、こうした差別的な慣行が行われていた事実を認めて真相究明に着手するとともに、元従軍兵士に対して公的な謝罪と補償を行うよう要求している。

当時の英軍におけるアフリカ人兵士に対する差別的な慣行は、カタールの通信社「アルジァジーラ英語版」が製作したドキュメンタリーで浮き彫りにされている。英国政府による公式発表では、当時、軍への参加はあくまでも自発的なものであったとされているが、このドキュメンタリーに登場する元兵士や未亡人らの証言は、そうでなかったことを物語っている。

かつて英軍の通信兵としてエチオピアやソマリランドに送られたケニア人のガーソン・フンディさん(93歳)はガーディアン紙の記者に対して、「英国は私たちを奴隷として扱いました。任地には私たちの意志ではなく、強制されて行ったのです。もし軍を脱走して故郷に戻ったとしても、族長に逮捕されて任地に連れ戻される運命にありました。こうした状況下で、はたして誰に苦情を訴えることができたでしょうか。私たちには全く発言権が認められていませんでした。」と語った。

African Troops in Burma during the Second World War/ Public Domain
African Troops in Burma during the Second World War/ Public Domain

こうした証言内容は、第二次世界大戦を研究している代表的な歴史家たちによる研究内容とも一致している。「(英国は)当時、植民地の族長達に圧力をかけて村から供出する兵士の数を決めさせ、彼らを通じて村の青年たちを強制的に入隊させていました。」「この制度に巻き込まれた人々の経験は、実に悲惨なものでした。」と、ゴールドスミス大学のデイヴィッド・キリングレイ名誉教授(近代史)は語った。

こうして徴兵されたアフリカ人の兵士達には、士官になる道が閉ざされていたうえに、白人の下級兵士を規律に従わせる権限も剥奪されていた。また、当時英軍では既に数十年にわたって兵士に対する体罰が公式に禁止されていたにもかかわらず、アフリカ人の兵士に対しては体罰が横行していた。

SDGs Goal No. 16
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「英軍では私たちは日常的に殴られていました。私たちの体はこうした殴打により膨れ上がっていました。言われたことを全て受け入れるまで、殴られたり平手打ちに晒されるのです。反論は一切許されませんでした。当時、誰に不平をもらすことができたでしょうか。こうした体罰を加えてきたのは、上官自身だったのですから。」と、当時日本軍と戦うために英軍兵としてビルマ戦線に従軍したユーセビオ・ムビウキさん(100歳)は語った。(原文へ

INPS Japan

*第二次大戦中、英国政府はアフリカ各地の植民地から招集(事実上強制動員)した兵士たちを枢軸国(ドイツ、イタリア、日本)との戦場(欧州・中東・アジア)に投入した。しかし1945年に戦争が終結すると、除隊後、白人兵に対して提供された戦後補償の対象から外され、彼らの貢献自体が歴史の闇に葬り去られてきた。

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