【ブエノスアイレスIPS=セバスティアン・ラクンサ】
アルゼンチンでは、独裁的軍政から民政に移管された1983年からこの25年間に、警察署や刑務所における虐待、即決処刑、あるいはすぐに発砲する警察官などによる死亡者が2,557人を数えることが、弁護士を中心メンバーに警察の虐待による被害者擁護のために活動する団体「警察および制度上の抑圧に対抗する協会」(CORREPI)の最新年次報告書(2008年末発表)で明らかにされた。
CORREPIは、被害者の大半は「暴力の横行する貧困地区に暮らす浅黒い肌の若者」と説明、被害者の2分の1以上が25歳未満、3分の2が35歳未満であるとしている。
CPRREPIのグスタヴォ・フィログラッソ氏はIPSの取材に対し「警察の虐待による犠牲者2,557人は氷山の一角。実際はもっと多い」とし、次のように語った。「これは不法な抑圧の話ではない。次々と承認されている立法改革によって合法化されつつある国家による抑圧なのだ」
CORREPIは、2003年から2007年までのキルチネル政権そしてその夫人クリスティーナ・フェルナンデス・キルチネルが大統領に就任した現政権こそ、最大の抑圧の責任者と結論づけている。
フィログラッソ氏によれば、この2政権は1976年から1983年までの独裁政権中における人権侵害の責任者の裁判を促進する政策で評価されているにもかかわらず、治安当局の手による死亡者が最大だという。
ただ、このCORREPIの結論に対し、他の主要人権団体には異なる見解も見られる。訓練や武器に関してだけでなく、権限や士気に関しても、警察は不活性化されており、犯罪者の権利を擁護するための施策は間違っているとの声も聞かれる。
アルゼンチンにおける警察の虐待による被害者について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩