【メルボルンIPS=ステファン・デ・タルチンスキ】
7月15日シドニーにおいて、教皇ベネディクト16世を迎え「ワールド・ユース・デー」(WYD)大会が開催された。同大会には、世界各地から20万人のカトリックの青年たちが参加したと見られる。
同日、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州連邦裁判所は、カトリック教会が組織するイベントの参加者を当惑させる行為を禁止するWYD法の条項を破棄するよう命ずる判決を下した。
同裁判は、No to Pope Coalition(NTPC:教皇連合に反対する会)のメンバー、レイチェル・エヴァンスとアンバー・パイクが起こしたもので、裁判長は、「WYD法は議会の意志を反映したものではないと判断し、警察、国家緊急サービス、州消防サービスのメンバーが、WYDが届け出たイベント会場付近で参加者以外の行動を取り締るのは言論の自由に反すると考える」と述べた。
判決に先立ち、エヴァンスは、判決がどうあれ7月19日には、NSW人道主義者ソサエティー、同性愛者人権擁護団体、オーストラリア全国非宗教教会などの団体と共にカトリック教会の避妊、性、子供を産む権利などについての考えに抗議するデモおよびコンドームの配布を計画。WYD法では、WYD参加者に迷惑な行為を行った者は逮捕、最高5,500豪ドル(5,343米ドル)の罰金を課せられることになっていたが、エヴァンスは、教皇のいる間に我々の意見を知らしめる必要があると語っていた。
WYDを巡っては、幾多の問題が指摘されている。シドニーのペル大司教は、少年に対する性的虐待を指摘された司祭の扱いで批判の的となっている他、司祭に強姦された2人の少女の両親は、教皇の謁見を求めてロンドンからシドニーにやって来た。また、大会のために約130人のホームレスが当局により移動させられたことに対しホームレス支援団体が抗議。ゲイ/レスビアン・カトリック・フォーラムに対してもWYD組織委員会が開催阻止を図ったと噂されている。
今回の判決で、WYD大会付近での抗議活動は自由となったが、新規則は6月27日付官報で発表されたのみ。新法がいわば秘密裡に施行されたことに「NSW市民の自由協議会」のマーフィー会長は遺憾を表明している。「ワールド・ユース・デー」シドニー大会について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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