ニュース|バルカン半島|爆撃の副次的な影響による「殺害は続く」

|バルカン半島|爆撃の副次的な影響による「殺害は続く」

【ベオグラードIPS=ヴェスナ・ペリッチ・ジモニッチ

NATOによるセルビアの爆撃から10年が過ぎ、ガンの報告症例の増加が懸念されている。1999年の11週間に及んだ爆撃では、5万発以上の爆弾とミサイルとして劣化ウランで強化された15トンの弾薬が、主にセルビア南部とコソボの116カ所に落とされた。 

NATOの軍事作戦はセルビア政府による200万人のアルバニア人の抑圧を阻止するためのものとされた。9年間国連の統治下にあったコソボは昨年2月に独立を宣言している。

 劣化ウラン(DU)は戦車や大型軍事車両の装甲を貫通するために爆弾の先端に取り付けられる。DUの健康への影響について専門家の意見は分かれ、ガンを引き起こし、腎臓、脳、肝臓、心臓に害を及ぼすというものもいるが、健康や環境に問題はないとする研究もある。 

国連環境計画(UNEP)は2000年にコソボで調査を行い、地表に広範囲のDU汚染は検知されなかったと結論した。汚染地点はあったが、汚染の程度は低かった。2001年の世界保健機関(WHO)の報告書も同じ結論だったが、この調査に参加した英国人の専門家、K.バブストック氏は「報告書には全データが反映されていない」とベオグラードの日刊紙「ポリティカ」に語っている。 

地元の医師たちも独自の報告を行っている。コソボの町ミトロヴィツァのSrbljak医師は、「コソボの子供の白血病は1999年以前には1,000人に1人だったのが、100人に1人と10倍になっている」という。放射線科のCvetkovic医師は、「1999年以前は3カ月に1症例の割合で腫瘍を発見していたが、今は毎日見つかる」とIPSの取材に応じて語った。「診断の精度が上がったわけではない。患者も若年化している傾向がある」 

同じようにNATOの爆撃を受けた隣国のボスニア・ヘルツェゴビナでもガンが急増している。ボスニアとコソボで平和維持活動に当たったイタリア兵にも、DUに関連するとみられる健康問題が報告されている。 

コソボには今なお10万人ものセルビア人が住んでいるが、セルビア当局にとってDU問題はコソボと同じようにはるか遠くの問題のようだ。軍の医学校のM.ミソビッチ氏はDU弾の投下された地点から50m以内にいた4,000人ほどの退役軍人を調査中で、「今のところガンの増加は見られないが、この先10~15年を見守っていく」とセルビアのメディアに語っている。 

劣化ウラン弾の健康への影響について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩 

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