【ベオグラードIPS=ヴェスナ・ペリッチ・ジモニッチ】
セルビアの軍事医療アカデミーが『セルビア退役軍人の健康状態と保健ニーズ』と題する報告書を発表した。セルビアの元兵士たちが、バルカン半島での軍事紛争終結から10年近くたった今もなお、苦しみ続けていることが明らかにされている。
1991年から95年にかけてのクロアチア、ボスニアでの戦争、1998年から99年にかけてのコソボでの戦争に参加したセルビア人は約40万人と推計されている。セルビアの人口は750万人。
調査対象は2399人の元兵士で、平均年齢は45.7才。そのうち、実に84%の元兵士が、主に心臓や血管などの慢性的な健康問題に悩まされている。また、54.1%が精神上の健康問題を抱え、3分の1が鬱やアルコール中毒を患っている。
8.8%の元兵士は、いまだに心的外傷後ストレス障害(PTSD)にかかっている。過去にPTSDにかかっていた者も20%近くに上る。
調査チームのひとりであるスピリッチ博士は「国際的な調査では、PTSD患者の3分の1が自力で回復し、3分の1が治療を受け、残り3分の1が永久にPTSDから抜け出すことができない」と話す。
しかし、苦しんでいるのは元兵士だけではない。民間人もまたそうなのだ。非暴力行動センターのネナド・ブコサブイェビッチ氏によると、バルカン半島での武力紛争によって300万人が家を追われ、20万人が何らかの形で収容所に入ったことがあるという。
人びとに心の平穏が訪れるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
元セルビア兵士の健康状態に関する調査について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan