【パリIPS=マイケル・ダイバート】
コンゴ・ブラザビル(コンゴ共和国)が、紛争ダイヤモンドの取引を防ぐための国際認定制度であるキンバリー・プロセスへの再加盟が許可されたことは画期的な出来事である。
コンゴ共和国はキンバリー・プロセス証制度が制定された1年後の2004年に制度から追放された。戦火渦巻く隣国コンゴ民主共和国(DRC)原産のダイヤモンドを偽って自国産として輸出したためである。
「コンゴ共和国は国内秩序の確立に真剣に取り組み、制度が要求するレベルのシステムを確立したので再加盟が許された」とIPSの取材に応じたキンバリー・プロセス事務局長のカレル・コバンダ(Karel Kovanda)氏は言う。「まさに感動的な出来事。キンバリー・プロセスの加盟が増えるのは、いつでも大歓迎」
この認証制度は南アフリカのキンバリーで第1回会合が開かれたのを記念して命名された。反乱軍など武装勢力の武器購入資金にダイヤモンド取引が使われることを防ぐことが目的であり、コンゴ共和国の動向は制度の実施状況を示すほんの一例である。
コンゴ共和国では1960年にフランスから独立して以来、クーデターや暗殺が相次いだ。1997年には内戦が全国に広がり、デゥニ・サス・ンゲツ現大統領(1972年から1992年まで大統領)がアンゴラ軍の力を借りて、当時のパスカル・リスバ大統領を追放した。
内戦は2年間続き、少なくとも1万人の犠牲者が出た。2003年3月にンゲツ政権は様々な反乱分子と平和協定を調印したが、いつ反故にされても不思議はないと見られている。
コンゴ民主共和国(DRC)で勃発した大規模な内戦はコンゴ共和国以上で、少なくとも300万人の死者を出した。反乱武装組織に加え、アンゴラ、ナミビア、ルワンダ、ウガンダ、ジンバブエなどの武装組織はDRCの天然資源から資金を調達した。
キンバリー・プロセスによると、コンゴ共和国のダイヤモンド輸出量が同国の産出能力をはるかに上回ったことが最初の警戒警報だったという。
1991年から2002年まで続いたシエラレオネの内戦においても、ダイヤモンドは資金源となった。この内戦では反政府組織RUF(統一革命戦線)による残虐行為が各地に広がった。
シエラレオネの密輸ダイヤモンドはリベリアの長期にわたる紛争の軍資金ともなり、チャールズ・テイラー大統領の下、リベリアはシエラレオネ反政府組織の有力なパトロン国家となった。テイラー大統領は現在ハーグにおいて、戦争犯罪と人権に反する犯罪で裁きを待つ身である。
キンバリー・プロセス認証制度(KPCS)は3部構成で、国連が認証した政府を転覆する意図を持つ者がダイヤモンドを資金源とすることを防ぐことを目的に、参加国に紛争に関わりのない原石ダイヤモンドに対して証明書を発行すること、またすべての輸入国にキンバリー・プロセス認証なしの未加工ダイヤモンドを受け入れないことを求めている。
キンバリー・プロセスのコンゴ再加盟検討部会長ステファン・チャードン氏は、「参加国には輸出入管理と証明書の発行を管理する法的制度が必要となる。採掘地から輸出地点までダイヤモンドの動きを追跡しなくてはならないから」と言う。
アメリカは2003年にクリーンダイヤモンド貿易法を制定、「キンバリー・プロセス認証制度の適用先であるかないかに関わらず、いかなる供給先からも紛争ダイヤモンドの輸出入を禁じている。」
EUは2001年の政策方針書で、「紛争ダイヤモンドと武装闘争のつながりを絶とうとする国際社会の努力を支持、協力する」と述べている。
しかし、紛争ダイヤモンド廃絶の戦いは、まだまだ終わらないという見方がある。
たとえば、コートジボワールでは内戦の戦火は絶えたが、国はローラン・バグボ大統領に忠実な南部地域と、反政府勢力「新勢力」が支配する北西部に二分され火種が残っている。
今年10月には、国連がコートジボワールに対するダイヤモンド禁輸制裁を更新した。ダイヤモンド不正輸出の懸念がぬぐえないからであり、キンバリー・プロセスに引き続き情報提供を求めている。
ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ、ヨハネスブルク)の国際人権交流プログラム(IHRE)のアイーシャ・カジー代表は「キンバリー・プロセスは確かにブラッド・ダイヤモンドの取引を制限しているが、根絶にまで至っていない。しかし、コンゴ共和国の復帰はこの制度がある程度の成果を上げていることの印だ」と評価する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan