【エル・アルト(ボリビア)IPS】
ボリビア西部・ペルー南部・チリ北部に暮らすボリビアの先住民、アイマラ(Aymara)族は元来、物々交換による商いで生計を立てていた。現在も、農村部にはその伝統が残っている。
しかし、その一方で首都ラパス近郊のエル・アルト地区では工芸品などを売る露店がずらりと軒を連ねている。アイマラ族のLeonardo Esteban(50)さんは長年の間、魚と交換に野菜や穀物を手に入れる一方で、農村部のマーケットにも出向き様々な工芸品を売っている。
2001年の統計によると、ボリビアの総人口920万人のうち、アイマラ族の人口はケチュア族(155万人)に次ぎ2番目に多い128万人。
昔から彼ら先住民の生活に欠かせないのが伝統的手法である物々交換だった。しかし、スペイン人による征服後、先住民らの活動を規制する法律によりこのような交易手法は一時ストップし、伝統的共同体の設立を禁止する動きが活発になった。
その後、高原地帯に暮らすアイマラ族はコカ葉の生産に従事し、現在はその輸出先をアルゼンチンにまで広げている。このような遠距離貿易は大きな役割を果たしてきたが、現在では資本主義経済を補足するものに過ぎない。アイマラ族が資本経済に上手く溶け込めたのは、商品の需要に適応できたためと考えられる。
NGOのSenda Nueva(New Path)のNorah Poma氏は「アイマラ族に境界はない」とIPSとの取材に答えた。最近、ブラジルのブラジレイアの町では伝統衣装を身に着けたアイマラ族の女性が木材や綿織物から傘を作る作業を行っている。アイマラ族は、まさに自身の適所を開拓しているのである。ボリビアの先住民アイマラ族の貿易について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩