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|ブラジル|先住民の土地に最高裁決定

【ロライマ州ボアビスタIPS=マルタ・カラバンテス】

ラポサセラドソルの少数民族居住地について、境界設定の最高裁決定が、来週に迫っている。同様の問題を抱える「その他の居住地の先例となるため、極めて重要な決定となる。」とブラジリア大学法学部ロザーネ・ラセルダ教授は述べている。ブラジルには215の少数民族があり、約60万人が604か所の居住地でくらしている。

同地は、肥沃なアマゾンのロライマ州にある。ここにはマクシ、ワピサナ、タウレパン、パタモナ、インガリコなどの少数民族が19000人以上、居住している。1992年以来、大規模コメ生産者が侵入し、13年間でプランテーションの面積は7倍の14000ヘクタールに広がった。居住地の境界は、20年間の訴訟を経て、1988年の憲法の原則に従い、2005年ダ・シルバ内閣によって、正式に決定された。今回、最高裁は、境界内をひとつの連続した領域と認めるか、来週判断を示す。

3月、ダ・シルバ政府は連邦警察を送りコメ生産者を排除しようとしたが、彼らは暴力をもって反発し、10人の少数民族が負傷した。来週の決定によってはコメ生産者による占拠を認めることになる。国連の少数民族の権利に関する特別報告者ジェイムス・アナヤ氏は、問題を重く見て、ラポサセラドソルを訪問中である。

コメ生産者は環境破壊で罰金を払ったこともないし、先住民を襲撃したことで拘留されても、「金とコネを使って、短時間で釈放される。」と、政府の少数民族担当機関FUNAIのパウロ・サンティレ氏は述べている。ラセルダ教授は、「これは利潤目的の人々の、先住民に対する宣戦布告と言っても過言でない。」とIPS記者に述べた。かつてポルトガルが侵攻して以来、その後牧場や鉱山の経営者、大規模地主が、先住民を労働力として雇い入れた。賃金も十分払われないことが多く、牧畜同様、焼印を入れられたこともあった。

先住民を支援する団体のひとつであるthe Commission of Indigenous Organisations of the Brazilian Amazonのヘシナルド・バルボサ氏は、「アグリビジネスや大規模農業が先住民族の土地に入ってきたのは、“バイオ燃料”革命の結果である。」と語った。NGOのひとつSocioenvironmental Institute of Brazil のベト・リカルド氏は、デ・シウバ政権の開発優先政策を批判し、「アグリビジネスは農地だけでなく、道路やダムや水路によっても、先住民の土地に侵攻している。」と語った。Brazilian Institute of the Environment のニルバ・バラウナ氏は、農薬による汚染を懸念している。

一方、ロライマ州の先住民でない住民たちは、コメ生産者を歓迎しているが、期待に反して、生産は機械化されているため、仕事も増えないし、税収も増えない。もともとラポサセラドソルの先住民は、コメ、マメ、キャッサバを育て、家畜を飼い、自然療法を知る、自給自足の人々であった。「自然を守ることは、先住民にとって人生そのものなのだ。これからの人道がめざす調和の世界観がそこにある。」とバルボサ氏は語っている。

 スペインのNGO、Compania de Informacion y Proyectos Originales(CIPO)は、ラポサセラドルの先住民の危機に対する、認知度を高めるキャンペーンを始めた。ブラジル最高裁に書簡も提出する予定である。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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