【北京IPS=アントアネタ・ベツロヴァ】
アフリカの腐敗した政権を支援していると非難されながらも、豊富な資源を持つアフリカ大陸からの石油や原材料の輸入を推進している中国が、アフリカとの取引を正当化する大規模な外交フォーラムを主催している。
今週開催される2日間の北京首脳会議には、アフリカの48カ国から指導者や政府関係者が出席する予定で、この会議はアフリカの後援者としての中国の役割を強調する意味合いを持つ。中国政府は外交上の得点を稼ぎ、貿易の機会を得ながら、中国の開発モデルと対外政策信条を広めようとしている。
「今回の会議は中国とアフリカの歴史における画期的な出来事だ」と、中国外交部のXu Jinghuアフリカ局長はマスコミに対して11月3~5日の会議について述べた。
このフォーラムは正式には中国とアフリカの通商50周年を祝ったものだが、2国間貿易の急成長と協力関係の強化は過去6年ほどのものであり、それが会議の背景となっている。
増え続ける原材料の需要に後押しされ、中国はアフリカに重要な存在感を築き上げ、昨年末までに67億2,000万ドルの投資を行い、港、鉄道、道路、ダムを建設してきた。長期低利貸付と多額の援助金によって、急成長する中国経済のために、アフリカの石油や貴金属などの天然資源を確保してきた。
中国は昨年3,800万トンの石油をアフリカから輸入したが、これは中国の石油の総輸入量の30%に達している。2国間貿易は2000年の100億ドルから昨年には400億ドルへと急激に増大している。
だがこのとどまるところを知らない貿易拡大は、スーダンのような国の人権侵害を見逃しているとして非難され、「新植民地主義」の勢力だと表現して批判するものもいる。
中国はスーダン最大の投資国として、さらに重要な石油の取引先として、戦火で疲弊した国の暴力的な政権に制裁を加えようとする国連の努力を妨げようとしてきた。
8月には、9月30日に委託任務が終了するアフリカ連合からダルフールにおける平和維持の任務を国連が継承するのを認める国連決議の投票を、中国政府は棄権した。
中国のスーダンへの関与が、過去3年間に20万人の命を奪った虐殺をやめさせようとする国際的な取り組みを妨害しているという非難を、中国は退けている。それに反論して、中国政府は内政不干渉の外交方針を守り、自決権を尊重していると主張する。
中国商務省の魏建国次官は「中国の投資がアフリカの経済成長と雇用拡大、生活水準の向上に貢献している」と先週記者団に語った。「中国からの投資は地方の人々に恩恵をもたらし、歓迎されている」。
アフリカ大陸における中国の関与を評価する際に、中国を新植民地主義と非難することは、「冷戦時の思考方法」だと、中国社会科学院の国際問題専門家Shen Jiruは主張し、中国が最近100億元の元建て外債を減免したことを指摘して、「これが植民地主義といえるだろうか」という。
だが世界銀行や国際通貨基金などの多国間機関は、最近債務免除を受けた貧困国への中国からの債務が、再びこうした国を苦しめることになるのを懸念している。
この点に関して正当性を主張するよりも、中国政府は中国・アフリカ首脳会議が、アフリカの指導者に中国政府への支持をじかに表明する公的なフォーラムの場となることを期待している。
「われわれは何も失うものはない。帝国主義者の鎖から解き放たれたいだけだ」とジンバブエのロバート・ムガベ大統領が語ったと、新華社通信は伝えている。
これだけ多くのアフリカの指導者が一堂に会する機会は、中国が開催した初めての大規模なイベントであり、外交的な成功だと中国は見なしている。アフリカ連合の53カ国のうち5カ国は中国と外交関係を持たずに台湾との関係を維持しているが、オブザーバーを派遣するように招待された。
北京にある中国メディア大学のXu Tiebing教授によると、この会議は、中国とアフリカの48カ国との国連で互いを支持するという「暗黙の了解」を確固たるものにするだろう。
「国際的な舞台におけるアフリカ諸国の支援は、特に国連において、中国にとって重要である」と同教授はいう。
中国は、2,300万人が住む台湾は中国の領土であり、台湾が正式に独立を宣言すれば武力によって併合すると明言している。過去5年間に中国は金銭的誘引と外交的手段でアフリカの台湾同盟国に対して同盟関係を中国政府に切り替えるように説得してきた。
2000年に第1回の中国・アフリカ協力フォーラムの首脳会議を北京で主催して以来、アフリカの台湾との外交同盟国の数は8カ国から5カ国に減った。その5カ国とは、ブルキナファソ、スワジランド、マラウィ、ガンビア、サントメ・プリンシペである。
「国際的な影響力が増大していることから、中国はこの利害の戦いの勝利者になりつつある」と中国社会科学院のアフリカ専門家He Wenpingはいう。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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