【ボゴタIPS=コンスタンサ・ヴィエイラ】
コロンビアの反政府左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」は、国軍の情報提供者だとしてアワ族のインディオ8人を殺害したことを認める声明を発表した。軍事問題の専門家アリエル・アヴィラ氏によると、内戦で荒廃するナリーニョ県に暮らすこの先住民族は自警団を結成しているという。
ボゴタを拠点とするシンクタンクCorporacion Nuevo Arco IrisのArmed Conflict Observatoryのメンバーであるアヴィラ氏は「自警団が国軍によって創設されたのか、あるいは先住民族が自発的に結成したのかが議論となっている」と述べている。
コロンビア南西部の山岳地域に位置するナリーニョ県には、非合法武装勢力によって強制的に立ち退きを迫られた国内避難民が最大数暮らし、また国内で最も地雷の密度が高い県でもある。
どの勢力の支配下にもない緩衝地帯であり、麻薬密輸業者の戦略的回廊であり、非合法武装勢力の供給ルートであるナリーニョ県では、コロンビア国軍、極右民兵組織そして反政府左翼ゲリラなどコロンビアの内戦に関与するすべての武装勢力が支配権を巡って争っている。
こうした状況のなかで、FARCの主張するように「これらの先住民が国軍のために活動しているだけ」なのかどうかは明らかでない、とアヴィラ氏は言う。
アヴィラ氏によれば「民兵組織も地元住民を脅し、追い出している。彼らはアフリカの油ヤシを植えて立ち退きを迫っており、ところかまわずコカ畑になっている」
アワ族8人が殺害されたナリーニョ県のバルバコアス市を訪れたウリベ大統領は、テロ防止政策を策定する意向を明らかにし、アワ族コミュニティとの連絡役に軍当局者を任命したと発表した。
アヴィラ氏は、コロンビアの重要な問題点のひとつは、国際人道法に反し、「政府ならびにFARC、国民解放軍(ELN)を含むあらゆる勢力が紛争に民間人を巻き込んできたことだ」と指摘し、次のような現状を説明した。
政府は、コカ栽培をやめる農民に補助金を供与する「森林監視者ファミリー」などの社会支援プログラムを使って住民から軍事情報や一般情報を引き出している。
またELNとFARCの対立、地域の麻薬取引の増加そして内戦の激化に伴い、「どの武装勢力から見ても、地元住民は内通者となる可能性があり、したがって住民はどの勢力も信頼していない」
内戦の犠牲となっているコロンビアの先住民族について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩