【コンスタンザ・ビエイラ】
あらゆる妊娠中絶が刑罰に処されるコロンビアにおいて10日、憲法裁判所は人工妊娠中絶を一部合法化する判断を行った。ところがカトリック教会は翌11日、賛成票を投じた5人の判事に破門を言い渡した。破門は共産ゲリラも恐れる厳しい処罰。
今回の判断は強姦による妊娠や、母体に著しい危険を及ぼす場合、胎児に生存の見込みがない場合の中絶を合法化するもの。
この件を憲法裁判所に提訴したモニカ・ロア(Monica Roa)議員は女性の世界的連携を目指す団体(Women’s Link Worldwide)のメンバー。国際条約や憲法に女性の権利を盛り込むことに一定の成功を収めてきた。今回はもう一歩踏み込み、妊婦が子宮ガン治療も受けられないような状況を改善するため、実生活に即した権利を守る判断を判事に託した。
コロンビア世論の54%も今回の決定を支持。議論の核心をカトリック教会のモラルから周産期の母体保護に移すべく、70年代中期より続いた長期間の活動が実を結んだかたち。
ロア議員はIPSへの書簡で、教会はカトリック信者の私生活に干渉する権利はあるが、憲法の判断は公的分野と指摘。憲法裁判所のロドリゴ・エスコバール(Rodrigo Escobar)副長官も、ラジオのインタビューで抗議の声を上げている。
コロンビアにおいては妊婦の30%、19歳以下では44%が違法中絶を行い妊婦死亡原因の17%となっている。妊産婦死亡率の4分の3低減を目指すミレニアム開発目標(MDGs)達成には、この問題に対処することが急務。
憲法裁判所の判断は適切な立法化を通じて実行されていくのか?妊娠中絶を禁じるカトリック教会と母体保護をめぐる問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩