【アブダビWAM】
モロッコにおける憲法改正の動きは同国にとって重要な一里塚となるだろう。ムハンマド6世国王(1999年即位:右の写真)は17日、新たに民主的な憲章をそなえた「市民に立脚した君主制度」への移行プロセスが開始されたと発表した。
「民主化勢力からは、改革内容が十分でないとして批判する声がでているが、大半のモロッコ国民は、国王の改革提案をより透明性の高い政府の実現に向けた動きとして支持しているようである。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙は報じた。
「特筆すべきは改革提案(3月に国王の指示で設立された委員会で審議がなされてきた)が即時実施を前提とした計画を擁している点である。国王の改革提案は7月1日に国民投票にかけられこととなっており、それによりモロッコは改革の道を前進していくだろう。」とガルフ・ニュース紙は6月22日付の論説の中で報じた。
提案内容の目玉は、国王自身が自らの権限の一部を放棄することに同意する一方、首相と議会の権限を大幅に強化した点である。首相は総選挙で最大の票を獲得した政党から選出され、閣僚の任命権を持つことになる。
立法府の権限も強化され、議会の5分の1の賛成があれば政府関係者に対する調査を実施でき、3分の1の賛成があれば閣僚に対する譴責決議を行うことができる。一方国王は、今後も、治安・国防・宗教関連の最高責任者であり、閣議の議長と軍の最高司令官にとどまる。
「モロッコには伝統的に権威主義的な政府と強大な権限をもった治安当局が国王を補佐して国内の政治世論を統制してきた歴史がある。現国王のムハンマド6世は、先王から相続した強力な権限の緩和に踏み切ってきたが、今回の憲法改正提案はこうした改革の流れを大きく前進させるものとなるだろう。」とガルフ・ニュース紙は付け加えた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan戸田千鶴
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