【アブダビWAM】
「アフガニスタン国内で発見された手つかずの大規模な鉱床は、同国にとって両刃の剣となるかもしれない。報道された鉱床の規模は氷河の一角に過ぎないかもしれない、しかしこうした資源が、従来のアヘンに代わって、アフガン民衆、北大西洋条約機構(NATO)軍、タリバンを巻き込んだ新たな争いの火種となる可能性がある。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が報じた。
「米国防総省と米地質調査所( USGS )が6月14日に発表した推定約1兆ドル相当とされる鉄、銅、コバルト、金、リチウムの鉱床は驚異的な規模である。しかし、これらは数十年に亘って戦争、歴代政権による過酷な支配、腐敗、宗教的原理主義の下で辛酸をなめてきたアフガニスタンの民衆とその政府に属するものである。」
「それに加えて、アフガニスタンの民衆は、生活基本物資や食料、水、電気にも事欠いており、子供たちへの教育機会もかなり限られているなど問題は山積している。」とガルフ・ニュースは6月16日付の論説で報じた。
「歴史の中で数多くの外国勢力がなぜ、アフガニスタンの植民地化を試みてきたか。その理由は同国に眠る豊かな天然資源である。このことを理解すれば、なぜ共産主義者(旧ソ連時代のロシア)から資本主義者(米国)、さらにはタリバンまではこの国を支配しようとしたのか説明がつくはずである。」と同紙は付け加えた。
この一兆ドル鉱床問題は、アフガニスタンの経済状況を一変させ、経済的な自立も為し得る可能性を秘めているだけに、注目はどの国がアフガン政府を支援して資源開発を行うかに集まっている。
「その点については既に多くのプレーヤーが独自の計画を持って策動を開始している。しかし、まず着手しなければならないことは、国内の紛争を終結させ、アフガニスタンの治安を回復することである。その後、資源開発にたどり着くには、中央政府、地方政府、及び各地の部族長間の真剣な対話が進められることが不可欠である。」とガルフ・ニュース紙は指摘した。(原文へ)
翻訳=IPS Japan戸田千鶴
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