地域カリブ海地域|キューバ|「私は男であるが、涙を出すこともある。」

|キューバ|「私は男であるが、涙を出すこともある。」

【ハバナIPS=ダリア・アコスタ】

中南米の男性は、本当の男とは、強靭である、出世する、分別をわきまえている、という価値観のもとに育てられる。キューバも例外でないが、アレハンドロ・ロペス氏は、2007年12月、「男らしさとジェンダー暴力についての覚醒ワークショップ」(Masculinity and Gender Violence Awareness Workshop)に参加してから、家庭や職場での人への接し方が変わった。「みんなに言って回りたい。涙を流しても、男らしくないわけじゃないと。」ロペス氏は、感情を押し殺す必要のないことに気づいた。 

偏った男らしさの価値観は、暴力的、権威主義的、競争的な行動につながる。1990年代の調査によると、殺人事件の女性の犠牲者は、47%が夫か恋人に殺害されている。最近のラスヴィリャス中央大学の研究でも、侮蔑、怒号、権利の抑圧、脅迫、過重労働、排斥など家庭内暴力が浮き彫りになっている。

 メキシコの心理学学術誌Psicología para América Latinaに掲載された研究によると、暴力的な行動は一般にコミュニケーション能力の乏しさに起因する。ロペス氏が参加したワークショップは、NGO(Oscar Arnulfo Romero Reflection and Solidarity Group:OAR)がジェンダー暴力に対抗するプロジェクトの締めくくりとして行ったものである。ロペス氏は職場の人々に話をし、ジェンダー関係の改善と暴力追放をめざすアクショングループを作った。女性に侮蔑的な日常の言葉使いや行動をチェックし、意志決定に女性の参加を促す。「最初は笑うだけだった人たちも、よく話をすることによって怒りをコントロールできるようになる。私自身、攻撃的でなくなってから、何でも話すことができるようになり、必要なら妥協することを学んだので、前より能率的に仕事ができるようになった。」とロペス氏は語る。 

OARのヒダルゴ氏は、アクショングループに参加する男性が訓練を受けて、他の男性に働きかけることにより、コミュニティ全体の意識向上を図ることを企てている。担当者は、「やっとキューバで、暴力の問題が、公的機関の関心対象となったが、人々の感情や態度を一夜にして変えることはできない。」とIPS記者に語る。OARは数か所の公的機関と協力して、プロジェクト(“Doves Project”)を継続していく。 

男らしさのステレオタイプを打ち破ることで、暴力追放を図るキューバでの取り組みを報告する。(原文へ) 

翻訳者/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

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