【ハバナIPS=ダリア・アコスタ】
ブッシュ政権が、キューバの外貨保有削減を目的に、国内のキューバ向け旅行/送金代理店閉鎖を命じたのを受けて、キューバ政府は、いわゆる「転換ペソ」(convertible peso:CUCs)を100転換ペソ=120ドルから123ドルに引き上げた(キューバ中央銀行の海外送金手数料が以前の20ドルから23ドルへと値上がりしたことが原因)。
この「転換ペソ」(convertible peso:CUCs)は、キューバ市場における米国通貨流通を停止した2004年10月に導入されたものである。
キューバ外務省によると、海外移住者は約150万人。その内130万人が米国に居住しているという。世界的に見ると、海外移住者の母国への送金は年々増加しているが、キューバでは減少が始まり、2005年の送金額は、2004年の12億6千万ドルから11億7千万ドルに減少。「ラテンアメリカ・カリビアン経済委員会」は、2006年はさらに8%の落ち込みを予測している。
アウレリア・ガルシアさんは、「米国に移住した息子から3、4ヶ月ごとに100ドルの送金があるが、100ドルでは80転換ペソにしかならず、あっという間に消えてしまう。もっと送って欲しいところだが、息子も家族を養うために16時間も働いているのだから、仕方がない」と語る。
キューバでは、労働者の平均月収は398ペソ。「ラテンアメリカ・カリビアン経済委員会」によると、2005年の消費者物価指数は、前年の2.9%上昇から4.2%上昇へと拡大したという。共産国キューバでは、医療や教育は無料。光熱・水道料等は極めて低額であるが、家族4人の平均的家庭では、給料の75%が食費で消えてしまうという。ハバナで行われたある調査によると、家族の基本的ニーズを賄うためには、平均給与の7倍が必要という。
海外からの送金に頼るキューバ市民の生活について報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan