【プラハIPS=ゾルタン・ドゥジシン】
2001年9月11日の事件後、イスラム教徒に対する態度は悪化したと言われるが、チェコ・メディアは、親米外交政策の支持により、チェコ国民のテロに対する恐怖を煽っている。
米国のミサイル防衛システムをチェコおよびポーランドに拡大する計画には必ずイスラム・テロの差し迫った脅威についてのメディア報道が付いて回った。
最近の世論調査では、チェコ人の80パーセントがアラブ人の隣には住みたくないと回答。3分の2がテロ、イスラムを恐れている。また、チェコ内務省が昨年行った調査でも、ほとんどのチェコ人がイスラムのシンボルとテロを結び付けている。
プラハ・イスラム・センターのウラジミール・サンカ所長は、「メディアは、紛争の根がどこにあるのか説明せず、センセーショナルなニュースばかりを取り上げる。メディアが、イスラム教徒は人の命を何とも思わない人間だと報道するのだから、人々がイスラム過激派、イスラム・テロを恐れるようになるのも無理はない」と言う。
チェコの政治家は、テロ攻撃の危険性は増大していると主張。チェコ警察は、テロリストは同国をヨーロッパへの侵入口にしていると述べている。
トポラーネク首相は昨年、エルサレムにおけるイスラエル建国式典でスピーチし、「野蛮行為の拡大から文明を守ろうとするイスラエルの闘いは、私に勇気を与えるものである」と語っている。市民民主党(ODS)が2006年に政権を取って以来、チェコはアラブ諸国との関係を殆ど無視している。
首相は、野党社会民主党のパロウベク党首のシリア訪問(2月)に遺憾を表明。右派メディアはシリア訪問に関する報道を行っていない。サンカ所長は、「チェコ・メディアの親米、親イスラエル的態度は、ヨーロッパの中で極めて突出したものとなっている」と語っている。チェコ政府およびメディアのイスラム嫌悪について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩