【テヘランIPS=キミア・サナティ】
2006年にイランで行われた死刑は177人とほぼ2倍に増えた。イランの人権活動家は、死刑に犯罪抑止効果はなく廃止されるべきだとして、人々の意識を高めようと決意を新たにしている。
この数字はアムネスティ・インターナショナルの最新の報告書から明らかになった。処刑数は中国がトップで1,010人だったが、人権活動家は、実態はその8倍に上るのではないかと見ている。イランでは政府統計は公表されず、今回の数字は報道機関や活動家による推定である。
この報告書によると、世界的には処刑数は大幅に減って、2005年より26%少ない。けれどもイランの傾向は逆であり、5月の2週間で18人が処刑されるなど、減少する兆候も見られない。イランでは死刑が犯罪を防ぐ極めて重要な要素だと考えられている。
イランで死刑になるのは、殺人、麻薬犯罪、思想的および経済的犯罪、さらに性的犯罪である。処刑は通常絞首刑で、性犯罪者、テロリスト、麻薬密売者の場合は公開でおこなわれる。性犯罪には石打の刑もある。今年は麻薬密売による死刑が増えている。またイランでは国際法で禁じられている未成年者の処刑も行われている。
イランの法制度は関連するイスラム法に基づいている。議会で可決された法案も、イランの最高指導者アヤトラ・ハメネイ師が任命した6名の委員からなる、全能で厳格な聖職者評議会で承認されなければならない。この評議会は宗教法と法律の整合性を審査する。イスラム法に反することは異端とされて死刑となる。
1999年に改革派の有力新聞「ネシャト」紙は、報復を認めるイランの宗教法は過失致死には適用されないと論じ、当局に異端だとされ新聞社は閉鎖となった。その執筆記者エマデディン・バギ氏が、イラン初の死刑反対組織を創設した。バギ氏は持論を本にしようとしたが、当局による出版差し止めを受け、アフガニスタンでの出版を計画している。イランの死刑制度の実態について報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩