【ポートオブスペインIPS=ピーター・リチャーズ】
カリブ海地域は、アフリカ・サハラ以南の地域に次いで世界で2番目にHIV感染者が多い場所である。この問題について、世界的レベルの予防・治療・支援に向けた報告書(『Keeping Score 11』)がこの週末にかけて発表された。
カリブ海地域では1日に55人がHIVに感染し、そのうち38人が死亡。年間で20,000人が新たに感染し、1,4000人が死亡しているという。現在、同地域におけるエイズ患者・HIV感染者数は推定23万人に上る。
報告書では、特にセックスワーカー、同性愛者、薬物乱用者、若い女性や子供たちといった社会的に弱い立場の人々に感染者が多い事実を指摘。このような人々への対応(効果的な予防プログラムの策定や保健サービスの普及など)がHIV拡大を防ぐ重要な鍵になるとしている。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)カリブ海地域支援チーム(Caribbean Regional Support Team)のディレクター、Karen Sealy氏はエイズ問題には政策・予防・治療といった包括的アプローチが不可欠であるとし、持続的な対策の必要性を強調した。
「我々はカリブ海地域で暮らす社会的弱者への認識が低すぎる。HIV感染孤児の現状を理解し支援に努めるべきだ」と、トリニダード・トバゴの社会開発相、Amery Browne氏は語った。
これまでカリブ海地域のエイズ対策は不十分であったわけではない。実際、予防に関しては様々な取り組みが行われてきた。しかし、昨年を例に挙げると、1万人の患者がHIV治療を受けることができたが、一方で2万人もの人々が新たにHIVに感染した。
また、同報告書はエイズ問題をめぐる市民社会の果たす役割強化や、HIV感染者やエイズ患者への偏見・差別をなくすことが必要であるとしている。カリブ海地域におけるエイズ問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩