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ニュース助けられるなら、助けよう。―ウクライナ人支援に立ちあがったイスラエル人ボランティアたち(3)スタス・マネヴィッチ(イスラエル・フォー・ウクライナ設立メンバー)

助けられるなら、助けよう。―ウクライナ人支援に立ちあがったイスラエル人ボランティアたち(3)スタス・マネヴィッチ(イスラエル・フォー・ウクライナ設立メンバー)

【エルサレムNGE/INPS=ロマン・ヤヌコフスキー】

ロマン・ヤヌシェフスキー by РОМАН ЯНУШЕВСКИЙ
ロマン・ヤヌシェフスキー by РОМАН ЯНУШЕВСКИЙ

イスラエルはロシアとウクライナに対して中立を維持しようと懸命に努力してきたが、対ロシアの関係が急激に悪化したのは必然であった。それを助長したのは、「ヒトラーにもユダヤの血が流れていた」を主張したセルゲイ・ラブロフ外相のスキャンダラスなインタビューと、その後の鋭い言葉の応酬であり、最後はウラジーミル・プーチン大統領がイスラエルのナフタリ・ベネット首相に自ら謝罪することになった。

一方、一般のイスラエル人には、政府が直面していたような難しいジレンマはなかった。国民の大多数は、最初から一方的な軍事侵攻にさらされたウクライナを支持していた。

さらにロシアが主張する残忍な「特別軍事作戦」は、イスラエルに新しい現象を生み出した。ロシア語を話す人々だけでなく、多数のイスラエル人が、ウクライナ人の苦しみを目の当たりにして、彼らを助けなければならないと痛感したのである。その結果、多くの公的な取り組みやボランティアプロジェクト、人道的な支援金集めが自然発生的に始動することとなった。中には、それまでボランティア活動をしたことがなかった人々が組織したものも少なくない。ロマン・ヤヌシェフスキーが、こうした支援活動に参画した人々の内、8人に話を聞いた。(今回は3人目の取材内容を掲載します)

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スタス・マネヴィッチ:ロシアによるウクライナ侵攻が始まって最初の1週間は、テレビから離れることができませんでした。そして2月末にはポーランドにウクライナ難民を支援するボランティアに行こうと一旦は決意しました。ところが友人から「たとえ一人で行ったところで、大勢のボランティアの一人に過ぎず、たぶん意味がない。それよりも、戦地から難民を5人でも救出する手配ができればもっと役に立てるのではないか。」と言われました。そこで妻のガルヤと相談して、ウクライナ国内でバスを手配することにしました。私の専門分野はIT関連ですが、以前イスラエルでエクストリーム・ツーリズムのオーガナイザーをやっていました。ウクライナの観光フェアに参加したり、ウクライナのパートナーと仕事をしたりしていたので、当時からウクライナの多くのツアーオペレーターや旅行代理店と知り合いになっていたのです。

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彼らの協力で、まもなく信頼できるバス会社を見つけ、5千ドルでバスを手配できました。基本的に自分たちの費用は自ら賄いますが、運営費用の一部を補償するために、Facebookに投稿を公開しました

その日、友人のシモン・シュレヴィチがポーランドから帰国してきました。キエフから国境までウクライナ難民を脱出させるバスを手配したことを話すと、賛同してくれて、早速彼を入れた3人でキエフ入りし、難民家族を乗せた国境行きバスを運行しました。

まもなく、バス1台を手配するために必要な金額よりも、さらに多くの資金が集まるようになりました。そこで、もう1本、ハルキウからのバスを手配したほうが良いのではと考え、実行に移しました。こうしてこれまで(5/1現在)に、100台以上のバスを手配し、ウクライナ各地から4144人の難民をポーランド国境に避難させることができました。

ヤヌシェフスキー:本業の仕事についてはどうですか?

マネヴィッチ:昼夜を問わず避難作業に追われ、本業を休まざるを得ない状況でした。当初は2週間ほど休職して、それから更に1カ月半ほど仕事とボランティア活動を両立させようとしました。しかし、さすがに2カ月を終えて本業に完全復帰せざるを得ませんでした。その時点で、私が担当していた案件をボランティアチームの他のメンバーに引き継ぎました。私の勤め先は私のリクエストにとても寛大で、バスの手配費用に1万ドルも寄付してくれたうえに、2カ月間も自由に活動させてくれました。しかし、こうした好意に甘えるのもそろそろ潮時だと判断しました。さすがに、あのままボランティア活動を優先していたら、職を失っていたでしょう。この場合、自らを犠牲にして他人に十分な支援の手を差し伸べることはできません。

ヤヌシェフスキー:なぜ、このようなプロジェクトを始めたのですか?マネヴィッチさんはウクライナ出身の方ですか?

Image source: Sky News
Image source: Sky News

マネヴィッチ:ロシアのウクライナ侵攻に直面して、「これは何かが間違っている。自分にも何かができるはずだ。」と気づいたのです。私はモスクワ出身ですが、イスラエルに住んで35年になるイスラエル人です。ロシアの国籍は持っていません。

私にとって故郷であるモスクワはとても身近で、友人もいますが、「政権与党の方針」は今や完全に間違っています。しかし同時に、私はこの紛争について、軍隊を支援するという意味での軍事的な立場を取りたくなかったのです。

妻のガルヤ、シモン、私の3人は、空爆や砲撃から人々を助け、戦地から逃れられるよう救出の手を差し伸べることに専念しようとすぐに決心しました。そして、国境まで避難民を誘導して空席となったバスの復路では、食料や医薬品などの人道支援物資を詰め込んで、ウクライナ各地に届けています。私たちは、ウクライナ人、ロシア人、ユダヤ人、誰であろうと例外なく、助けを必要としている人を助けることにしています。

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3月1日にプロジェクト「イスラエル・フォー・ウクライナ」を立ち上げました。当時、私たちは3人でした。3月10日には、すでに20人が集まっていました。今は30〜40人くらいです。ボランティアの登録フォームがあり、そこから400人ほどが登録しています。参加したい、手伝いたいという人はたくさんいるのですが、時間的に余裕がある人がいないとダメなんです。仕事を終えて夕方から1日2時間程度では不十分ですし、効果がありません。グラフィックアーティスト、ソーシャルネットワーク上の文章を書くコピーライター、コーディネーターなど、あらゆる職種の方を募集しています。そして、ボランティアスタッフには、指示待ちではなく、進取の気性と創造性に富んだ資質が求められます。自分たちで提案し、実行し、宣伝する方法を知っている人、そうした情報と自由な時間をセットで持っている人が必要なのです。そうした意味で、この団体は、クリエイティブなチームになっていると思います。(原文へ

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