SDGsGoal1(貧困をなくそう)援助予算が歴史的低水準に、2026年に数百万人が危機に

援助予算が歴史的低水準に、2026年に数百万人が危機に

【ニューヨークIPS=オリトロ・カリム】

2025年は、人道支援活動にとって特に混迷を極めた年となった。世界の援助予算が記録的な規模で減少し、紛争、環境災害、経済危機が激化するなかで、最も脆弱な人々が不均衡に深刻な影響を受けている。一方で、緊急対応に充てられる国際的な資金は、急増するニーズに遠く及ばない状況にある。

人道機関は、資金不足が拡大し続ければ、2026年にはさらに多くの人々が命を守るために不可欠な支援を受けられなくなると警告している。これを受け、国連(UN)とパートナー機関は、12月12日に開催される中央緊急対応基金(CERF)設立20周年記念の年次誓約会合に向け、国際社会に対し、支援拡大を強く呼びかけている。

United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri
United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「人道システムの燃料タンクは空になりかけており、数百万人の命が危機にさらされている。」と述べた。「より多くを求められながら、使える資源はますます少なくなっている。これは明らかに持続不可能である」。

国連人道問題調整事務所(OCHA)の数値によると、国連は来年、8,700万人の命を救うことを目標としており、そのためには約230億ドルの資金が必要とされる。さらに、50か国で実施される23の国別人道支援事業に加え、難民や移民に特化した6つの追加事業を通じて、1億3,500万人を支援するため、約330億ドルの資金調達を目指している。

しかし、支援拡大の必要性がかつてなく高まる一方で、人道支援アピールへの資金拠出は過去数十年で最も急激に落ち込んでいる。2025年に1,200億ドルを求めた支援要請では、前年より約2,500万人少ない人々しか支援できなかった。

OCHAは、この資金不足がもたらした即時的な影響として、世界的な飢餓危機の悪化、崩壊寸前まで追い込まれた保健医療体制、重要な教育プログラムの衰退、長期化する武力紛争から逃れた脆弱な避難民に対する保護サービスの大幅な後退を挙げている。一部の地域では援助関係者の安全も著しく悪化し、今年だけで320人以上が殺害された。国連当局者は、これを「戦時国際法に対する完全な無視」と表現している。

Tom Fletcher

国連人道問題担当事務次長兼緊急救援調整官のトム・フレッチャー氏は、「最も力を必要とされているときに、警告灯が点滅している。」と述べた。「これは単なる資金ギャップではなく、運営上の緊急事態である。CERFが揺らげば、世界の緊急対応サービスそのものが揺らぐ。そうなれば、私たちに頼る人々が苦しむことになる。」

資源が極端に不足するなか、国連とパートナー機関は、ある命を救う支援を優先するため、別の支援を縮小せざるを得なくなっている。その結果、差し迫った人道危機の多くが深刻な資金不足に陥っている。こうした戦略的配分により、国連は「人類の苦しみの震源地」とも形容されるスーダン・ダルフール地方から逃れる多くの避難民を、十分に支援できていない。

フレッチャー氏は、「ご存じの通り、私たちが直面している苛烈な削減は、苛烈な選択を強いている。人間の生存をめぐる冷酷なトリアージである」と語った。「これは、連帯や思いやりよりも力を優先したときに起きる現実である」。

国連当局者はまた、CERFの極めて重要な役割を強調した。同基金は2006年以降、110か国以上で総額100億ドルを超える支援を提供し、数十年にわたり脆弱な人々の命綱となってきた。CERFは「迅速かつ戦略的」な資金源として、他の支援が届く前に危機下の市民に到達し、数え切れない命を救ってきた。

グテーレス事務総長は、「多くの地域で、CERFは命を救う支援があるか、全くないかの分かれ目となってきた。」と述べている。今年初め、ガザ地区で人道活動が再開された際には、CERFが病院への重要な燃料供給、水・衛生システムの復旧、その他の不可欠な救命サービスの強化を支えた。

2025年には、CERFが資金不足の危機下にある支援活動を維持するため、約2億1,200万ドルを拠出した。国連はまた、ブルキナファソ、コンゴ民主共和国、マリ、ハイチ、ミャンマー、モザンビーク、シリアなどで、女性や少女のニーズを含む緊急課題に対応するため、追加で1億ドルを割り当てたと発表した。

これまでにCERFは、総額4億3,500万ドルの拠出を通じ、30の国と地域で数百万人を支援してきた。これらの資金は、停戦後のガザにおける人道支援の拡大を可能にし、ダルフールでの武力紛争から逃れる人々への重要な支援も提供している。

こうしたCERFの取り組みは、国連が2026年に向けて構想する「人道リセット」の中核を成すものである。フレッチャー氏は、「だからこそ人道リセットが重要なのだ。単なるスローガンではなく、私たち全員への挑戦である。」と述べた。「それは使命であると同時に、私たちの活動と、支援を必要とする多くの人々にとっての生存戦略でもある。より賢く、より速く、地域社会により近づき、直面する厳しい選択についてより正直になること。支援を受ける人々のために、1ドル1ドルの価値を最大化することが求められている。」

国連にとって2026年最大の単独人道対応計画は、占領下パレスチナ地域に焦点を当てたもので、壊滅的な暴力と破壊を経験した約300万人を支援するため、約41億ドルが必要とされる。これに続き、世界最大の避難民危機を抱えるスーダンでは2,000万人を支援するため29億ドル、シリアでは860万人を支援するため28億ドルが必要とされている。

Displaced families shelter at a gathering site in El Fasher in northern Darfur in August 2025 | Photo/UNICEF
Displaced families shelter at a gathering site in El Fasher in northern Darfur in August 2025 | Photo/UNICEF

CERFへの拠出額は、過去10年以上で最も低い水準に落ち込むと予測されており、国連は10億ドルを目標に、加盟国への資金要請を開始する。各国にはまた、民間人や人道支援従事者の保護強化、武力行使の加害者に対する説明責任メカニズムの強化に向け、自国の影響力を行使するよう求められている。

フレッチャー氏は、「人道資金が厳しいこの瞬間にこそ、十分に資金が確保されたCERFがもたらし得る次の20年を想像しなければならない。」と語った。「国連をより速く、より賢く、より費用対効果が高く、より環境に配慮し、より先取り型で、より包摂的にする基金である。地域社会の声を増幅し、連帯が今も機能することを証明する基金だ。その連帯を信じる市民の運動に支えられて。」(原文へ)

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

関連記事:

開発援助が縮小する時代のフィランソロピー

|米国|国際援助庁(USAID)の閉鎖は世界の貧困国を危険にさらす恐れ

国連世界食糧計画(WFP)、深刻な資金削減で「緊急レベルの飢餓」を警告

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken