地域アジア・太平洋|視点|カザフスタンが今年、アスタナ国際フォーラムを開催する理由(カシム=ジョマルト・トカエフ カザフスタン共和国大統領)

|視点|カザフスタンが今年、アスタナ国際フォーラムを開催する理由(カシム=ジョマルト・トカエフ カザフスタン共和国大統領)

【アスタナINPS Japan/アスタナタイムズ】

二極化が進む世界において、カザフスタンはしばしば東と西、北と南をつなぐ架け橋の役割を担っています。これは、わが国のユニークな歴史と地理が生み出したものです。何世紀もの間、カザフスタンは文化が邂逅する場所であり、人々の間に多様性だけでなく、真の相互尊重の精神が育まれてきました。だからこそ、グローバルな協力という価値観が自然に生まれてくるのです。この精神に基づき、私たちは独自の「マルチ・ベクトル外交」を構築し、長年にわたって成果をあげてきました。

President of Kazakhstan Kassym-Jomart Tokayev./ Astana Times

グローバルな諸課題に直面する中、カザフスタンが、対話、貿易、多国間主義、そして意見交換を支持しグローバルな協力を推進していく立場に変わりはありません。わが国は引き続き国際法を順守し、世界各国との建設的な関わりを追求していきます。このような観点から、私たちは、グローバルなレベルで多国間主義の文化を再構築するためのツールとなる新たな国際会議「アスタナ国際フォーラム」を立ち上げました。最も重要なことは、このフォーラムが、しばしば過小評価されがちな声を増幅させる新たな手段を提供することにあります。

アスタナ国際フォーラムの特徴は、世界の中堅国家(ミドルパワー)が今日の諸問題に対する見解や立場を議論し、その解決策を提示する場を提供する点にあります。

私たちがフォーラムで取り組む最初の課題は、外交政策、安全保障、持続可能性に関わるものです。現在、世界の平和と安定が、世界の主要な大国間の緊張によって脅かされていることは、誰もが知っていることです。一方、核軍縮や難民問題など他の国際問題も、不安定な国際システムや同盟関係にとって重圧となっています。さらに、多くの国々における国家主義(ナショナリズム)やポピュリスト運動の台頭は、引き続き国際関係を複雑にし、グローバルな協調対応を必要とする問題において共通認識を見出すことをますます困難にしており、長期的な問題に対して持続不可能な短期的解決に向かうリスクが高まっています。だからこそ、人類の集団的な未来を守り、正しい方向性を示すために、私たちがフォーラムに集うことが重要なのです。

Photo: Celebrations on the Day of the Capital City of the Republic of Kazakhstan. Credit: expo2017astana.com
Photo: Celebrations on the Day of the Capital City of the Republic of Kazakhstan. Credit: expo2017astana.com

世界的な協調を必要とする2つ目の課題は気候変動です。その影響は、海面上昇、異常気象、生物多様性の損失など、地球 に壊滅的な被害をもたらしています。一方、化石燃料に依存する世界では、温室効果ガスの排出削減や気候変動への対応がますます困難になってきています。一方で、エネルギー安全保障の確保やエネルギー転換において、石油・ガス産業が果たす重要な役割を見過ごすことはできません。エネルギー転換は複雑な問題であり、途上国が取り残されないよう、慎重に取り組まなければなりません。

最後に、新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより、世界的に急激な景気後退が起こり、多くの国、企業、個人が苦境に立たされています。さらに、所得格差の拡大や世界の主要国間の貿易摩擦の進行も、世界経済に不安定さをもたらしています。第3の課題は、経済と金融に焦点を当て、これらの経済、環境、安全保障の課題に対して、グローバルに協調して対応する必要性を強調しています。

Map of Kazakhstan
Map of Kazakhstan

これらの課題は、一見困難なように見えますが、これは同時に国際社会が協力して共に前進する機会とも捉えることができます。国際社会が協力することで、アスタナ国際フォーラムでこれらの課題に取り組み、すべての人にとってより安定し、公平で、豊かな世界の実現に貢献することができるのです。

私は、これらの課題に対する実行可能な解決策を見出すために、この夏、官民両部門のグローバルリーダーをアスタナ国際フォーラムにお迎えすることを楽しみにしています。強力かつ包括的な国際協力を通じて、新たな道を見出すために結集しようではありませんか。(原文へ

INPS Japan

この記事は、Astana Timesに初出掲載されたものです。

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