【ヨハネスブルクIPS=モイガ・ヌドゥル】
ジンバブエ政府が強制収用した土地での農業再開を白人にも認めたことがさまざまな反響を呼んでいる。「人殺しをし、農場から追い出し、国の経済を破たんさせてから、われわれに手伝えという」と批判的な白人農民もいるが、白人が多数を占める商業農家連盟(CFU)のD.テイラー-フリーム代表は問題解決につながる可能性があると考えている。
土地問題担当のフローラ・ブカ大臣は白人を含むジンバブエ人すべてが土地を申し込むことができ、これまでに500人の白人農民から申し込みがあったことを明らかにした。NGOの「農業の公正」によると、2005年のジンバブエ国内の白人商業農家は500以下で、2000年末の4,300から大幅に減った。2000年の議会選挙で与党ジンバブエ・アフリカ国民同盟・愛国戦線(ZANU-PF)が苦戦したときに農場襲撃は始まり、土地問題を選挙に利用した政府主導の襲撃だと非難が起きた。
土地を奪われた多くのジンバブエ農民は近隣諸国へ逃れた。ジンバブエのジョセフ・メイド農業大臣は改革政策の失敗による土地の再提供を否定しているが、「農業の公正」は没収した土地の利用はずさんで、与党高官の所有となった土地もあると報告している。
かつては南部アフリカの穀倉地帯だったジンバブエが、現在食糧不足に直面している。国連の世界食糧計画(WFP)によると1,300万の国民のうち400万人以上が食糧支援を求めている。米国が支援する「飢饉早期警戒ネットワーク」の2006年報告書は、気候に問題はないが収穫量の低下により食糧危機が続くとしている。さらにジンバブエのHIV感染率が20%となっていることも事態を悪化させている。
土地の没収がジンバブエの経済を停滞させ、燃料、主要農作物、外国為替の不足を招き、ジンバブエでは3桁のインフレが普通である。ジンバブエ共同市民社会組織のダニエル・モロケル代表は、「政府は過ちを認めようとしている」という。だが白人農民には土地を手にせず政府打倒を目指すべきという声もある。白人の手に農地が戻ってもジンバブエ経済を好転させるには時間がかかるだろう。農民たちは政府を信用していない。白人の土地の没収と貧しい黒人への分配は近隣諸国でも起きている。
ジンバブエの土地問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
関連記事: